うつ病、適応障害経験者の転職履歴書「健康欄」書き方と記入例

転職活動

履歴書には、健康状態を記入する欄があります。

採用側の担当者のなかには、この項目を重視する人がいます。

基本的に、何か健康上の問題を抱えていて、業務に支障がある人は採用したくないというのが会社側の本音だからです。

例えば、あなたが過去にうつ病や適応障害などの病気になった経験があった場合、履歴書の健康状態欄にはどのように書くべきでしょうか。

正直に書かないといけないものでしょうか。今回は、履歴書の健康状態欄の書き方について考えてみましょう。

治っているうつ病なら「良好」と書いて良い

履歴書の一項目に「健康状態」という欄があります。この部分は、応募者が現在の健康状態を書くところです。

最近は、うつ病や適応障害で前職を辞めていて、新たに転職活動をしている人が多くいます。

その場合に、履歴書の健康欄にどのように書けばいいのか迷うかと思います。

この欄は、あくまでも、応募しようと思っている現在についての健康状態を書けば良いものです。

そのため、過去にうつ病などの精神疾患に罹ったなどの経験があったとしても、そこに記入する必要はありません。

現在、業務をするうえで支障のない心身状態であれば、堂々と「良好」と書けば良いです。

うつ病を患う人の多くは、非常にまじめなため、このような書類を書くときに「嘘をついてはいけない」と考えています。

そのためか、この欄に「1年ほど前に、うつ病で治療しました。しかし、現在は回復し、業務に支障はありません」と、律儀に書いてくれる応募者がいます。

しかし、採用側の会社は、精神疾患の既往歴がある応募者を採用したくないというのが本音であるため、履歴書に病名が書かれていると、その段階で敬遠されることになります。

もし、うつ病などの精神疾患の履歴があり、そのことを隠さずに転職活動をするつもりであったとしても、履歴書の健康欄には「良好」と書いておきましょう。

今調子が良く仕事ができる状態に快復しているなら、そのように書くことは、嘘ではないのです。

ただし、あくまでも応募の段階で、完全に症状は良くなっていて、仕事ができる状態であることが大前提です。

そうではなく、まだ症状が残っていて、業務に支障をきたす可能性があるのに、この欄に「良好」と書くことは、あなたのためにも良くありません。

定期通院している人の健康欄の書き方

まだ経過観察や薬の処方をしてもらうために、定期通院している人もいるかもしれません。

症状自体は治まっていていて仕事に支障はなく、通院も仕事に関係のない時間(業務後、休日)で対応できるのであれば、特に何も書かなくてもいいと思われます。

しかし、今後通院のために遅刻や欠勤もあり得るのであれば、事前に伝えておく方が良いケースもあります。なぜなら、通院のための遅刻や欠勤が多いと、職場の人にサボっていると勘違いされるからです。

かといって、「うつ病にて通院中」「適応障害の治療で通院しています」とストレートに書いてしまうと、通院の事実というよりも病名を印象付けてしまい、書類通過できないかもしれません。

そのため、履歴書の健康欄に書く段階では、以下のようにしましょう。

健康状態)

良好。(業務に支障のない持病で月1回の通院をしているため、1日のみ午後休を希望します。

前職ではその分残業や振替出勤で対応し、病欠や予定外の欠勤はありませんでした)

