職場いじめ(モラハラ)の被害者になりやすい人の特徴と対処法

職場のいじめ・ハラスメント

意識していないのに、気がつくと職場なぜか職場のいじめ被害者となっている人がいます。

職場いじめの加害者にもある程度の傾向がありますが、被害者になりやすい人にも一定の傾向があるようです。

今回は、職場いじめ(モラハラ)の被害者になりやすい人の傾向と対処法について解説します。

職場いじめ(モラハラ)の被害者とは

職場いじめ(モラハラ)の被害者になってしまうのは、特定のタイプというよりも、その職場のシステムや風土、そのときパワーを持っている人との関係性によって生まれます

そのため、「いじめに遭いやすいタイプはどういう人か」というよりも「その職場やそこにいる人たちとの関係に、うまく対応できなかった人」が被害者になります。

具体的にどんな状況でどのような人が被害にあっているのかは、以下のようなケースがあげられます。

加害者にとって「違い」がある人

職場いじめには、必ずその仕掛人となる加害者がいます。

学校でのいじめもそうですが、いじめ加害者は自分とは違う素養を持つ人をターゲットにします。

自分と異質なものには誰でも拒否感を持つものですが、いじめ加害者は心が幼児であるため、その拒否感をそのままストレートに表現します。

この「違うことへの拒否感」は、例えば性別の違い、学歴の違い(大卒あるいは高卒、専門学校卒など)、あるいは性格的な雰囲気(社交的、非社交的、地味、派手など)、体形、結婚しているかいないか、などに向けられることが多いようです。

また、いじめ被害者独特の個性などに向けられることもあります。

目障りな人(目立つ、能力がある)

いじめ加害者にとって、目障りだと感じる人は徐々にいじめのターゲットになっていきます

加害者にとって目障りである基準は、加害者によってまちまちですが、目立った存在の人や、能力がある人は、標的にされやすいようです。

ある、職場いじめ被害者Cさんの事例)

Cさんは、最初は勝気でなんでも臆せず発言する人でした。仕事もできるし取引先からも人気があるため、そのうち直属の上司に目をつけられてしまいました。

上司はその人を会社から追い出したいと感じ、自分から辞めていくように、陰湿ないじめをはじめました。

会議では発言を遮るとか、その人だけ誘わずにランチミーティングを行うといった嫌がらせを繰り返しました。

また、同じ部の社員に「Aさんは、あなたのことをウザイと言っているらしい。私からも注意しておくが気を付けた方が良いよ」などと、嘘のうわさを流しました。

勝気であったAさんですが、陰湿ないじめと無視、会議での冷遇によって、次第に自信を失ってしまいました。

持ち前の能力もほとんど発揮できず、Aさんはうつ病らしき症状が現れ、数か月の休職後、辞めることになりました。

こういったことをする上司は、自信たっぷりで能力のありそうな人に脅威を感じるため、いじめのターゲットにするのです。

いつか自分を追い抜かすのではないか、能力があるために、自分に反抗したり馬鹿にしたりするのではないかといった恐怖心から、いじめを仕掛ける加害者がいるのです。

会社独自のルールに従わない人

会社には、その会社独自のルールがあります。一般的なルールとは違って、「なぜそんなことをする必要があるのか?」と首をかしげるものも多いものです。

こういうルールを押し付ける会社に対し、従わないタイプの人がいます。

正直すぎる人であったり、「そんなルール、意味がありません」と論理的に拒否してしまう人、あるいは慎重すぎる人などです。

また、会社独自のルールが不正をはらんだものであると、正義感が強い人はそのルールを是正しようとしたり、どこかに告発しようとしたりします。

しかし、このような人たちが職場いじめの被害者になることがあるのです。

「青臭いことを言うな」「集団の統制を乱すな」といった大義名分をたてに、いじめられます。

社内で孤立している人、仲間を持たない人

職場いじめは、学校でのいじめとおなじように、「ターゲットを孤立させる」という方法が一番ダメージを与えやすいものです。

そのためか、社内で何となく孤立傾向にある人や、人間的ネットワークを持たない人は、いじめのターゲットに選ばれやすいようです。

特に女性が多い職場では、派閥のような暗黙のグループを作っていることがあります。

そのグループのどこにも所属していない人が、どちらのグループの人たちにもいじめられてしまうという事例もよく耳にします。

また、マイペースなタイプの人で、社内での人間関係から一歩退いて働いている人がいます。

そのような人について「あいつは何を一匹狼を気取っているんだ」「社内でコミュニケーションを取って働くのは当然なのに、あいつはそれができない奴だ」などと言われ、いじめられているケースもあります。

