転職活動をしていると、求人先の会社にいろいろと質問をしたくなるときがあるでしょう。
基本的に、聞きたいことを確認することはしても良いのですが、相手の企業は多忙なことが多いため、マナーを守って簡潔にしなければいけません。
近頃は、唐突に電話をして質問するよりも、メールの方が好まれるようです。
今回は、応募したい会社に質問メールを送る際のマナーと、状況別の参考例文をまとめました。
質問、問い合わせメールの注意事項
求人広告を見ていると、応募したい会社が見つかりますが、書かれている情報のなかに、疑問点や確認したいことなどが出てくると思います。
具体的な仕事の内容や募集要件の解釈の仕方、商品のことや、面接日の設定方法、入社日までどのくらい猶予してもらえるか、など聞きたいこともあるでしょう。
これらのことは、きちんとしたマナーを守って質問すれば、答えてくれます。
しかし採用の担当者は多忙な場合が多いため、問い合わせをあまり歓迎してはいません。
求人情報には「お気軽にお問合せください」と書かれていても、本音はあまり問い合わせはして欲しくないものです。
そういった事情に配慮して、相手の負担にならないようにしてください。
たとえ応募前の質問であっても、失礼があるとマイナスな意味で相手の記憶に残ってしまいます。
問い合わせであっても「選考」の一つであると心得て、以下の点に注意しましょう。
選考前段階に聞いて良いことだけを聞く
応募を迷っているときに質問をする場合は、選考前の応募者が聞いても良い内容だけを聞くようにしましょう。
選考前の応募者が質問しても良い内容とは、以下のようなことです。
- 募集されている要件の詳細(選考対象になるか否かの確認)
- 具体的な仕事の内容の確認
- 勤務地についての調整が可能か同課の確認
- 面接日の調整をしてもらえるかどうかの確認
- 在職中であり入社日の調整ができるかどうかの確認
これらのことは、応募前にきちんと確認しておかないと、そもそも選考対象にならないとか、自分が思っているような仕事ではなかったということになりかねません。
相手の会社も、これらの質問がマナー通りに送られてきたら、通常問題なく対応してくれますから、疑問点は確認してもいいでしょう。
後ほど例文を紹介しますから、参考にしてください。
答えにくいことを聞かない
一方、応募前には聞かない方が良い質問もあります。
例えば、以下のようなことです。
「入社後は、昇給しますか?」
「筆記試験を行うと書かれていますが、何が出題されますか?何点取れば合格しますか?」
「残業ができない日があるのですが、そういう人でも採用される可能性はありますか?」
これらのような、給与や待遇のこと、あるいは具体的選考基準は聞かないようにしましょう。
質問・問い合わせメールは、一般的に会社の窓口スタッフに届きます。そのため、このような採用実務に踏み込んだ質問をされても、答えることはできません。
さらに、厚かましいと思われやすいので、やめておきましょう。
調べればわかることは聞かない
求人情報を読めばわかるようなことを質問しないようにしましょう。
また、面接場所へのアクセスや、持っていくものの詳細など、自分で調べればわかるようなことは聞いてはいけません。
たまに、「御社のビルの入り口にはわかりやすい目印はありますか」とか「履歴書に貼る写真はスピード写真で撮ったものでもかまいませんか?」などの質問メールを送ってくる人がいます。
細かく確認したくなる気持ちもわかりますが、「そのくらい自分で調べることもできないのか?」という致命的な悪印象を与えます。
社会人マナーや転職活動のルールなど、基本的なことは質問メールをして相手を煩わせてはいけません。
質問メールの書き方
質問メールを書く際も、マナーを守って書くようにしましょう。メールの作成段階にもいくつか注意点があります。
内容が一目でわかる件名をつける
メールの件名は、一目で内容がわかるものにします。
採用担当者あてのメールであっても、募集時期は1日に20~100件ほどメールが来ます。さらに業務外のメール(勧誘など)も受信しているので、件名がはっきりしないと見逃されてしまう可能性があります。例えば以下のようなメール件名にしましょう。
【転職情報誌〇〇ジョブ】販売企画職への応募についてのご質問 |
会社によっては、求人広告を複数の媒体に提示していたり、複数の職種について募集をかけていたりすることがあります。
さらに、求人媒体や募集職種によって、それぞれ採用担当者が違うことがあります。
そのため、どの媒体に出している、どの職種についての質問なのかがわかるようにすると、担当者にきちんと回してもらえます。
応募の意思を伝える
「質問があるんですが、いいですか?」といった、自分の立場を名乗らず全くの第三者のような形で質問をしてくる人がいますが、これだと失礼です。
メール本文の前段階には、必ずあなたが応募者であり、これから応募を検討しているということを書きましょう。例えば以下のような形です。
〇〇株式会社 人事部採用ご担当者様
突然のご連絡を失礼いたします。〇〇(氏名)と申します。
この度、「転職サイト〇〇ジョブ」にて
貴社の販売企画職(経験者)募集を拝見いたしました。
つきましては、ぜひ面接の機会を賜りたいと希望いたしております。