このように、病名は書かず、「持病」程度にぼかしておきましょう。

そして、このように通院の事実を書く必要があるのは、あくまで業務内の時間に通院しなければならない場合のみです。

平日の午前中しか予約が取れないクリニックに通っているなどの事情があるなら、あらかじめ書いておいた方が、理解のある会社へ転職できます。

しかし、業後に通院できる人であれば、わざわざ通院している事実を書かなくて大丈夫です。

通院していても転職活動する権利はある

うつ病や適応障害の人で、仕事ができる状態に快復していても、薬を飲み、医師の指導やカウンセリングを受けている人もいるでしょう。

そういった継続的な援助は、これから働き続けるためにもとても大事なことです。

人によっては「通院しているなら、うつ病は治っていない。そのような状態なのに、転職活動をするのは良くない」という人がいます。

たしかに、働くことができないような症状のまま、健康状態は良好ですと偽って入社するのは、あなたのためにも会社のためにも良くありません。

ただ、仕事ができる状態に快復しているなら、薬を飲んでいたり医者に通っていたりしても、転職活動をする権利があると思います。

そうでなければ、一度うつ病に罹患した人は、いつまでたっても仕事を得られないことになってしまいます。

うつ病や適応障害といった心の病気は、「完全に治る」というよりは、「薬やカウンセリングで長期的に症状を穏やかにしつづける」という治療をするものです。

ケガや、一般的な身体の病気と違って、「完治」がいつなのかがはっきりしません。

だからこそ、薬が必要であれば飲み、カウンセリングが必要であれば受診するなど自分の心を大事にケアしながら、時間をかけて良くしていくものです。

「クリニックに通院せず、薬を飲まなくて良くなるまで、就職などできない、病歴詐称になってしまう」とは考えないようにしましょう。

うつ病や適応障害などの心の病気も、糖尿病や高血圧などと考え方は同じです。

必要な薬を飲みながら、転職をして仕事をすることは決して悪いことではありません。

偏見があるため履歴書に病名は書かない

うつ病や適応障害で通院していたり薬を飲んでいたりして、業務に支障がある人は、「通院の必要がある」と履歴書に書いた方がいいでしょう。

前述のとおり、入社後に配慮してもらえる可能性が高まるからです。

ただし、糖尿病や高血圧などの病気と違って、精神疾患は多くの会社から偏見を持たれています。

そのため、履歴書の段階では病名は書かず、「持病」という形でぼかしておいた方がいいでしょう。

うつ病や適応障害という病名を書いてしまうと、その病名に強い偏見を持つ会社であれば、書類選考の段階で落とされてしまうからです。

(繰り返しますが、業務時間内に通院の必要がないなど、業務に全く支障がない人は、わざわざ「持病で通院中」と書く必要はありません)

面接で聞かれるので対応を考えておく

持病と書いておくと、おそらく面接で「持病がおありですか?」と聞かれると思われます。

そのときに、どの程度まで自分の病気について話すかは、しっかりと考えておいてください

ここからは、あなたの長い職業人生を考えて判断してほしいところです。

基本的に、会社側の面接官は、履歴書の健康欄に「持病」という文字を見つけると、「持病があるようですが、業務に支障はありませんか?」という視点で、質問してくるでしょう。

この質問は、人によっては「持病とはどういう病気ですか?差支えなければ教えてください」とズバリ病名を聞いてきます。

一方、個人情報への配慮ができる面接官や倫理意識が高い人であれば、病名までは聞きません。

会社が応募者の「健康状態」「既往歴」といった重大な秘密を聞くことができるのは、業務に支障があるかないかを確認するためだけです。

業務に支障がないのであれば、具体的な病名までは本来聞き出すことはできないのです。こういった知識がある面接官は、根ほり葉ほり聞きません。

ただし、「持病」という話題になったときに、応募者側が病名を伏せると、どうしても変な憶測をされてしまいます。

この不安を払拭するために、あなたがどこまで今までのことを伝えるのかを、考えておいてください。

この場合、いくつか考えることができると思います。

うつ病の履歴を話す

一つは、はっきりと「今は業務に支障がない程度に良くなっていますが、以前うつ病でした。現在も薬とカウンセリングで継続的に症状をコントロールしています」と伝えるという選択肢です。

