今職場のストレスが原因で発症するうつ病が多く見られます。
もしあなたも会社のストレスのせいでうつ病になっているとしたら、毎日がとても苦しいと思います。
そして、自分をこんな目に合わせた会社や上司に、この苦しみの代償を払って欲しいとか、謝って欲しいと感じているかもしれません。
このように感じる状態であれば、そのうつ病は、従来から見られるうつ病とは少し違った「新型うつ」「非定型うつ」などと呼ばれるタイプのうつ病かもしれません。
今回は、「自分は、新型うつ(非定型うつ)ではないだろうか?」と気付いたときの対応について解説します。
従来型うつと新型うつ
うつ病ときくと、いつも抑うつ状態で何も手に付かない、朝方とくに調子が悪い、食欲・性欲が低下する、最悪の場合、自殺を企図し実行してしまうこともある、という思い浮かべる人も多いでしょう。
これは典型的なうつ病の症状ですが、これに当てはまらないタイプのうつ病が目立つようになってきました。
最近ではこの例外的なうつ病を「新型うつ」「非定型うつ」「ディスチミア型うつ」と呼ぶようになりました。
同じうつ病であるのに、症状も治療法もまったく違うものです。
うつ病 | 新型うつ病 | |
患者 | 中高齢の男性が多い | 2~30代の若者に多い |
基本性格 | 真面目で几帳面
責任感が強い 頭が固い マイナス思考 八方美人 |
優等生タイプ
自己主張が苦手 社会性が乏しい 自己顕示が強い 人の評価を気にする |
気分 | 集中力がなく常にぼーっとする
つねに落ち込んでいる やる気がなくなる 自罰的(自分が悪い)になりやすい |
集中力に強い波がある
嫌なことで落ち込み、都合の良いことや好きなことで気分が明るくなる イライラしてキレやすくなる 他罰的(他者が悪い)になりやすい |
症状が出る時間 | 朝方 | 夕方から夜、特に深夜 |
基本生活 | 食欲の低下
性欲の減退 |
過食過眠傾向(甘い食べ物の過食発作)
性欲が高まる |
体重 | 減少 | 増加 |
その他 | 倦怠感が強い
体調や気分はいつも悪く、変化しない 周囲にも調子の悪さが分かる |
疲労感が強い
体調や気分の変化が大きく、感情のコントロールが利かない 周囲には「わがまま」「甘え」と思われ病であると気づかれない |
このように、従来から見られるうつ病と、新型のうつ病では、患者となるタイプの人も違い、症状の出方も違います。
そのため、従来型うつではないのに、それと同じ治療をしていても、治らないことが多いのです。
新型うつ病の特徴
新型うつ病の特徴には、以下のようなものがあります。
気分が急激に変わる気分反応性
従来型のうつ病は、ほとんど一日中、つねに抑うつ状態です。
それが2週間以上続きます。いいことがあろうがなかろうが、休日だろうが出社日だろうが、変化がありません。
一方、新型うつ病の人は、一日中落ち込んでいるわけではなく、そのときの出来事によって気分が変化します。
このような気分のアップダウンのことを、気分反応性といい、新型うつ病の最大の特徴です。
気分の反応が極端
誰でも気分の浮き沈みはあるものです。
しかしそれほど極端なものではなく、状況が変わってきたり時間がたてば、感情が落ち着いてきます。
しかし新型うつ病は、状況の変化や時間の経過によって、分が変わることもありますが、その変化の波が激しく、反応が極端になります。
気分が良くなる出来事、悪くなる出来事
新型うつの人は、普通の人よりも、ものごとに感じやすくなります。
特に気分が良くなる出来事は、人に褒められる、注目される、趣味などに没頭して楽しむことができる、友人、恋人との楽しい会話、外出、食事、買い物などの娯楽などです。
一方、気分が悪く、落ち込みやすい出来事は人に批判される、意見される、失敗をする、体調不良、空腹など身体の不快感、孤独を感じるときなどです。
本人は本当に苦しんでいる
周りの人から見ると、そんな些細なことで喜んだり落ち込んだりするなど、まるで演技でもしているかのように見えてしまいます。
しかし本人は、本当に苦しんでいるのです。
