上司に無視される理由と対処法:悪質な無視は「職場いじめ」

職場のいじめ・ハラスメント

何故か、上司などの職場の人から無視されている人がいます。

狭い環境の中で、毎日顔を合わせる人から、あからさまに無視をされるのは本当に辛いものです。

ましてや報告、相談などをしなければならない上司から無視されてしまうと、仕事がうまく進みませんし、精神的に病んでしまうこともある、重大なことです。

今回は、上司に無視されてしまう原因と対処法について解説します。

無視の対象者を冷静に確認する

あいさつをしても返事をしてくれない、相談をしてもそっけない答えしかくれないなど、上司から無視されていると感じると、とても居心地が悪いものです。

自分が何か悪いことをしたのかと不安になりますし、嫌われているかもしれないと感じている人もいるでしょう。

ただし、その上司が本当に無視をしているのかどうか、冷静に確かめてみる必要があると思います。

その上司が無視をする対象者はあなただけでしょうか?

職場の人全員に対し、そっけない態度をしていませんか。

あるいは、男性にだけ冷たいとか、女性にだけ話しかけないといった性別によって違うことはありませんか。

一度、上司が無視しようとしている対象者を冷静に読み取ってみましょう。

無視している対象者が、あなただけではなく、「男性すべて」「〇〇部の人」「新人」など、カテゴリー分けできるかもしれません。

その場合は、上司はそのカテゴリーにいる人に対し悪感情を持っているのです。

あなた個人への無視ではありません。

あるいは、単に人見知りしやすい人であったり、人付き合いが苦手な人というだけということも考えられます。

無視される原因を探し改善する

上司が無視をする対象があなただけである場合は、上司があなたにだけ感じる何らかの悪感情があるのだと思います。

まずは、その原因を探し出してみて、改善できることがあれば改善しましょう。

上司のプライドを軽視した

管理職となっている人のすべてが人格者とは限りません。

むしろ、実務能力はあっても人格が未熟で、「おだてられたい」「認められたい」と強く思っている小心者も多いです。

上司がこのタイプの人であると、上司を立て、へりくだり、時にはお世辞をいい、よく気がついて世話をしてくれるような「甘やかす母親」のようなタイプの部下でないと気に入りません。

もしあなたの上司がこのような人であれば、あなたはこの上司の甘えたプライドを満足させていないから無視されているのかもしれません。

今いる職場で何とか仕事を続けたいのなら、上司のプライドを満足させるための努力をしてみましょう。

以下のような態度を意識することで、少しずつ無視から解放されるかもしれません。

「ご指導お願いします」という態度で、こまめに相談し指示を仰ぐ
「さすがですね」「おかげさまで、ご指示に従ったら、うまくいきました」と指導力を信頼するフリをする
「至らないところがありましたら、どうぞおっしゃってください」とへりくだり、不満があれば、言わせるようにしむける

上司は、部下に頼られたいという願望があります。

そして部下を指導して、成長させ、「自分が育てた」と思いたいのです。

そういったプライドを、満足させる部下としてふるまいましょう

馬鹿げた努力に思えるかもしれませんが、こういった配慮ができるようになると、職場での人間関係は誰とでも上手くいくようになります。

生意気な態度があった

以前どこかで、上司に対して生意気な態度を取ったり、上司の意見に対して反論したりといったことを根に持っている可能性もあります。

たとえ生意気であったとしても、指導すればよいものを「無視」という子どもじみた方法で報復するのはいかがなものかと思いますが、無視する上司は人格が幼いので仕方がありません。

