転職をしたいと思っている人にとって、次の会社での年収はとても重要なことです。
計画的に「いくらくらいの年収は欲しい」と決めておき、「交渉はいつ行う」とはっきりさせておかないと、転職先に言われるままの額で採用されてしまって後悔することがあります。
転職を検討している人は、必ず「年収は交渉できる」というつもりでのぞんでください。
入社してから交渉しようとしても遅すぎます。
さらに、「この額以下であれば入社はしない」と決意しておかないと、「いい会社だったから、まあいいか」などと妥協して、後悔することもあります。
そこで今回は、年収の交渉の時期や方法、考え方について解説します。
無計画でのぞむと「年収減」で妥協することになる
あなたがこれから転職をしようとしていて、現在の収入よりも年収をあげたい、あるいは下げたくないと考えているのなら、年額いくら以下なら絶対に入社しないという決意をしてのぞんでください。
年収交渉というのはとてもデリケートで難しいため、一人でうまく交渉できないことが多いのです。
そして、職務経歴書を書くことや、うまく自己アピールすることに夢中になってしまい、ついつい忘れてしまいます。
そして、ついに得られた内定通知書に喜んで、「ぜひ入社させてください」と連絡してしまい、数日後に届いた雇用契約書に記載されている給与額を見てがっかりするのです。
内定通知書を受け取って、承諾(入社の意志を伝える)してしまうと、よほどのことが無い限り「もう少し条件をあげてください」とは言いづらくなります。
そのため、内定をもらって勢いで承諾してしまってはいけません。
もっといえば、転職を決意した段階で、「この条件以下では、どこであっても絶対入社しない。妥協せずに探そう」という意志を強く持ってください。
希望額を伝えたら検討してもらえると思い込まない
また、面接時に「給与はどのくらいを希望しますか?」と聞かれて希望額を伝えたから、その額で採用されるだろうと思い込まないことです。
面接のときに聞かれる希望額は、あくまで希望額であり、その額で採用するかはその会社の判断にゆだねられています。
内定の後に、「希望額は〇〇円だったけど、悪いがうちは〇〇円しか払えないのです。いいですよね?」のような形で迫られ、やむなく合意したという人もいますから注意してください。
敏腕面接官に乗せられてはいけない
また、敏腕面接官に乗せられてしまい、低い年収で採用されてしまう人もいますから注意してください。
会社とははシビアなもので、できるだけ低い年収で良い人材を使いたいと思うのが本音です。
敏腕の人事担当者の中には、面接で応募者を懐柔し良い雰囲気を醸し出して「ぜひ入社したい」と思わせ、低い年収であっても採用するというテクニックを持っている人がいます。
そういった人は、巧みな話術でその会社の労働環境の良さややりがいを示してきます。
さらに「あなたには、ぜひ来てほしいです」「当社が求めていた人材です」などと持ち上げます。
そのように言われると、応募者としても期待しますし、給与の額よりも、その会社でのやりがいや雰囲気の良さに飲み込まれてしまい「この会社に入りたい」と思うのです。
この時点で、しっかり「〇〇円以下では絶対入社しない」という決意をしていない人は、おそらく内定通知書が届いたら、年収交渉のことなど忘れて承諾してしまうことでしょう。
また、「あれほど面接で高評価だったのだから、こちらの経験と年齢を配慮してくれて、良い条件を考えてくれているに決まっている」と思い込まされてもいるので、なおさらです。
しかし、数日後に交わす労働契約書には、今の職より大幅に低い給与額が書かれていて、その時に「しまった!」と後悔することになるのです。
人事部の採用担当者とは、そのように、会社の経費(給料)を低くおさえ、良い人材を採用するという能力が高く評価されます。
そのため、このような場合は、面接官は本来の仕事をしただけで、何も悪いことはありません。応募者のほうが、準備不足のために価格交渉で負けてしまったというだけです。
履歴書などの希望年収欄の書き方
また、履歴書に希望年収欄を書くスペースがあるフォーマットで提出する場合、ここに希望を書けば斟酌してもらえるだろうと思って安心してしまう人がいます。
しかし、このスペースを参考に年収を引き上げてくれる会社はほぼありません。
参考にすることはありますが、むしろ「こんなに欲しいと書く人なんだ」「この希望額の根拠は何だろう?面接のときに聞こう」といった面接官のツッコミを誘っているだけのケースもあります。
また、「御社給与規定に従います」と無条件の白紙委任をしてもいけません。