自分でもこの気分反応性を制御することができず、感情の大きな波にのまれて、おぼれて辛く、助けを求めている状態といえます。
過食・過眠傾向
新型うつの人には、特に甘いものを大量に食べたくなる「過食傾向」と、何時間でも寝てしまう「過眠傾向」があります。
特に、嫌なことがあったときやさみしい気分のときに、食欲が異常に高まります。
ケーキ、ドーナツ、おまんじゅう、クッキーやシュークリームなどの甘くて脂っこいものを、無性に食べたくなり、どれだけ食べてもまだ食べたいと感じてしまいます。
人によっては甘いものよりも脂っこいもの、麺類やごはん、パンなどの炭水化物を「むちゃ食い」したくなる場合もあるようです。
さらに、夜ふつうに寝付いたにもかかわらず、昼過ぎまで眠ってしまうなど、過眠傾向もみられます。
きっかけは心理的要素
新型うつの過食・過眠のきっかけは、何かの心理的負担やさみしさなど気分の落ち込みです。
気分の落ち込みに合わせて過食・過眠がよく起こります。食事と睡眠のバランスが崩れていくと、昼夜逆転の生活になったり、体重の異常増加が見られたりします。
自己嫌悪から気分低下、過食過眠の悪循環
過食・過眠の生活を改善できずにいると、当然体重が増え、身体が重くなります。
糖分は適度に取れば抑うつ気分を緩和させるとも言われていますが、過剰摂取すると、さらにもっと甘いものを食べたくなるといった依存性があります。
甘いものを食べているときは一時的に気がまぎれ気分が高揚しますが、食べ終えた後の自己嫌悪から気分がさらに落ち込みます。
また、寝すぎると脳の働きが鈍くなり、気分も憂うつになり、ますます倦怠感が増し、過眠傾向がひどくなってしまいます。
悪く解釈しすぎる拒絶過敏性
誰でも他人から何か言われると気になるものですが、新型うつの人は、「言われたこと」や「されたこと」を自分にとって悪い方向にとらえ、普通には考えられないほどの極端な感情的反応をします。
たとえば、以下のようなものです。
- 職場の人から少し目をそらしされただけで 「無視された!」と感じ、激しく相手を恨む
- 上司から「もう少し仕事のスピードを上げましょう」と言われただけで 「能力を否定された!パワーハラスメントだ!」と訴える
- 同僚に「少し痩せた?キレイになったよ!」と言われたことに対し「いつもは太ってるってこと?いつもはキレイじゃないって言いたいわけ?」ととらえ、ショックを受け同僚に対して怒りを持つ
このように、人から言われたことを極端に悪い方向に解釈し、過敏に反応します。
人間関係を悪化させ、社会生活に影響も
上記のような過敏な拒絶反応をする新型うつの人に対して、周りの人も混乱します。
まったくそのつもりのない発言を、悪い方に悪い方に解釈され、場合によっては怒られることがあるので、次第に距離を置いたり、近しい間柄の人だと喧嘩になったりします。
このような「拒絶過敏性」のために、身近な人間関係を悪化させてしまうことがあるため、短期での離職や、恋人との破局や離婚などを繰り返していることがあります。
ひどくなると、社会生活のみならず、通常の日常生活にまで支障をきたすこともあります。
発作的抑うつ・不安症状
新型うつの人は、わけもなく急に不安になったり抑うつ状態になったりします。職場で泣き出したり、夜自室でリストカットをしたりなど、危険行為をすることもあります。
発作的抑うつ、不安症状は、多くの場合夕方から夜にかけて起こります。この発作には、きっかけと言えるようなきっかけはなく、突然わけもなく起こります。
発作のときには、以下のような考えが堂々巡りします。
- 自分の嫌なところが繰り返し思いだされて自己嫌悪に陥る
- 他人を嫉妬、他人ばかりが幸せであるように感じてさみしい
- 自分には何の未来もないと(根拠なく)絶望する
- イライラして何かを傷つけたくて仕方がない
- 死んでしまうのではないか、という恐怖感に襲われる
- 無力な自分は消えてしまえばいいという自暴自棄な思いがわく
このような思いがあふれるのですが、本人もどうしてそうなるのかわかりませんし、どうしたらいいのかもわからないのです。
衝動的な危険行為をすることもある