もし思い当たることがあるのなら、素直に態度を改めたり謝ったりするほうが良いでしょう。

上司にとって「異質」な存在

人を無視するということは、その人の存在をないものとして扱うということです。

人が相手をこのようにしたがる心理背景として、自分とあまりにも違うものを受け入れたくないというものがあります。

頭が固い上司であれば「職場ではみんなと同じでなければならない」という考え方かもしれません。

つまり、働き方だけではなく、服装や態度、生き様、話し方、反応の仕方など、あらゆることについて、他の社員と同じでなければならないと固く信じ込んでいる人がいます。

そうでない人がどうしても許せないため、暗黙の抗議をするのです。

もしかすると、上司にとって、あなたがとても異質な存在に見えているために無視されているのかもしれません。

ありがちなのは、男性が多い職場での女性や、その逆で女性が多い職場での男性などです。

または、若い社員が多いなかでの中年以降の社員や、正社員のなかにポツンと派遣社員がいると、その人が異質に見られるようなケースです。

あるいは服装が少し派手だとか、髪型や髪色に個性があるのかもしれません。

いずれにせよ、そんなことで無視をするのであれば、ある意味差別とほとんど変わりありません。

しかし無視という方法で人を傷つける人は、そもそも平等意識や成熟した対人関係力を持ちません。

「あなたのしていることは差別だ」といっても、改善させることはできません。

そのため、あなたの側が上司側に歩み寄り、その「異質さ」を何とか縮めていくことができるか努力してみましょう。

職場のメンバーと同じように振舞ったり、服装や髪型に異質なところがあるなら、周りの人とトーンを合わせてみてください。

歩み寄ることができない無視

上司に無視されるという場合、部下の側にも問題があるケースを見てきました。

上司だけの問題とはせずに、自分の態度に非があるなら、改善して歩み寄る態度も大事です。

しかし、なかには歩み寄る余地のない理由で、部下を無視する人がいます。

部下への嫉妬、ライバル視

上司が部下を無視するというのは、職場いじめ(モラハラ)の一つです。

そのようないじめをしたくなる人の、醜い心理の一つに、「嫉妬、羨望、ライバル視」というものがあります。

上司であるにもかかわらず、部下へ嫉妬する人がいます。

これは、あからさまには言いませんからわかりにくいものですが、以下のようなことを嫉妬に感じて、対象の人を無視していじめる人がいるのです。

  • 自分より学歴が高い
  • 自分より業務スキルが高い(PC、営業成績など)
  • まわりの社員に人気がある
  • 取引先からの人気がある
  • 他の上司から期待されている
  • 自社よりもレベルの高い会社から転職で入社してきた
  • 見た目が良い(背が高い、スタイルが良い、美形、服センスが良い)
  • 高価なものを持っている(車、時計、服装、装飾品、カバンなど)
  • 結婚している、恋人がいる

信じられないことですが、自分が持たないものを持っている人に対して、気に食わないから無視していじめてやりたいと感じる人がいます。

嫉妬やライバル視は、同僚同士で起こるとは限りません。

上司側が部下に対して嫉妬することも、よくみられます。

その対象が部下であれば、無視することで簡単に部下を傷つけることができます。

自分の地位を使って、相手を陥れて、「自分の方が優れている」と感じようとしているわけです。

こういった場合、被害を受けている部下側にできることはほとんどありません。

持っているものを捨てることもできませんし、そもそも上司が何を嫉妬して無視をするのか、気づくことができない場合もあります。

特に多いのが、学歴が高い部下への嫉妬です。

また、独身の上司であると、若くして結婚して家庭を持つ部下や恋人がいる部下へ嫉妬して、無視をしたり陰口をいったりする人が多いようです。

裏に本当の事情(恨み)がある

無視をする理由が、表面には出てこないような「裏側」に事情がある場合があります。

たとえば、以前部下に異性として交際を申し込んだのに、断られてしまったために、腹いせとして無視するなどです。

あるいは、社内にある暗黙の不正ルールを告発したために、無視されはじめたというケースもあります。

たとえば、上司という役割に就いた人は、「交通費を割り増しして請求しても良い」という、暗黙の不正ルールがあるとします。

それに対し、律儀に「恐れ入りますが、交通費が割り増し請求されています。正しい計算をしてください」と指摘した経理社員が、後になってこの上司から無視されたという実例があります。

このように、無視されるという行為の裏には、人には言えない本当の裏事情(恨み)がある場合があります。

しかし、これらには被害者側は対処するすべはありません。

無視が続いたときの対処法

上司が部下を無視する理由についてみてきました。

もし、今上司から無視されているのであれば、上記のような理由があって、無視されているのかもしれません。

自身にも原因があって、改善できるのであれば、改善の努力をしてみてください。

しかし、多くの場合、その原因は部下側にではなく、上司の心理面に原因があります。

そのため、上司側の心理を変えさせようと努力しても、効果が出ないことが多いのです。

職場で無視されるというのは、とても辛いので、あまり深刻に考えすぎると心の病になることがあります。

以下のような自己防衛をして、何とか心を守るようにしてください。

無視を無視する

上司から無視されているということを、無視する方法です。

気にしないとか、なるべく上司のことを考えず、接しないで済ませるようにしてみましょう

これは、できる職場とできない職場があると思います。

入社したてで仕事も覚えておらず、教えてくれる役割の人がその上司のみであれば、難しいかもしれません。

しかしその場合であっても「無視されている」ということを気にしないということも考えられます。

つまり、気にせずにどんどん上司に語り掛けていったり、質問をしたり、勝手に会話をすすめて、「無視されてはいない」という状況をあなたの側で無理やり作ってしまうのです。