本気で「御社に従います」と考えているのなら、それでもかまいません。
しかし、本音としては年収交渉して少しでも良い条件で入社したいはずです。こんなところで謙虚になっていては、交渉に負けてしまいます。
希望年収欄は、下手なことを書くより空欄にしておくほうが良いでしょう。
戦略的な年収交渉
本来の実力よりも年収ダウンしてしまう人の多くは、準備不足と戦略不足です。
年収ダウンの原因は、年齢や能力などの労働市場価値に左右されますが、それだけではなく「交渉が下手だったから」という人がたくさんいます。
そのため、本来の実力以下の年収で妥協しない程度には計画しなければなりません。
理想的なのは、転職活動を始めた初期段階で、「年収交渉計画」を立ててのぞむことです。
一人でやろうとしてはいけません。必ず専門家と共に戦略を練ってください。
転職サイト(エージェント)の協力を得る
まずは、転職を決意したら転職サイト(エージェント)に登録をしてください。
一人で年収交渉をするのは本当に難しいものです。転職エージェントは、一番難しい年収交渉を請け負ってくれます。
エージェント経由でない応募者の場合、一人で年収交渉をすることになるのですが、次々と不採用になったり、年収減で妥協させられたりします。
一人で転職活動をしている人の多くが、やってしまいがちなNG交渉例は以下のようなものです。
NG交渉例 無計画型)
一次面接など、まだ選考の初期段階であるというのに、「月給〇〇円位を希望しているのですが、可能でしょうか?」と聞く。
一次面接の面接官は、多くは人事部の若い人や、現場の担当者です。応募者の年収を決められる権限はなく、このようなことを聞かれても回答ができません。
また、初期段階で条件面をくどくど聞いてくる人とは、一緒に働きたくないと思うのが人情です。
一次の面接官は、採用された後の先輩や上司になる人が担当している場合が多いので、この人たちに嫌われると一次で落とされてしまうことになります。
NG交渉例 懇願型)
「私は妻と子ども2人を扶養しており、さらに遠方の両親に生活費の仕送りをしております。そのため、手取りで月給30万円ほどないと、生活していけないため、月給30万円を頂きたいのですが」と、もみ手をしながら面接官に懇願する。
そもそも、年収というのは人材の能力や会社への貢献(期待)度によって会社が査定するものです。
応募者の生活事情を斟酌する義務はありません。
同情を誘うようなストーリーをいくら語っても、年収アップには結びつきません。
NG交渉例 流され承諾型)
2次面接の後に社長が出てきて
「あなたをぜひ採用したい。とても期待できる人材で当社が求めていた人だ!だけど、ウチは今のところ、中途採用の人には一律〇〇円でまず働いてもらうことになっているんですよ。
最初だけだから、入社後にどんどん上げてあげるから。入社してくれますよね?内定ということでいいかな」
と言われ、承諾してしまう。
このように、面接の場で強引に低い給与額を提示されて、判断できる時間をもらえないまま強引に承諾させる会社があります。
中小企業のワンマン経営の会社は、たいていこのスタイルを取っています。
多くの人は、社長からの強引な年収交渉に立ち向かうことができず、条件を飲んでしまいます。
もちろん、入社後にどんどん年収をあげてもらうことなど期待できません。
一人で年収交渉をする難しさが理解できたでしょうか。
中には、すでに上記のケースと同じ失敗をしてしまって、苦しんでいる人もいることでしょう。
そのため、これから活動をする人は、一人で交渉しようとしてはいけません。
交渉の素人であり、かつ弱い立場のあなたがどれだけ気を付けても百戦錬磨の敏腕面接官や経営者に勝てません。
そのため、あなたにもきちんと交渉の専門家を味方につけておく必要があるということです。
自分の市場価値を知る
転職エージェントなどに依頼をしたら、まずは自分自身が今どのくらいの年収がもらえる人材なのかを査定してもらいます。
前職までの年収、スキル、年齢、持っている資格などをすべて洗い出します。そして、「自分が転職市場でどの程度の価値があるのか」を知りましょう。
この時点で、思ったよりも自分の市場価値が低いとわかった場合は、本当に転職活動を続けるか考えてください。
あるいは市場価値を上げる方法を助言してもらうこともできるでしょう。
いずれにせよ、自分の市場価値を知らないまま活動すると、身の丈に合わない無謀な応募を繰り返すことになります。
そうすると、どこへ応募しても希望額が得られないとか、やっと内定を得たが現職よりずっと低い収入になってしまった、と後悔することになります。