それは、「体育会系」という風潮を良しとする企業風土の、営業職や製造職など男性の多い職場によく見られます。

仕事ができない人

その職場で求められる実務能力が足りない人やミスが多い人は、「仕事ができない」として、いじめのターゲットになりやすいです。

余裕のある職場(暇だったり時間をかけても良い仕事であったりする場合)であれば、それほど疎まれません。

しかし、繁忙期の飲食店や納期に追われているIT関連企業などでは、仕事が遅い社員は他の社員から迷惑がられ、それが結局職場いじめへと発展することがあります。

また、一時的に仕事力が低下している人も、いじめの被害者になりやすいようです。

たとえば、産休を取ったあとに復帰した女性社員などです。

子育て中で以前のように仕事に携わる時間が取れないため、一時的に仕事能力が下がります。

それを疎んじる会社側や職場のいじめ加害者が、本人の状況を利用して蹴落とそうとすることがあるのです。

新入社員もいじめの対象になることがあります。

新人は当然仕事ができず、何もかもを教えてもらわなければできない状態です。

これに対して人を教育することを面倒がる人や、あるいは弱者をいじめることで自分が優位に立ちたいと思っている人が加害者となり、いじめへと発展させます。

自己評価が低い人(自信がない人)

自己評価が低く、根拠なく自分に自信がない人がいます。

そのような人は、職場いじめのターゲットになりやすいといえます。

職場いじめの加害者は、人を傷つけて劣等感を抱かせることで、自分が優位に立ちたいのです。

そのような加害者にとって、自信がない人は簡単に傷つけることができるので、ターゲットにしやすいのです

もともと自信がない人は、基本的にまじめなタイプが多いです。

仕事を一生懸命まじめに行って、成果をあげ、ささやかな自信を得ていると思います。

そんなときに、「何だかむしゃくしゃするから、誰でもいいから傷つけてやりたい」と感じたら、ちょうどよいターゲットになってしまいます。

自己評価が低く、日頃から自信なさげな態度の人は、加害者からは「簡単にいじめることができる、ちょうど良い存在」に見られているかもしれません。

仕事だけを生きがいにしている人

仕事だけを生きがいにしていて、仕事と自己が過度に結びついている人がいます。

そのような人は、職場での評価が低いと、自分のすべてを否定され自分には価値がないと感じてしまうことがあります。

厳密にいえば、職場いじめの被害に遭いやすいというよりも、職場で誰かに批判されることが職場いじめと感じてしまいやすいともいえます。

現代の会社員の多くは、会社を「気持ちのよりどころ」としています。

会社で出世すること、メンバーから評価されること、評価された結果として給料を得ること。

これらは大切な生きがいではあります。

ただ、過度に会社に依存していると、仕事に対する誰かからの批判が、人格への批判に聞こえてしまいます

逆に仕事は給与を得る手段だと割り切っていれば、多少誰かに何かいわれても、それほど傷つきません。

会社での自分だけに依存しすぎていて、それ以外の自分がない状態の人は、いじめ加害者にとって簡単に支配下に置くことができます。

仕事に関して評価を下げることで、簡単にその人を傷つけることができ、思い通りに動かすことができるからです。

生真面目で固すぎる考え方の人

多くの職場には、ささいな不正というのが行われているものです。

たとえば業務中に会社のPCでネットサーフィンをするとか、会社の電話やメールを私用で使うとか、切手などの事務用備品をくすねる、などです。

これらは当然いけないことではありますが、生真面目で固すぎる人は、職場での不正を正そうとしすぎて集団からはみ出てしまうことがあります

本来「いけないことはいけない」と言える人は尊重されてしかるべきです。

しかし、職場にいるほとんどの人が、お互いの不正を見て見ぬふりをしている環境であれば、生真面目に不正を正そうとする人は、いずれ敵に回されてしまいます。

告発まではしなくても、「いけないことはいけない」という態度を続けることによって、その人の行動が集団全員に対する無言の非難であると捉えられます。

そうすると、次第に職場の規律を乱す者として、職場いじめのターゲットとなっていきます。

職場いじめの被害者になったら

上に述べてきた特徴から、いじめのターゲットになってしまう人は、自分の気持ちに正直すぎたり、集団で要領よく立ち回ることができない「真面目で不器用」という人物像が浮かび上がります。