こちらが強気に出ることで、小心者の上司は態度を改めるかもしれません。

自分の理解者を作る

「無視される」という行為は目立ちにくく、証明できないため、反論もできません。

そのため、無視される側は次第に「自分が悪いから無視されるのだろうか」「なぜ無視されるのかわからない、自分の感覚が信じられない」という心理状態に陥ります。

無視する上司の狙いは、あなたを自分より下であると思い知らせることです。

また、居場所を失くして孤立させたいと目論んでいることも考えられます。

あなたが一人で上司の無視に耐えていれば、次第に孤立した心理状態になっていきます。

それを防ぐためにも、社内の誰かに自分を理解してくれる人を作っておきましょう

同僚や、気の合う先輩などがいれば、無視をされているという事実を話して共感してもらいましょう。

あまり上司の悪口を言うのはおすすめできませんが、「あなたはそれほど悪くない」「無視されるのは辛いよね」と理解してくれる人がいるだけでも、心理的孤立が防げます。

上司の上司に相談する

本来、事情があるにせよ職場の人、ましてや部下に対して無視をするという行為は、あってはならないパワハラ行為です。

もし悪質なレベルでの無視(あいさつすら無視するなど)であれば、パワハラ行為として会社側に相談するのも選択肢にしましょう。

いきなり告発するのも角が立ちますので、まずは上司の上司にあたる人に、無視されているという事実を口頭で相談するようにしてみてください

上司の上司にあたる人がいなくても、無視をする上司に対し何らかの影響力を持つ人がいれば、その人に相談しても良いでしょう。

その際は、事実のみを伝えることと、相談した人に具体的に何をして欲しいのかを考えてから相談しましょう

例えば以下のような形です。

無視されている事実

私は〇〇さん(上司)から無視されています。たまに、仕事に必要な情報すら回してもらえないことがあります。

会議でも私には発言の機会をいただけませんし、何かを発言しても何もご意見をいただけません。

最近では、あいさつをしても返事をしてもらえません。

このままではとても働きづらく、仕事への意欲も低下しそうです。

具体的に何をしてほしいか

〇〇さんに、職場の中では無視をしないで、仕事に必要なコミュニケーションだけは取っていただけるように言っていただけませんでしょうか。

また、私が再度無視されたときにどう対応したらよいのか、助言をお願いします。

このように、事実だけをできるだけ端的に、感情を交えずに相談しましょう。

相談する相手には、今後具体的に何をして欲しいのかを伝えた方が、相談された方も動きやすくなります。

無視されていた記録だけはつけておく

今はまだ退職するつもりも仕返しするつもりもないかもしれませんが、無視されていたという事実を、メモなどに残しておきましょう

もし無視されることが辛すぎたら、会社を辞めることも考えると思います。

その場合、職場での冷遇(無視、仕事を与えない、情報を与えないなど)が理由で会社を辞めた人は、失業保険で少し優遇されることがあります。

上司の無視が辛くて自己都合退職扱いで辞めたとしても、ハローワークで「特定受給資格者」に認めてもらえば、会社都合退職の人と同じ手厚い給付を受けられます。

特定受給資格者とは、倒産や解雇等により、離職を余儀なくされた人のことをいいます。

この、「離職を余儀なくされた人」という項目には、次のような人も含まれます。

上司、同僚等からの故意の排斥または著しい冷遇もしくは嫌がらせを受けたことによって離職した者(例:パワハラ被害に遭った、職場で無視され冷遇されたことに耐えきれず辞めた

このような人は、たとえ自己都合扱いで退職していても、ハローワークで審査してもらえば、会社都合で辞めた人と同じ扱いにしてもらえます。

給付制限期間なしですぐに失業手当がもらえ、かつ支給額も高くなります。

そのためには、職場で無視されていたことを証明できる、何らかの証拠物があると審査がスムーズです。

「無視されていた」ことを証明するモノが乏しいため苦労するかもしれませんが、いつ、どのような形で無視されたのかを日記のようにつけておくだけでも、証拠になります。

無視が続くなら異動か転職で環境を変える

上司からの無視が続き、改善しないようであれば、最終的には異動願いを出して違う部署で働くか、転職をして環境を変える方が良いでしょう

一人の上司から無視されているだけであれば、まだ耐えることができるかもしれません。

しかし、卑劣なタイプの上司は、周囲の人を巻き込んで集団で無視するケースがあります。

上司に影響力がある人であれば、周りの人と共謀して、孤立させてくるかもしれません。

そのような職場環境になっても我慢し続けると、いずれ心と身体が壊れてしまいます。

悪質な無視は、職場いじめ(モラルハラスメント)ともいえます。

心身を壊して治療に時間と労力をかけるより、早めに上司から距離を置いて、新しい環境で頑張った方が良いです。

無視してくる上司に仕返しをしたいとか、会社側に訴えてこらしめてやりたいという気持ちになる人もいるかもしれません。

どうしても仕返ししてやりたいと思うのなら、大変な道ではありますが、職場いじめやパワハラ裁判という形で、上司側と闘うこともありだと思います。

しかし、報復で時間と労力を使うより、新しい環境を探す方に歩んだ方良いのではないでしょうか。

実務レベルをあげる資格を取りにいくとか、転職の準備をするなど、少しでも前進してください。

職場の部下を無視していじめるような、精神的に幼い人間と同じレベルでとどまっていても、大事な時間を無駄に浪費するだけだからです。

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