適正額以下では入社しないと決意する
市場価値を分析すると、「自分は、年収〇〇〇万円~〇〇〇万円くらいが適正額だ」ということがわかるはずです。
この額がわかったら、「適正額以下では絶対に転職しない」と決意しましょう。転職エージェントにも、その旨をはっきり伝えておきましょう。
そうしないと、前に述べたように、敏腕面接官や百戦錬磨の経営者からの「〇〇円で来てくれるよね?」という強引な交渉に負けてしまうからです。
厳密には、年収以外にもやりがいや労働環境など様々な希望条件があるはずです。年収だけではなく、労働条件のうち絶対譲れない基準を定めておいてください。
残業は月20時間までとか、土日は絶対に休みたいといったものです。
ただし、これらは求人情報である程度把握できることですし年収交渉ほど「そんなはずではなかった!」となることが少ないです。
希望年収を聞かれたら、率直に答えて良い
応募したい会社が見つかれば、履歴書を送ったり、面接を受けたりすると思います。この段階で希望年収を交渉してはいけません。
ただ、面接の際に、担当面接官から「前職での年収はどのくらいありましたか?」「ご希望はどの程度でしょうか」と聞かれることがあります。
このように聞かれたら、「いくらでもいいです」とか「御社規定に従います」などと答えてはいけません。
冷静に「前職は〇〇円をいただいていました」「私の年齢と能力、そして〇〇という資格を持っていて御社に貢献できると思いますので、月額〇〇円を希望しております」と、あなたが希望する額を伝えましょう。
希望額というのは、お互いにとって参考価格ですから、堂々と伝えてかまいません。一方、希望額を述べたからといって即その額が承認されるわけではありません。
決裁権者(人事部長、社長)の交渉は保留する
選考が進んでくると、二次面接か最終面接で、あなたの給与額を決める権限を持つ人が面接に登場するでしょう。
おそらく人事部長や役員、社長などが「月給いくらくらいでなら来てくれる?」や「うちは〇〇円で採用を検討しているんですよ」などといって、交渉モードになってくることがあります。
このように、交渉モードになってきたら、流されてしまわないように注意してください。
その提示額が、あなたが決めている「適正額」より低かったら、必ず回答は保留にしてください。
もちろん、希望額より高ければ、自分で交渉してもいいでしょう。しかし、たいてい会社側は、一旦低めを提示して、あなたの反応を伺ってきます。
いわゆる「値踏み」ですから、簡単に承諾してはいけません。
相手は給与交渉のプロであり、あなたが太刀打ちできる人たちではないと心得てください。
そして、あくまでもあなたの希望額を伝え、「詳細の交渉につきましては、エージェントに一任しております」を貫きましょう。
承諾するか、辞退するか決める
あとは、低い年収額であっても入社を決意するか、辞退するか、自分なりにじっくり考えてください。
もちろん、相手の会社にも選考の権利があるわけですから、あなたの希望年収額に納得できないのであれば、不採用となるでしょう。
ここからは、会社とあなたの力関係で、幾通りも選択肢があるでしょう。
会社が希望額を受け入れてくれて採用されるかもしれないし、不採用かもしれません。
一方、あなたの方で「年収が下がってもいいから、総合的なことを考えて入社したい」と思えば、先方の提示額を受け入れ、エージェント経由で承諾すればいいのです。
そのようにすれば、少なくとも、内定をもらった後に「こんな条件での採用内定を承諾してしまった」ということにはならないはずです。
無計画でのぞむと、何が怖いかというと、「無意識に相手のペースに巻き込まれてしまう」ことです。
それは、「自分の希望は好意的に受け入れてくれるだろう」という甘い考えや、「自分の希望年収をはっきりさせていない」といった曖昧な状態でいるからです。
「〇〇円以下では絶対承諾しない」という条件軸さえしっかりしていれば、相手ペースに乗せられてあとから失敗に気づくという悔しい思いをしなくてすみます。
内定後の年収交渉
すでに転職活動が佳境に差し掛かり、内定を得たが、思っていたより条件が低いために、交渉していいのかどうか迷っている人もいるでしょう。
結論からいうと、内定の承諾をする前なら、交渉の余地はあります。しかし、内定承諾してしまい、雇用契約締結の段階まで来ていると、少し難しいかもしれません。
内定承諾前が最終チャンス
内定を出される前は、あくまで選考中であり、あなたは若干弱い立場です。
