今、契約社員や派遣社員、パートやアルバイトで働いている人のうち、正社員として転職したい人がいると思います。
正社員として採用されるには、まず履歴書をきちんと整える必要があります。履歴書で一番見られている項目が「志望動機欄」です。
今回は、正社員になりたい人が履歴書の志望動機欄にどのように書くべきかを解説します。
志望動機を「安定性」だけにしない
非正規社員で働いている人が正社員になりたい理由に、安定性というものがあると思います。
正社員の方が福利厚生や給与体系がしっかりしていることが多いです。
採用側の会社も、今まで非正規社員でいた人が、正社員の求人に応募してくる場合は「安定性を求めているのだな」ということはわかっています。
そのため、安定性を求めて、雇用形態を変えたいと主張しても大丈夫です。しかし、安定性だけを志望動機にしないように注意しましょう。
正社員なりの「苦労」「責任」を理解しておく
また、正社員での雇用は良い部分もありますが、同時に非正規社員としての立場よりも負わされる責任が重くなります。
そのように、正社員としての苦労を負う覚悟をしていることが伝わるようにしましょう。
苦労や責任は覚悟しているが、一方で、それ以上の仕事へのやりがい、充実を求めているから正社員になりたいという姿勢で志望動機を書くようにしましょう。
正社員になれるならどこでもいいと思われないように
応募したい会社には、「どうしてその会社をに応募するのか」をベースとして主張するようにしましょう。
そうしないと、「この人は、正社員になれるならどの会社でもいいのかな」と思われてしまうからです。
採用側の会社は、当然ですが「自社の事業内容や仕事に興味を持っていて、第一志望として応募してくれる人」を積極的に採用しようとしています。
そのため、あなたは正社員になりたいという気持ちよりもまず、その会社に入りたいという気持ちを第一に主張する必要があるのです。
そのためには、応募する予定の会社について、仕事の内容、扱う商品などを調査するようにしてください。
相手の企業を知れば知るほど、あなた自身も興味を持つことができるようになります。
その「興味」が、応募したい気持ちにつながったという流れにすれば、たいていは納得してもらえる志望動機になります。
本当に興味関心を持てば、志望動機を自然な形にまとめることができます。
会社のメリット(貢献できること)を中心に主張
たとえあなたが契約社員しか経験していなかったり、アルバイトしかしたことがなかったりしても、社会に出て働いていたのは事実です。
そこでは何らかのスキルが身に付いているはずです。
人によっては、正社員と同等の仕事をしていて、ある程度の実績を残している人もいるはずです。それらの経験や実績は志望動機欄に盛り込みましょう。
採用を検討している会社は、応募者の前職での雇用形態はそれほどこだわりません。
それよりも、「自社にとってどのような点で役立つのか、貢献してくれそうなスキルを持っているのか」を観察しています。
特に、前職での経験がそのまますぐに役立つような「即戦力」であれば、採用を検討してもらえます。
契約社員から正社員への志望動機の書き方・例文
契約社員の人が、正社員として採用されるための履歴書の志望動機欄を書くためには、まず、なぜ契約社員から正社員になりたいと思ったのかをまとめましょう。
「その職場において正社員登用制度は無かったのか」「契約社員のままでは何が不都合だったのか」といった、採用側の会社の疑問に答える形にします。
さらに、契約社員で仕事をしていたのであれば、おそらく正社員と同じ仕事も経験しているはずです。また、何らかの実績や評価されたポイントがあるはずですから、そこはしっかりとアピールしてください。
応募したい会社に役立つスキルを持ち経験があるから、志望したという形にするのが一番スムーズな方法です。
例えば以下のようになります。
契約社員から正社員への志望動機 例文)
営業事務職の契約社員として3年間、業務に取り組んできました。
そろそろ本腰を入れて責任ある役割を担いたいと思い、契約社員から正社員での登用を目指し会社と交渉しました。(契約社員から正社員になりたい理由)
しかし、登用制度がほとんど機能していないということで、前職での正社員登用は断念いたしました。(転職を決意するきっかけ)
前職では最初は営業事務業務のみを行っておりましたが、ミスが少ないことや簿記3級の資格があるため経理職も任されてまいりました。(実績や評価されたポイント)
貴社にて「一般事務および経理事務」の仕事は、私の今までの経験が活きる(会社のメリット)のではないかと考え、応募いたしました。
もしスペースに余裕があるのなら、少しでも「正社員になりたいと思った具体的なきっかけ」に触れるようにしてください。
さらに、なぜその会社を選んだのかについても、詳しく具体的に書いた方が、採用担当者の目にとまります。
派遣社員から正社員への志望動機の書き方・例文
