身近に、疑り深くて細かい性格タイプの上司がいると、毎日が気づまりではないでしょうか。
いつも言動をチェックされ、提出資料も細かいところまで見られてしまうと、ウンザリすることもあるかと思います。
こういった細かい性格の上司とは、どのような人でしょうか。どのように付き合っていくと良いでしょうか。
今回は、疑り深く細かい上司との付き合い方を学び実務力を高める方法について解説します。
疑り深い上司の特徴
管理職になると、部下の行動や仕事ぶりを指導しなければならない立場になります。
その責任を過度に感じているのか、部下のことを監視するように、色々と細かく指示をしてくる上司がいます。
常識的な範囲であれば、当然のことと受け止めることができます。
しかし中にはその指導・管理が行き過ぎていて、部下の側から見ると「疑われている」「がんじがらめに管理されている」「奴隷のようだ」と感じることがあります。
- パソコンで作業をしていると「ネット見てるんじゃないの?」「私用メールは禁止だぞ」と、いちいち画面を確認してくる
- ちょっとしたミーティングで席を立つときも「どこへ行く?」「テーマは何だ」と疑いの目を向けてくる
- 自席に戻る時間が5分でも遅くなると「時間厳守」とネチネチ指摘する
- 外回りに行っている営業社員の帰社時間がずれると「あいつ、茶店で時間つぶしてるかパチンコ屋にでも行ってるんじゃないか」とブツブツ言っている
- 取引先へ訪問した後に「何を話した」「相手はどういっていた」と詳細の報告書を出す(部下へ顧客対応を任せることができない)
このように、誰もかれもを「サボっているのではないか?」という、疑った目で見る癖があります。
部下を疑うので仕事を任せられないし、成果を出しても認めてやることができません。
実際、このような上司を持つ人の多くが「あの上司は、誰も信じていない。誰も認めない。当然、自分も全く信用されていないし認められていない」と感じています。
このタイプの上司は、疑うことで部下を正当に管理していると思い込んでいます。
「性悪説」という概念がありますが、まさにそれです。
部下は放っておけば力を発揮しないしサボって不正をするに違いない。だからこそ、その「悪」を暴き、管理することが、上司である自分の務めであると考えています。
細かすぎるほど報告・連絡・相談を徹底する
自分のことを疑ってばかりの上司のもとで働くのは、誰であってもむなしいものです。
とはいえ、すぐに別部署に異動することもできませんし、上司自身を変えることもできません。
そのため、「どうすれば上司に信用されるか」を考えた方が良いです。
このタイプの上司は、本質的な悪人ではありません。
責任感が強いものの、柔軟に考えることができず、神経質で気が小さいだけです。
これらの特性を理解して、上司の責任感を満足させ、固くるしいかもしれませんが細かくホウレンソウを徹底することで、ある程度の信頼を得ることができます。
具体的には以下のようなことに気をつけましょう。
・ミーティングや外回りに出るときは「〇〇の目的で、〇〇に出かけます。会うのは〇〇部の〇〇さまです。〇〇時〇〇分から〇〇分くらいには戻る予定です。遅れるようでしたら、連絡をします」と細かく伝える
・予定が終わって戻ったら、上司に「今戻りました。〇〇という案件で話し合いました。必要であればご報告しますがいかがでしょうか?」と、予定完了を報告する
・外回りが多い人は、行先、目的、先方の連絡先、帰社予定時間を一覧にまとめて文書で上司に提出しておく
・できるかぎり直帰せずに、一旦事務所に戻って「サボっていない」ことを主張する
・帰社次第、進捗状況や一日の成果を報告する
・失敗したこと、業務上の懸念材料なども、率直に、早めに報告する
大変面倒なことですが、このくらいのホウレンソウを徹底すれば、上司が疑心暗鬼になることは減ってくるでしょう。
特に時間にはうるさいはずですので、予定はしっかり守るようにしましょう。
もし遅れる場合は、たとえ5分であっても連絡を入れて上司を安心させましょう。
とにかく、上司が「自分は責任を果たしている、安心していられる」という心理状態にもっていくことが大事です。
小さい信用を積み重ねることによって、徐々に上司があなたに対しては信用するようになっていきます。
一度信用されたら、そのあとは、ある程度おおらかに見守ってもらえるようになります。
このタイプの上司に「このくらい言わなくてもいいだろう」「このくらいばれないだろう」という油断は禁物です。
一度疑われたら、かなり長い期間疑われ続けることになります。
特に「悪い報告」は早めに、こまめに報告してください。
疑り深い上司は基本的に小心者で不安がりです。
自分の責任下で問題が起こっているのなら、すべて自分が把握しておきたいし、早めに対処したいと考えています。
悪い案件は何とかして隠したいと思うのが部下の常ですが、このタイプの上司にそれをやってしまうと、もしバレたときは本当に関係性が悪化します。
悪い報告こそ、勇気を持って早めに報告してしまいましょう。
細かすぎる上司の特徴
また、疑り深い上司と並んでうっとうしいのが、やたら細かく部下を管理する上司です。
必要なことであれば仕方がありませんが、あまり意味のないことまで細かく口を出してきます。
- 書類の並べ方が雑だと怒る
- 敬語の使い方のうち、ささいなことを指摘して修正させられる