選んでもらわなければならないため、年収も含めて条件についてあれこれ聞きづらいものです。会社側も「自社にいかに役立つか」といった厳しい目で分析している最中で、あなたの収入や生活などといったことには興味がないのが本音です。
しかし、内定を出した後は、対等な立場に立つことになるでしょう。
選考段階で年収や労働条件についてまったく話し合っていない場合は、内定後にしっかり確認する必要があります。
さらに、年収などを交渉するなら、内定承諾する前しかありません。
この期間が交渉の最終チャンスです。
承諾してしまった後では遅いのです。
だからこそ、前に述べたように、最終面接で社長や人事部長から「月給〇〇円で内定ってことでいいかな?」という交渉には絶対承諾してはいけないということです。
内定通知書と共に、労働条件通知書が提示されていない場合は、承諾前に必ず確認してください。
労働条件を書面で明示するのは会社側の義務ですから、本来は請求しなくても提示があるのが普通です。
しかし、それがないのであれば、承諾前に必ず出してもらい、これからどういった条件で働くことになるのかを確認しましょう。
同じ様に、内定通知書などが届いて、そのときに提示されている給与額が未定であったり、思いがけず低い条件であった場合は、交渉にのぞむようにしてください。
内定後であれば、提示された条件を絶対受け入れて、採用されなければならないかといえば、そんなことはありません。
内定承諾前はあなたがその条件をのむか、あるいは交渉にチャレンジするか、条件次第で辞退するかは自由です。
内定後の交渉に「絶対成功」はない
内定承諾前であれば、年収などの交渉をすることは可能です。そういったアプローチをしてくる応募者は多いので、採用担当者も慣れています。
失礼ではないかとか、受け入れてくれるか不安だと思いますが、こればかりは相手の会社によって対応は色々です。
内定後の交渉をとても嫌う担当者もいますし、「それなら希望を聞いてあげるよ」と応じてくれる会社もあり、反応はまちまちです。
また、あなたの価値によっても、結果は違ってくるでしょう。
あなたをどうしても採用したいと思っている会社であれば、希望を聞いてくれるでしょう。
しかし、他にも候補者がいて、希望額を払うくらいならそちらの方がいいと思うなら、「お互いに再度検討しましょうか?」といった事実上の内定取り消しになることがあるかもしれません。
そのため、内定承諾前であれば条件の交渉は可能ではありますが、その結果が「絶対成功するか」というと、それは事情によるとしかいえません。
考えるべきは「振り出しに戻ってしまうリスクを背負って交渉するか」あるいは「仕方がない、提示された条件で一旦入社するか」といった選択だと思います。
しかし、会社が簡単に内定取り消しをすることは法律で禁止されていますので、そのような極端なことになることは稀です。
そのため、一度「交渉」というより「相談」という形で聞いてみると良いでしょう。
「交渉」というより「相談」を持ちかける
一旦内定を得てから、条件について交渉したいときは、「相談があります」「確認したいことがあります」といった形で、担当者とコンタクトを取ってみましょう。
転職エージェントに一任できればいいのですが、すでに内定段階にいる人は、自分で交渉しなければなりません。
気まずいものですが、納得いかないまましぶしぶ内定承諾するのも良くありません。
まずは、「内定承諾前に確認させていただきたいことがあるのですが」といったメールなどを送り、相談にのってもらいます。
年収交渉(相談)の例文
相談の例文は以下になります。
〇〇株式会社 人事採用ご担当 〇〇様
先日はお忙しい中、貴重な面接のお時間を頂戴した〇〇でございます。
この度は、内定のご通知を頂戴し、ありがとうございます。
大変お忙しいところ恐縮ですが、提示されました労働条件通知書の内容について
確認させていただけますでしょうか。
通知書のうち、賃金の項目において月給18万円とご提示いただいております。
今回の応募につきましては求人情報では
月給18万円以上、年齢・経験により取り決めと書かれておりましたので
この月給額が妥当とのご判断かと存じます。
しかし、恐縮ながら前職では月給22万円を頂いておりました。
面接時に希望の月給額をお伝えしなかったことを大変申し訳なく感じておりますが
今一度私の年齢及び経験をご考慮いただくことはできませんでしょうか。
勝手ながら、ご相談させていただきたく
よろしくご検討お願い申し上げます。
***********
〇年〇月 氏名
aaa@mail.net