派遣社員の人も、正社員として転職したい理由が「安定した雇用形態で雇われたい」であってもかまいません。
また、派遣社員特有の、あちこち職場が変わるといった労働環境から、じっくりと腰を据えて一つのところで頑張りたいといった志望動機も、納得されやすいでしょう。
派遣社員は、いろいろな職場を経験しているはずです。
そのため、基本業務スキルだけではなく、臨機応変さや幅広い知識や経験があると思います。ぜひその部分を上手にアピールしてください。
派遣社員から正社員への志望動機 例文)
主に事務職の派遣社員として5年間勤務してまいりました。
配属された会社の業界はさまざまで、貿易関係から精密機器製造業、アパレル、物流業界などです。
そこでは一般事務にとどまらず貿易事務も経験いたしました。英文でのメール対応や簡単な電話対応のスキルも身につけました。(幅広い知識や経験)
ただ、派遣社員ではどうしても責任ある業務を任されず、物足りなさを感じるようになりました。
そのためこれからは、派遣社員ではなく、一つの会社にてじっくりキャリアを築いていきたいと思っています。(正社員を目指す理由)
この度貴社の「輸入・貿易事務(経験者)」の募集を拝見し、ぜひこの機会に今までの実務能力を活かし、長期間貢献したい(会社のメリット)と考え、応募いたしました。
アルバイトから正社員への志望動機の書き方・例文
アルバイトしか経験がない、フリーターなどであっても、やってきたことは「仕事」に違いありません。
仕事を通して、さまざまな経験をしてきたはずですし、そこで学んだ技能もあるはずです。正社員と同じように、経験を棚卸して、応募したい会社が求めていそうな部分をアピールするようにしてください。
さらに、正社員として応募する以上、「長期間、責任を持って働く覚悟がある」という意思を示しましょう。
例えば以下のようなものです。
製品の配送、陳列などを行ってきました。
学生アルバイトからの延長でしたが、大変やりがいがありました。配送、陳列の補助の身でしたが、配列の仕方によって売り上げが大きく変わることを知り、とても面白いと感じました。(知識や経験)
また、製品の仕入れや在庫管理も指導していただき、アルバイトという身分ではなく、より深く、責任を持って小売販売業の世界で頑張りたいと思うようになりました。(正社員を目指す理由)
今回、アルバイト先にて貴社の正社員求人情報を知りました。
自分が経験してきたフィールドで、配送、陳列、そしていずれは仕入れや管理業などにもチャレンジしたい(会社のメリット)と考えています。
貴社にて腰を据えて取り組みたいと希望しております。(長期間、責任を持って働く覚悟)
志望動機を書くときは、アルバイトしかしたことがない、フリーターであった、などを気にする必要はありません。
正社員の人と同じ感覚で、今までの仕事で得た知識や感じたこと、次の仕事で活かせそうな能力をアピールすればいいのです。
わざわざ長期間「フリーターであった」「不本意ながらバイトしか就業できなかった」といったことは、全く書く必要はありません。
転職サイト(エージェント)に協力してもらう
非正規社員で、これから正社員になりたい人は、必ず転職サイト(エージェント)の力を借りるようにしてください。
十分注意して書いたつもりの履歴書であっても、一人で作っているとミスをするものです。転職のプロの目でしっかり添削してもらわないと、書類選考を通ることは難しいです。
また、正社員経験が乏しく、非正規社員であった期間が長ければ長いほど、「正社員になれない事情があったのか」とか「短期で職を変えたいタイプなのだろうか」といった誤解されることがあります。
そのような考えの面接官も中にはいるため、応募したい会社に上手に取り次いでくれるプロの仲介を得た方が、希望の職へ正社員として採用される確率は高まるでしょう。
履歴書を上手く書いても、次は面接に呼ばれ、さらに正社員として大事な労働条件を交渉しなければなりません。
正社員として入社する以上、給与や労働時間、残業の有無や、休日休暇の取り決めなど、しっかりしたところを選ばないと、大変なことになります。
今までと違って、正社員での採用であれば、長期間働くことを前提として採用されます。
途中で簡単に変えられないからこそ、最初から労働条件も良く、給与面でも納得できる会社に入らないといけないのです。
しかし、労働条件の取り決めといった大事な交渉は、非正規社員の経験しかない人にはとても難しいものです。
会社の中には、非正規社員だからといって足元を見て、なるべく安く給料で採用しようと考えているところもあります。
相手の提示する条件をそのまま受け入れてしまうと、非正規社員であったときよりもずっと悪い条件で働かなければならなくなる可能性もあります。
こういったことにならないように、転職サイト(エージェント)を利用しましょう。
大事な交渉を一人でしようと思わずにプロの手を借りて、有利な条件で正社員になってください。