- 文書の中身よりも、フォントサイズや行間などにこだわる
- 電話応対や連絡などのメモに不備があると書き直しをさせられる
- 誤字脱字があると、すべての文書を最初から見直しを命じられる
このように、本筋以外のところで細かく指摘してくるのです。
もちろん、必要な助言もなかにはあります。しかし、大半は重箱の隅をつつくような内容に感じるものです。
細かすぎる上司も、疑り深い上司と本質は同じです。
失敗を異常に恐れている小心で神経質なタイプが多く、基本的に誰の事も信じていません。
部下はしっかり管理しないとミスをするし、放っておくとサボると思い込んでいるのです。
また、新しいことへのチャレンジができないので、やる気のある部下のモチベーションを低下させることもあります。
とにかく、このタイプの上司は、部下に仕事を任せるのが本当は嫌なのです。
失敗することが不安であり、部下の失敗の責任を負わされることへの強い恐怖があるからです。
安心してもらえる人材になるしかない
こういう上司であっても、よく観察していると、上司とおなじように仕事を細かくやっている人に対しては、仕事を任せているのではないでしょうか。
ベテラン社員や、几帳面なタイプの人には、あまり細かい指図をしていないのではありませんか。
細かい上司から信頼されている社員とは、上司と同じレベルの細かい仕事をするタイプであるはずです。
上司から信頼されている社員も、最初は細かい指示をされて、うっとうしいと思いながらも、上司に合わせて細かさを身につけてきたのです。
この細かい上司とのつきあいのなかで、何をしたら上司を怒らせ、どうすれば上司のOKがもらえるのかを把握しているのです。
そのため、もしあなたがこのタイプの上司から細かいことを言われたくないのであれば、あなたも上司と同じレベルの細かさを身につける必要があります。
細かく指図されてイライラするのなら、まずあなたが「上司が安心していられる部下」に変身しなければなりません。
反発心を抑え、すぐに修正
このタイプの上司は、不安がりで小心のわりに、頑固で一旦言い出したら聞かないはずです。
そのため、この上司に対して意見を言ったり反発心から指示に従わないでいると、確実に上司との間に溝ができてしまいます。
一旦は、上司の指摘をありがたく受け止め、快い返事をして修正しましょう。
修正ができたら時間を置かずにすぐ提出するようにします。
修正箇所が分かるように再提出
上司から何を指摘されたのかは、しっかりメモを取っておきます。
そして、修正したら、どの部分をどう修正したのかがわかるようにリストアップしておきます。
「こことここを、このように直しました。確認お願いします」という形で再提出しましょう。
そうすることで、いちいち細かく聞かれることなくスムーズに確認してもらえます。
上司の意図を反映させる
修正する際は、上司から指摘された部分を素直に取り入れて、提出するときにその部分をアピールします。
「前回、この部分の画像は〇〇色にし、サイズは〇〇ptに、というご指示がありました。
その方がはっきり見やすくインパクトがあるからということでした。
そのため、ご指示通りの色とサイズに変更いたしました。
たしかにこのようにすれば、以前のものより明るい印象になり訴求力が出ると思います。
ご指導いただいてありがとうございます」
このように、きちんと上司の意図をくみ取っていて、素直に反映させ、かつ上司への感謝の言葉を添えることで、安心させることができます。
「ここまでやるか?」という細かいことの積み重ねによって、細かい上司から信頼されるようになっていきます。
細かい上司の下で鍛えてもらうという意識を持つ
身近に疑り深く、部下を信用せず、細かすぎる上司がいると、日々ストレスがたまります。
このような上司の中には、人格障害や発達障害を持つ人もちらほら見受けられます。
人格障害や発達障害を持つ人は、通常では考えられないような性格上の偏りが見られて、共に働くのが困難なことがあります。
もし、普通ではないレベルの疑り深さや、異常なこだわり、異常な細かさで部下を困らせる上司であれば、あなたの側が異動や転職をして、その上司から離れる必要があるかもしれません。
しかし、今細かい上司に苦しんでいるとしても、この上司の下で、実務能力を鍛えてもらっているという意識を持ってください。
たとえば転職活動をする際にも、「前職でどのような経験をしたか」「何ができるか」といったことを面接で聞かれます。
その際に、「上司が細かく厳しい人であったため、ホウレンソウは徹底している」「一度指示されたことは、完璧にこなす意識を持っている」ということは、とても有力なアピール材料になります。
実際に転職の面接では、「前職では厳しい上司の下で、厳しい実務をこなしてきた」という応募者には、面接官はプラスの印象を持ちます。
もちろん、上司を悪く言うのは論外ですが、厳しい上司からどのように細かいことをいわれてきたのか、どう対応してきたのか、何を学んだのかを誠実に話すことができれば、高評価を得られます。
転職面接では、専門的なスキル以上に、「日常業務をどの程度緻密にこなすことができる人材か」をしっかり見られます。
そのときに、疑り深く細かい上司の下で苦労したことを話すことで、高評価を得られます。
今すぐに転職するつもりはなくても、せっかく細かい上司の下にいるのなら、「転職での市場価値を高める」ということも意識して、頑張って欲しいと思います。