応募に際してですが、勝手ながら下記についてご確認させていただきたく・・・・・・
このように、あなたが募集案件に対して、応募したいという意思を持つ人であるということをはっきりさせて、本文の質問にうつるようにしてください。(質問の本文例は後述します)
携帯メール、現職の業務メールは避ける
質問メールを送信する際に、携帯電話からのメールを使用する人がいますが、あまり良く思わない担当者が多いようです。
できれば、パソコンで使用しているメールアドレスを使うようにしてください。
個人のアドレスがない人は、GメールやyahooメールなどのWEBメールを使用してもかまいません。
また、在職中の人が、現在の仕事で使っている業務メールで送信してくるケースがありますが、これをする人は高い確率で不採用候補になります。
社会人マナーに乏しく非常識であり、危機管理意識が低いと思われるからです。
ファイル添付はしない
メール本文が長文になりそうだからといって、docやtxtなどにまとめて添付する人がいますが、会社から指示がない限りファイル添付はしてはいけません。
ウイルス感染の危険性があるとか、ファイルが開かないことがあるため、外部の人からのファイル添付を非常に嫌う傾向があるからです。
指示がない段階で、履歴書や職務経歴書のファイルを添付するのも、非常識な応募者と解釈されやすいので、やめておきましょう。
応募者(あなた)の情報を簡潔に
メール本文には、あなたがどのような人なのかを簡潔に書いておきましょう。
ここで自己PRを始めてしまったり、熱意を語ったりしないように注意してください。質問メールはあくまでビジネスメールです。
応募前の質問の段階では、あなたの情報を伝えるだけにとどめておきましょう。
例えば以下のような感じです。
◆自己紹介◆
<氏名>山田 一郎(やまだいちろう)
<年齢>満27歳
<住所>〇〇県〇〇市〇〇区1-1-10
<最終学歴>〇〇県立大学 法学部卒業
<職歴要約>2008年4月 機材メーカー営業職に新卒入社、在職中
入社後勤続6年目、〇〇製品の営業、技術サービス業務を担当。
<連絡先>携帯電話 090-1111-0000
メールアドレス yamada0898sample@mail.com
一行を35字以内で改行し、読みやすくする
メール本文は、長い文章を避けてください。箇条書きで書けるところは箇条書きにしてもかまいません。
メールソフトには、受信したメール文章を1行36文字程度で改行するしくみのものがあります。
送る側が長い文章で書いていると、変なところで改行されてしまって読みづらいことがあります。
そのため、あらかじめ1文は35字以内に改行して読みやすい体裁に整えておきましょう。
カジュアルな記号、環境依存文字は使わない
記号を使うときには、★ ♪ などは使用しないようにしましょう。カジュアルで幼い印象を与えてしまうからです。
また、「!」なども使いすぎるとハイテンションな印象を与えるため、控えめにしてください。
機種依存文字である「半角カナ」や、「①」などの装飾数字、「Ⅱ、Ⅳ」などのローマ数字、「㈱」などの省略記号、「㎥」㌧などの単位記号は、表示させるパソコンの環境によって、文字化けすることがあります。これらを使わないように気を付けてください。
一度のメールで質問項目は3つが限度
質問したいことがたくさんあったとしても、一度のメールでは3つ程度にまとめて聞くようにしましょう。
あれこれ聞きたいと思っても、質問の前に、自分で質問内容を整理してください。求人情報をしっかり読めばわかることであるかもしれません。
返答する方も、3つ以上の質問が書かれていれば、調べて返答メールを書くのも大変なことです。
また、質問内容が細かすぎたり多すぎたりすると「いちいち聞いてくるうっとうしい人」と思われることもあります。
質問別の参考例文
では、上記のようにメールのマナーを守りつつ、質問したい事情別はどのように書けば良いでしょうか。
参考例文とそれぞれの注意点は以下のようになります。
入社日を調整してもらえるか質問メール例文
在職中の人は、入社の日がまだ確約できないはずです。内定後から入社までの期間を調整してもらえるかを質問するための例文です。
件名 【転職情報誌〇〇ジョブ】販売企画職への応募についてのご質問
〇〇株式会社 人事部採用ご担当者様
突然のご連絡を失礼いたします。〇〇(氏名)と申します。
この度、「転職情報誌〇〇ジョブ」にて
貴社の販売企画職(経験者)募集を拝見いたしました。
つきましては、ぜひ面接の機会を賜りたいと希望いたしております。
応募に際してですが、勝手ながら下記についてご確認させていただきたく
応募のご連絡に兼ねてお尋ね申し上げます。
なにとぞご検討いただき、選考対象となるようでしたら
今後のご指示を賜りたく存じます。
なお、選考の対象外となる場合も、ご返信を頂けますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
◆質問 入社日の調整について ◆
私は現在在職中のため、入社日の確約ができない状態です。
もし内定をいただいた場合でも、内定日から入社まで
およそ1か月ほどの猶予をお願いしなければなりません。
このような応募の場合でも、選考の対象となりますでしょうか。