このような強い感情発作に耐えられずに、下記のような危険な行動を起こすことがあります。
- リストカット
- 自殺未遂行為
- 無軌道な異性との性交渉
- 大声で叫ぶ、暴れる
- 過度の飲酒、酩酊
- 突発的な家出
- 危険行為(車の暴走、海・川へ飛び込む、ものを投げる、など)
- オーバードーズ(薬物の過剰摂取)
- 他人への暴力行為、暴言、喧嘩
身体がだるくて動けない鉛様疲労感
新型うつには、身体が「鉛」になったように重くだるく感じられる症状があります。
多くの新型うつが疑われる患者さんが「身体に鉛がつまっている」「鉛が乗っている」と表現することから、鉛様疲労感(えんようひろうかん)とか、鉛様麻痺と呼ばれています。
とくに嫌な出来事の前後に、身体が異常にだるく重くなって、動けなくなるようです。
ただし、ひどい倦怠感があるのに、健康診断の結果は身体に異常はありません。
血圧や血糖値異常など、倦怠感が出やすい原因がひとつもなく、検査数値に問題はないので、「気のせい」と言われたりします。
こういった身体症状も、本人の「気分」によって波があります。
好きなことをしているときは急に身体が軽くなり、比較的楽に過ごせます。
しかし、嫌なことの前(出勤前など)になると、本人の意思ではどうにもならないほどの身体症状が現れます。
ひどい人は本当に顔色が真っ青になったり、嘔吐したり、といった発作的な症状が現れます。
疲労、過食過眠の悪循環
新型(非定型)うつになると、このような慢性疲労が続きます。
だるくてやる気がわかないため、欠勤が続き、生活も怠惰になり動くのが億劫になってきます。
すると、だんだん筋力が低下し、さらに身体を動かさないままでいると脳活動も低下します。
筋力低下と脳機能低下はさらに抑うつ症状を発症させます。
そして抑うつ状態になると、さらに自分で動こうとする意欲がなくなっていき、過食・過眠傾向が現れ、体重が増え、さらに自己嫌悪に陥り、より深い抑うつ傾向になっていく、といった悪循環をたどります。
急に怒りを爆発させる発作激怒
新型うつになると、ささいなことで急激に爆発的に怒り、抑えられなくなります。
怒りは誰にでもあるものですが、普通は時間がたつと和らいでいったり、我慢できたりします。
しかし新型うつの状態だと、この怒りが突発的発作的に、強く表れます。いわゆる「キレる」状態です。
怒るきっかけは、普通では考えられないほどささいなことです。
ささいな出来事を本人は過剰にとらえ(拒絶過敏性)、馬鹿にされた、批判された、無視された、などと思い込み、怒りを爆発させます。
きっかけがあまりにもささいなので、周りの人は、本人がなぜそれほどまでにキレるのか、理解ができません。
発作激怒のあとは、後悔し自己嫌悪
激しく突発的な怒りは、本人にも制御することができません。
発作的に大激怒した後、自分が言ってしまったことややってしまったことを振り返り、激しく後悔し、制御できなかった自分を責めています。
そしてさらに抑うつ気分に陥ってしまい、過食過眠症状が現れて食べ過ぎてしまい、次の日に会社に行けず……という悪循環を繰り返します。
依存その他の問題行動が起こる人も
その他、新型うつの人には治療が進んでうつ症状が軽快したあとに、物欲や食欲、性欲などが異常に高まる人がいます。
そのため、買い物依存症や恋愛・性依存症、ギャンブルやネット依存、アルコールや甘い食べ物などにのめりこむことがあります。
一時的な興奮をによって、現実から逃れることができるし、何よりも心地よいので、知らず知らずにそういった身近な快楽に依存してしまいます。
これらも根底には抑うつ気分や不安、怒りがあり、それを紛らわそうとしているわけであり、自分の意思でコントロールすることは難しいのです。
考え方が他罰・他責
従来から見られる一般的なうつ病は、「会社のせいでうつ病になった」「パワハラ上司のせいだ」とは、考えません。
むしろ、「自分の能力が低いため会社に迷惑をかけた」「上司に怒られる自分が悪い」と、異常に自分を責める心理状態になります。
