採用側の面接官は、転職しようとする人が、離職してから次の就職先が決まるまでの空白期間(ブランク)があまりに長いと、採用を躊躇することがあります。
では、長い空白期間とはどのくらいからを差すのでしょうか。
また、空白期間があっても採用される面接での受け答え方はどのようなことが考えられるでしょうか。
今回は、離職してから転職活動をする人の空白期間について解説します。
ブランク=悪印象ではない
転職活動する人のうち、在職中に転職活動する人が約85%、会社を辞めてから転職活動をする人は15%ぐらいだと言われています。
会社を辞めてから転職活動をする人は、辞めてから面接日までの間に空白期間があると、高い確率で「この期間は何をしていましたか?」と聞かれます。
そのため、ある程度答えられるような準備をしておくことをお勧めします。
会社を辞めてからの期間と言うのは、基本的に単なる空白期間というだけですから、それほど身構える必要はありません。
採用側の会社は、中途採用で応募してきている人物については、主に前職でのキャリアや能力、人がらを重点的に見ています。
そのため、基本はあなたの前職での能力や経験、スキルなどが評価されるのであって、ブランクが多少あるからといって決定的に悪印象与えるというわけではありません。
多少ブランクがあったとしても、面接の際に「前職が非常に激務であった」あるいは「家族の事情があった」といったことであれば、少しはリフレッシュしたいし、休みたくなるのもわかるな、と思ってくれる面接官もいます。
3か月を超えるブランクは警戒される
ただし、前職を辞めてから今に至るまでの期間が3か月を超えるあたりから、空白期間が長いと思われるようになります。
なぜ長いブランクがあるとよくないかというと、実務能力が低下することと、時間感覚が緩んでくる恐れがあるからです。
無職の期間が長いと、ビジネスの感覚も鈍ってきます。
さらに、休む癖がついてしまうと、朝から晩までの時間感覚が緩くなり、いざ仕事に復帰したときに思うように能力を発揮できないケースがあるからです。
転職活動「不採用続き」は能力面で警戒される
さらに転職希望者が、何度も会社を受けているのに不採用になっているため、空白期間が長い人だとします。
そうすると、「不採用になるには、それだけ不採用になる理由がある人なのではないか」と思われることがあります。
そのため、何度も面接を受けているのに転職活動がうまくいかないといった期間は、長くなればなるほど、「この人は、うちも採用を見合わせようか」と思われることがあります。
このようになると、ますますブランクが広がってしまうため悪循環です。
無職の状態だと足元を見られる
また、無職の状態で転職活動していると、会社側から足元を見られてしまうことも注意しなければなりません。
応募者が無職であると、通常は「早く転職先を決めなければ」といった焦りが生じます。
そういった心理を逆手にとり、条件面や給与面で会社側に有利に進められてしまうことがあるのです。
そのため、たとえブランクが長引きつつあっても、どうしてもゆずれない条件がある人は、強気に行くように心がけてください。
そうしないと、相手方企業のペースに乗せられて、希望していた条件より低い待遇で決めてしまうことになりかねません。
前職を辞めてから転職活動するには、こういった不利になるケースもありますから、十分気を付けてください。
空白期間についての面接での答え方
前職を辞めてしばらく期間がある人は、面接で必ずその期間のことを聞かれますから、準備をしておきましょう。
3か月以上の空白期間がある人は、以下のような主張では通りませんので気を付けましょう。
・リフレッシュしていた
・久しぶりの長期休暇なので、羽根を伸ばして海外旅行をしていた
こういった内容は、3か月以内であれば微笑ましく理解されるかもしれません。
しかしそれ以上の期間であれば、上記のような回答で納得してはもらえません。仕事への意識が低いと捉えられることがあります。
規則正しい生活を送ってきたことを主張
ブランク期間が3ヶ月以上あると、生活リズムが崩れたり、ビジネス感覚が低下したりします。
採用担当者が一番嫌うのは、こういったところです。たとえこの期間に転職活動をしていたと主張しても、一日中転職活動をしているわけではないことは、面接官も知っています。
そのため、面接では「きちんと意識して自律した生活をしてきた」「仕事はなくても目標を課題を持って日々を過ごした」ということを伝えてください。