このように伝えると、多くの会社は採用をためらうでしょう。

落とされてしまう確率は高くなるといって間違いありません。

ただし、少ないながらも、うつ病や適応障害に理解を持つ会社があります。

そのような会社は、「うつ病や適応障害の社員でも、服薬やカウンセリングを継続させて正しい労務管理をすれば、問題なく働いてもらえるものだ」と判断してくれます。

本来、あなたが目指すのは、このような正しい知識と労務管理体制を持つ会社です。

ただし、こういった会社はとても少ないため、見つけるのに本当に苦労すると思います。

見つけるのに苦労しますが、もし見つかればあなたの今後の職業人生そのものが楽になることでしょう。

履歴書の健康欄をきっかけにして、その会社がうつ病や適応障害に理解があるか否かを、こちらから判断させてもらうつもりで、面接で確認するというのも考え方の一つです。

病名は伏せ、「業務に支障なし」を貫く

前述のとおり、うつ病や適応障害の履歴をカミングアウトしてしまうと多くの会社から敬遠されてしまいます。

どうしても就職しなければならない事情がある人は、悠長なことは言っていられないでしょう。

その場合は病名は伏せておき、「少し身体の調子を整えるための薬が必要ですが、業務にはまったく支障がありません」を貫くことです。

本来、会社側は応募者の持病などといった個人情報は、病名まで聞く権利はありません

あくまで業務に支障がないことを確認すれば足り、それ以上聞くことは雇用差別を生むため、いましめられているからです。

ただし、病名を伏せると、やはり採用担当者は最悪の事態を憶測すると思います。

それが原因で採用を見送るということもあり得るでしょう。

しかし、「うつ病でした」と病名を伝えるよりは、若干採用される確率は高まるのではないかと思います。

ズバリ病名を指摘されたら答える

面接官によっては、「もしかして、うつ病や適応障害などでしたか?」という形で核心を突いた質問をしてくる人もいます。

そのように病名を指摘されたら、隠しとおすことはお勧めできません

隠して入社したとして、その後、会社になじむことができ、病気の症状が出なければ問題ありません。

しかし、万が一うつ病の症状が再燃して「業務遂行に大きな支障」が出てしまうと、極端な話「病歴詐称」として不利な立場に立たされる可能性があるからです。

例えば、うつ病の症状のせいで、重要な業務ができなくなったり、欠勤が増えたりして、会社に大きな損害が出た、などのケースが「業務遂行に大きな支障」です。

このようなことを避けるためにも、面接でズバリ病名を指摘されたら、不採用の確率は高くなりますが正直に答えたほうが良いでしょう。

本来の目的を超えて、応募者に病歴を問いただすような会社に、無理やり転職する必要はありません。

この会社とは縁がなかったと考え、気持ちを切り替えて次の会社を探しましょう。

臨機応変な転職活動を

うつ病や適応障害で苦しんだことがある人が、転職活動をする際に「健康欄」をどう書くか、悩むことでしょう。

特にこれらの病にかかる人は、真面目で若干融通が利かないことがあり、最初から最後まで律儀に正直な姿勢を貫いてしまって上手くいかないこともあるようです。

難しいかもしれませんが、臨機応変な転職活動を心がけて欲しいと思います。

自分に不利になることであれば、わざわざ書かないことです。

聞かれたら答えなければならないかもしれませんが、聞かれなければ答えなくていいのです。

また、症状が完全になくなるのを待ち続けて、応募したい会社があるのに我慢する必要もありません。

うつ病や適応障害の経験があっても、今調子が良いのなら働く権利があるはずです。

「症状が再燃したら病歴詐称になるか?」「うつ病の履歴を隠していたら、クビになるか?」と怖れ続ける必要もありません。

症状が再燃するかどうかなど、そもそも誰にもわかりません。

健康な人であっても入社してすぐに病気になる人もいますし、不運な事故で休業する人だっているのです。

未来のことを不安がっていては、誰も何もできません

そのため、未来のことは、心配をするよりも「こう聞かれたら、こう答えれば良い」「不採用になったら、それは仕方がない。あきらめればいい話だ」といったように、柔軟に考えられるように頑張ってください。

臨機応変に活動するというのは難しいことかもしれません。

しかしできるだけ、そのときの事情に応じて、考え方や動き方を変えれば良いと考え、リラックスして活動してみてください。

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