自分を責める思考(自罰傾向)に追い込まれるため、自分で自分の首をしめて苦しくなるのが、従来型うつ病の症状の一つです。
一方、新型うつの人は、会社の労働環境や上司の人柄、能力を正当に評価しないことなどが原因で、自分がうつ病にかかったと考えます。
例えば以下のようなものが典型的な新型うつの人の思考です。
- 上司の指示が分かりにくいからミスをしたのに、怒られて傷ついた → その結果うつになった
- 先輩が仕事を丁寧に教えてくれないから、いつまでも仕事ができない → その結果うつになった
- 同僚が手伝ってくれないから、時間内に仕事が終わらない → その結果うつになった
- お客さんが変な人が多いから、嫌なことを言われて疲れる → その結果うつになった
- 取引先にお金がないから、商品が売れなくて営業成績が上がらない → その結果うつになった
- すごく頑張っているのに、その努力をわかってくれる人がいない → その結果うつになった
- 辛い気持ちでいるのに、誰も慰めてくれない → その結果うつになった
- 私の力に適した仕事が与えられず、能力を活かしてもらえずやりがいがない → その結果うつになった
このように、自分が〇〇であるのは、自分以外の〇〇に原因があるという他罰的な考え方をする傾向があります。
新型うつ病の改善法
上記のような特徴を持つ新型うつ病に、もしあなたがあてはまるのであれば、従来型の治療とは少し違う取り組みをした方が効果が高くなります。
まず、「自分のうつ症状は、新型うつかもしれない」と気付いただけでも、大変な進歩だと思います。というのも、新型うつ病の人は、自分の症状を「新型うつ」だとは認めないことが多いからです。
一方、自分自身で気づき始めた人は、それだけですでに回復の道を進んでいると考えて間違いありません。
治療は時間がかかるかもしれませんが、克服することで、人格そのものが成長しますし情緒的にも豊かになっていきます。
一般的な新型うつの治療
一般的には新型うつ病の人は、比較的気軽にメンタルクリニックに自ら受診しているようです。
そこで、しっかり自分の今後の人生のために、腰をすえて治療をするようにしましょう。
治療を始めておよそ3か月~4か月くらいで症状は改善する人が多いようです。
ただし、気分の変調だけはどうしても残りやすく、好不調の波を小刻みに繰り返しながら、数年くらいかけてゆっくり回復していきます。
新型うつの治療では、薬も処方してもらえるようですが、それ以上に心理療法がとても重要な役割を担います。
このタイプのうつ病は、薬を飲んで休息するという従来型うつの治療法だけでは改善しません。
薬と心理療法を併用する
新型うつの人におこなわれる心理療法は色々ありますが、代表的なものは認知行動療法です。
認知行動療法では、新型うつの人の対人関係上の問題点や、考え方のゆがみを分析します。そして、ストレスや人間関係の上で、どのように対処していったらよいのかを、捉えなおし、行動に移していくという方法を取ります。
この療法は、薬物療法と同じくらい効果があるといわれています。そのため、薬がどうしても飲めない人は、心理療法だけでも改善することが期待できます。
今の本当の感情に気づく練習
認知行動療法のなかで用いられる方法に、「今の本当の感情に気づく」という訓練をすることがあります。
瞑想やリラクゼーションなどさまざまな方法がありますが、過去の後悔や未来への不安にとらわれず、今ここでの自分はどう感じているのか、に集中する訓練です。
新型うつ病の人は、気分の変調、感情の起伏に振り回されてしまうという強い症状があります。
そのため、瞑想やリラクゼーションの技術を身につけることで、身体の緊張を取ることができ、感情に振り回されないようになってきます。
自分の感情と、行動にはどのような関係があるのか、自分と周りの人との関係は、客観的に見るとどうか、と冷静に判断できるようになります。
さらに、瞑想やリラクゼーションを続けることによって、心のエネルギーや自己受容(ありのままの自分を受け入れる気持ち)が養われていきます。
生活リズムを整える
新型うつになると、夜更かしをしてまでクヨクヨ悩んだり、夜中にやけ食いややけ酒をしたりします。