空白期間の回答例
新たな職種への情報収集をしていた)
前職を退職してからは、新たな職種への転職を目指して情報収集をしていました。その職種に関しては未経験ですし、知識も乏しいため、不安だったからです。
そのためすぐに活動に入ることができませんでした。まずは、基礎知識を学ぼうと図書館に通い、1日に3冊ほど専門書を読みました。また、〇〇についての資格取得の勉強を始めました。
また、他にも〇〇の職業訓練を受講しました。
あと、実際の現場を知りたいと思い、〇〇の職種の現場に足を運んで、社員の皆さんの働きぶりを見に行きました。
アルバイトで社会経験)
この期間は、転職活動と並行して、〇〇職としての期間限定アルバイトをしておりました。
生活のためにという部分もありますが、〇〇職は未経験でしたので、一度アルバイトでも良いので実地経験を積みたかったからです。
この期間は、アルバイトといえど職業人として様々な体験ができました。
資格取得と体調管理で自律生活)
退職してからは、転職活動をしながら〇〇の資格取得をしました。
少しでも早く再就職し、すぐに活動再開できるように、毎日時間をしっかり有効に使い、次の仕事の準備や勉強を心がけて参りました。
朝、図書館までウォーキングをして出かけ、一日勉強し、ジョギングをして帰ってまいりました。
おかげで体力もまったく落ちず、以前より健康的な心身状態です。さらに、先月〇〇の資格も取ることができました。
そのため、以前より希望しておりました御社の〇〇職にてぜひ活躍したいと考え、応募した次第です。
このような形で答えるようにしましょう。
本当は何もせずにぶらぶらしていただけであっても、本当は時間管理をあまりせずゆったり生活していたとしても、面接の場面では必ず自律した生活を送ってきたということを強調してください。
面接官がブランクの長い人材を避けようとするのは、即戦力としてのビジネス感覚や時間感覚が低下していると考えているからです。
そのため、そういった不安はないということをアピールしてください。
また、「転職活動をしていて3か月以上が経った」という回答も悪くはありません。
しかし、3か月以上活動を続け何社も受けたというのに、1社にも受からず落ち続けているというニュアンスが伝わらないように気を付けてください。
そのため、この期間は転職活動をしているのが当たり前ですから、あえて「転職活動をしていた」というワードを全面に押し出さずに、「転職活動をしながら〇〇をしていた」という伝え方の方が良いでしょう。
うつ病でブランクがあったら
中には、前の会社を、うつ病などの精神疾患で退職した人がいると思います。その後の療養期間があり、空白期間となっている人はどのように答えたら良いでしょうか。
まず、その期間をうつ病で療養していたと人であっても、相手から聞かれない限り、答える必要はありません。
なぜなら、過去にうつ病で休職したり退職に至ったことがある人を、会社は敬遠するからです。
あなたがもし正直に、退職後うつ病で療養していたと言えば、高い確率で不採用になってしまいます。
今の日本の会社は、メンタルヘルス疾患の過去がある人材を、入社させないようにしようとしているからです。
そのためうつ病で退職し療養していたといった空白期間がある場合は、その療養のことをなるべく悟られないように、工夫して答えましょう。
この場合は、ありがちな回答例になっても仕方がありません。
例えば、資格取得の勉強をしていたとか、納得のいく転職先を探していたといった回答です。
それでも、療養していたことを聞かれもしないのに話してしまうよりは、採用の可能性が高まります。
空白期間が3か月を超えたら準備してのぞむ
このように、3か月以上の空白期間(ブランク)がある人は、きちんとした生活を送ってきたことやビジネス感覚は鈍っていないことを伝えられるように準備して面接にのぞみましょう。
空白期間があるからといって、必ずしも悪印象というわけではありません。
しかし、いざ弱みに感じることを問われると、おどおどした態度になったり不自然な態度を取ったりしやすくなります。
そういった自信がない状態で面接を受けると、無職であるということを逆手に取られて足元を見られることもあります。
答えにくい質問も、しっかり準備していけば堂々と答えられます。
せっかくの転職のチャンスですから、妥協せず堂々とあなたに適した職場を見つけて欲しいと思います。