***********
このような形で、一度担当者にコンタクトを取ってみましょう。
注意点としては、「条件が違う」といったような苦情めいた内容にしないことと、条件を受け入れられないなら、内定辞退すると捉えられないように注意することです。
この程度の相談にとどめておけば、「事実上の内定取り消し」などの極端な反応をする会社は稀だと思います。
ただ、繰り返しますが、相手の会社の社風や、担当者の人柄によっては、その可能性はゼロではありません。
面接での印象などを推察して、相談するか否かを考えてください。
相談の相手は、採用担当者の責任者
また、このように内定後の条件交渉を持ちかける相手は、採用担当者のうち、責任者らしき人にするようにしましょう。
2次面接あたりで出てくる人事部の人が責任者である可能性が高いのですが、わからなければ、採用担当者としてあなたに色々連絡をしてくる人に連絡をしましょう。
内定通知書を送ってきたときに、送り主の氏名が書かれていたらその人に当てて連絡をしても良いです。
あるいは無記名の場合や、担当者のメールアドレスがわからない場合は、手紙にしたためて会社の「採用ご担当者様」宛で郵送します。
いきなり電話の連絡をするのは悪印象を与えるため、ファーストコンタクトはメールあるいは手紙を使いましょう。
会社側の給与決済権者は社長か人事部の責任者です。
恐らくそれらの人に連絡がつながり、検討して、担当者から返答が来るはずです。
希望額が受け入れられない場合
あなたの希望が受け入れられない可能性も、十分にあります。
そのため、相談をするとしても、希望が受け入れられなかった場合にどうするか、しっかり考えておく必要があるでしょう。
先方の提示額を受け入れるか、あるいは内定辞退するか。
内定承諾前であれば、自由に考えることができます。
判断は難しいと思いますが、こればかりはあなた自身がどうしたいのか、はっきりさせる必要があるでしょう。
内定承諾後の交渉
もし、会社から内定通知書が届いて、その内容について承諾をしてしまったら、条件の交渉はできないのでしょうか。
もちろん、絶対にできないとか違法行為であるといったことはありません。
しかし、内定を出してそれに承諾したということは、「入社を承諾した」ということになります。
そのため、条件交渉にチャレンジすることはできますが、望み通りにいかなくても簡単に「やっぱり内定辞退する」とは言いにくくなります。
内定承諾した後であっても、どうしても納得いかないのであれば、内定辞退をすることは可能です。
労働者は自由に仕事を選ぶ権利が保障されているので、内定には法的拘束力はありません。
しかし、内定承諾すれば、相手の会社も正式採用のための手続きを開始しますし、他の候補者を断るなどをしますから通常は簡単にはできないものです。
条件だけを「相談」する
もし、内定を承諾してしまっているのであれば、通常その会社へは入社することになると思います。
しかし、条件の改善を「相談」することは悪いことではありません。
内定承諾前よりも、「条件を上げてもらえなければ辞退する」という選択がしにくいだけです。相談自体はしてもいいでしょう。
もし、内定承諾をしてしまったが、「内定」というのが口ばかりで、労働条件の明示書にあたるものが発行されていないのなら、一度前述と同じ要領で、会社側に相談してみてください。
そこで提示された労働条件が、想定していたものより低い場合は、「内定のご承諾をいたしましたが、労働条件についてご相談があります」といった形で、上記の相談例と同じように確認してみましょう。
もし希望がかなえられなくても、承諾してしまった以上、安易に「辞退します」とは言いづらいため、若干不利な状態といえます。
しかし、チャレンジする価値はあります。また、逆にいえば相手側にも「内定取り消し」が簡単にはできませんから、入社後の条件を再度対等な立場で話し合いたいという提案はできるはずです。
年収交渉は専門家と共に戦略的に
見てきたように、年収交渉は専門家と共に戦略的に行わないと、会社の思うつぼにはまってしまったり、後から交渉しづらくなったりすることがあります。
そのため、転職を決意したらすぐに専門家を味方につけて、いつ、どのように年収を交渉するのか、決めておきましょう。
さらに、内定をもらったら必ず年収を含めて労働条件を確認してください。
内定承諾前に条件に納得できるようにしておかないと、後悔します。
転職者が年収がダウンしてしまう一番の原因は、戦略不足です。
あなたがそのようにならないように、先のことを考えて活動してほしいと思います。