そして朝起きられず、気がつくと昼夜逆転の生活に陥ることもあります。
まずは、睡眠と覚醒のリズムを取り戻し、規則正しく食事をとるという当たり前の生活リズムを取り戻しましょう。
早く寝ようとしてもうまくいかないときは、早く起きることからスタートします。
朝眠くても頑張って外に出たり運動をしたりすれば、夜に自然に眠れるようになります。
過眠状態になりやすいため、寝すぎない工夫を寝室に施しましょう。例えば以下のような過眠対策をしてみてください。
- 睡眠時間を記録して管理する
- 翌日の午前中に人に会う予定を入れる
- 目覚まし時計はベッドから遠い所に置いておき、二度寝を防ぐ
- 起きたらすぐにカーテンを開け部屋を明るくする
- 起床時間に好きな音楽が自動的に流れるようにしておく
- 昼寝ができないよう、布団はたたんでおく、ベッドの人はベッドに寝られないように物を置いておく
そして夜は遅くとも12時には寝られるようにしてください。
軽い運動をする
心と身体はつながっています。身体の機能が活発になってくると、次第に心も活発になります。
抑うつ状態の人が運動することで、症状が回復するということは良く知られていることです。
薬だけで治療している人よりも、有酸素運動を組み合わせた人の方が、治療効果が高いです。
新型うつになると、鉛様疲労感のせいで、身体を動かすことがおっくうになります。
そうすると、脳の活動も低下し、くよくよと一日中悩むばかりとなり、さらにうつ状態が悪化します。そしてまた体が重くなり運動不足になり、くよくよして……。
このような悪循環を断ち切るために、思い切って軽い有酸素運動から始めてください。
仕事を続けるか休むか、転職するかの判断
仕事をしているときに、職場のストレスが原因でうつ病を発症した場合は、そのまま頑張って続けるか、休職するか、転職するかといった選択肢があると思います。
すでに定期的に通っているクリニックがあれば、医師やカウンセラーに、仕事内容や職場の雰囲気などを相談して決めていきます。
身体が動き人間関係が良好なら継続勤務
実際の判断は主治医と共にしていくべきですが、一般的に新型うつ病の人は、身体が動くのであれば仕事は続けた方が、回復が早いといえます。
従来型のうつ病の人は、必ず仕事を一定期間休んで、薬を飲みながら休息する必要があります。
一方新型うつ病の人は、職場に通うことで、生活リズムが崩れずにすむし、仕事中にクヨクヨ悩むことが減るため、仕事を休むことが最良とはいえません。
会社にもよりますが、一旦休職した人を快く復職させてくれるところは、まだ稀です。
復職がうまくいかないと、それ自体がストレスになってしまい、再燃(症状がぶりかえすこと)することもあります。
そのため、辛くても薬を飲みながら頑張って勤務と続けるのも大事です。辛いけれど頑張ったという実績が、いずれ自信にもつながります。
発症原因が人間関係なら転職
ただし、うつ病を発症した原因が職場の人間関係にあるなら、職場に通い続けることでストレスが重なり症状が悪化することも考えられます。
そのときは、休職、あるいは転職することを検討したほうがいいかもしれません。
特定の上司との関係が悪いとか、職場で孤立しているなど、通常の人間関係を築けていないのであれば、その職場から離れた方が良いでしょう。
うつになったことをきっかけに、ぜひ自分自身の考え方や働き方を再度点検して、再出発してほしいです。
うつになったのは〇〇さんのせい、うつになったのは会社の〇〇が悪いから、と考えたい気持ちもわかります。
その責任を取って欲しいと思うかもしれませんが、それよりも、新しい場所で自分らしく働く方向へ、気持ちをシフトしてください。
また、これから選ぶ道は、本当にあなたが自分で納得できる場所を選ぶようにしましょう。
人が勧めたからとか、皆からうらやましがられる仕事だから、といった外側の意見ではなく、自分自身が何をしたいのか、どういった職場を望むのかをはっきりさせて、活動しましょう。
そして、その選択の責任は、自分で取るつもりで進んでいきましょう。