現職はできる限り円満に、業務引き継ぎを行って離職したいと
考えているためです。よろしくご検討お願いいたします。
◆自己紹介◆
<氏名>山田 一郎(やまだいちろう)
<年齢>満27歳
<住所>〇〇県〇〇市〇〇区1-1-10
<最終学歴>〇〇県立大学 法学部卒業
<職歴要約>2008年4月 機材メーカー営業職に新卒入社、在職中
入社後勤続6年目、〇〇製品の営業、技術サービス業務を担当。
<連絡先>携帯電話 090-1111-0000
メールアドレス yamada0898sample@mail.com
勤務地の希望を聞いてもらえるか質問メール例文
勤務地が「東京」「大阪」「名古屋」など複数書かれていて、どのに配属されるのか不明である求人情報もあります。
自宅から近いところに希望して配属してもらえることがあるのか、あるいは勤務地は会社側が決めるのかを知りたい場合の質問メール例文です。(件名、挨拶、自己紹介は省略)
◆質問 勤務地について ◆
勤務地が、東京、大阪、名古屋とされています。
もしご縁があり、採用いただいた場合には
希望勤務地に配属していただける可能性があるのでしょうか。
あるいは、採用後に御社のご判断で勤務地が決まるというしくみでしょうか。
基本的に御社規定に従う予定でおりますが、住居の準備の関係で
事前に確認したく、よろしくご検討お願いいたします。
また、転勤があるのかないのか、はっきりと書かれていないときは事前に確認したほうがよいでしょう。転勤についての質問例文です。
◆ 質問 転勤の有無について ◆
勤務地について、〇〇事業所と記載があります。
もしご縁があった場合の勤務地は、〇〇事業所のみでしょうか。
あるいは、東京本社、あるいは〇〇支店などへの
転勤の可能性はありますでしょうか。
面接時間を夜にしてもらえるか質問メール例文
在職中であると、平日の業務時間に面接を受けにいくのが難しいと思います。
依頼すれば、面接時間を業務外にしてもらえるかかもしれません。面接時間を夜にしてもらえるか、質問するための例文です。
◆質問 面接時間について(19時以降あるいは土曜日を希望) ◆
私は現在在職中のため、平日の9時~18時までは面接にうかがうことが
なかなかできません。
大変勝手な事情を申し上げて恐縮ですが、平日であれば19時以降
あるいは土曜日などで、面接の機会を頂戴することは可能でしょうか。
募集要件に合うか質問メール例文
求人情報に書いてある募集の要件がはっきりわからないときや、選考対象から大きくズレていないかを確認するための質問例文です。
◆質問 実務経験3年に満たない場合の応募 ◆
今回の〇〇職求人において、〇〇業務を3年以上経験していることが
要件となっております。
しかしながら、現在、〇〇業務に携わってはおりますが
実務経験が1年しかありません。
このような応募の場合でも、選考の対象となりますでしょうか。
〇〇職に必要な資格である〇〇検定2級は取得しており
日々業務に精進しております。できればご応募の機会を頂戴したいと
考えております。よろしくご検討お願いいたします。
まだ応募は締め切っていないか質問メール例文
求人情報を見ていたら、かなり前に掲載されているものであり、募集期限が間近であったり、募集期間が過ぎていたりすることがあります。
しかし、求人情報に掲載されている期間は、目安であり、過ぎていても応募を受け付けている会社もあります。
まだ応募できるか質問したい場合の例文は以下のようになります。
◆質問 募集期日後の応募について ◆
〇〇職の応募受付期間が〇月〇日で締め切られておりますが
今から応募することは可能でしょうか。
以前から希望しておりました御社の〇〇職に、応募いたしたく
すでに募集打ち切りということでなければ、ぜひ機会を賜りたいと
思っております。
返信が来たら
質問メールを送った会社から返信が来たら、その件について理解したことと、お礼のメールを必ず送っておきましょう。
目安として、返信を受信してから24時間以内にはお礼メールを出しておきたいものです。
ここで、「そういえばあれも聞きたい」とあれこれ聞きたくなって、「では、〇〇の場合はどうなりますか?」のように、メールのやり取りを繰り返させるのは良くありません。
「質問したことに対する回答を得て、承知した」という内容のみにとどめておきましょう。
疑問を持ったままの応募は危険
このように、応募したい会社への質問はメールにてマナーを守って行うようにしましょう。
応募の前段階の質問メールも、選考の一つであることを認識して、気を抜かずに頑張ってください。
本気の転職であればあるほど、質問したい項目もたくさん出てくるものです。
しかし、一人で転職活動している人が、欲ばってあれこれ質問しまくってしまうと、相手にも悪印象を与えることがあるため、気をつけなければなりません。
その点、転職サイト(エージェント)などに依頼すれば、これらの「聞きにくい質問」は、代行して聞いてくれますから大変便利です。
特に在職中の人など、日中に質問が自由にできない人は、積極的にエージェントを活用しないと効率よく活動はできないかもしれません。
疑問点のあるまま勢いで応募しても、希望どおりの転職はできません。
「質問の仕方」といったところから手を抜かず、戦略的な活動をするようにしましょう。