これらの人たちは、仕事への思い入れも強く、正しいことを誠実に行いたいという潔癖主義的なところも持ち合わせているのではないでしょうか。

もしあなたにそのような特徴があり、かつ職場全体のモラルが低下しがちであり、かつ職場いじめの加害者になり得る意地悪な人がいるとしたら、注意しなければなりません。

職場いじめの被害者になる要素がわかったとしても、対策しようもないケースが多いです。

加害者にとって目障りで気に食わない人であることがわかったとしても、どうしたら目障りでなくなるか、わからないものです。

それに、会社の不正を糾弾したところいじめの被害に遭い始めたとしても、信念を曲げて、会社の不正を見て見ぬふりをする人間と成り下がるわけにもいきません。

このように、職場いじめは単なる人と人とのケンカとかではなく、組織的に行われることが多いため、被害者はなすすべもなく苦しむことになります。

なるべく社内に理解者を作る

すでに職場いじめの被害者になっていたとしたとしても、できるだけ自分の身を守るために、できることを少しずつやってみましょう。

まずは、社内に理解者を作ることです。

職場いじめの被害者は、社内で孤立している人や仲間を持たない人が選ばれやすいと述べました。

一方、社内に理解者が多い人は、いじめ被害に遭う確率が減ります。

もしいじめられていたとしても、社内の誰かにわかってもらえている、同情してくれる人がいるというだけでも心の支えになります。

職場いじめで一番つらいのは、特定の人からのいじめ行為ではなく、ひとりぼっちになってしまうことです。

職場いじめは多くの場合、集団で無視をしたり孤立させたりして、被害者をひとりにします。

そのようにされることで、被害者側の自尊心を奪い、「自分がどこかいけないことがあるから、みんなが自分を避けるのだ」と思わされてしまいます。

そのため、被害に遭っている人は、何とかして一人でも良いので、同情してくれる人を探すようにしてください

会社の上層部の人でもいいですし、産業医でもいいでしょう。

後輩や同僚などで、少しでも自分を心配してくれる人がいたら、話しをするようにしてください。

自分にまで被害が及ぶことを怖れて、集団の中ではいじめを見て見ぬふりをする人が多いです。

しかし、心の中ではかわいそうだなと思っている人が必ずいます。

そういう人がいるということを知るだけでも、あなたの心強い支えになります。

産業医や、会社の労務相談室の担当者が頼れる人であれば、相談してみてください。

これらの人が何らかの力を持っていれば、状況そのものが良い方へ変化するかもしれません。

職場を去ることに罪悪感を持たない

職場いじめは陰湿で、一度被害者としてターゲットになってしまうと、追い詰められてうつ病などの精神疾患にかかることも考えられます。

職場いじめから逃れるためには、会社を辞めて新たに健全な職場で働くというのが一番の解決策です。

もちろん、大変難しいことなので簡単には勧められません。

しかし職場いじめがあり、それを放置しているような会社で、死ぬほど辛い思いをしているのであれば、「辞める」ということも考えてみましょう。

たとえ入社して間もないなど事情があったとしても、職場を去ることに罪悪感を持たないようにしましょう。

職場いじめは、心身を傷つけ、ひどい場合は本当に自殺者まで出してしまうような恐ろしい行為です。

そのような状況になるまで、いじめに耐える必要はありません。

今すぐ辞めることができない人は、3ヵ月程度の生活費を貯金しましょう。

そうすることで、「死ぬほど辛いなら辞めれば良い」という心の余裕が出てきます。

また、転職サイト(エージェント)へ登録するなどをして活動を進めると、視野も広がるし将来への希望を持つこともできます。

職場いじめと闘って心身をすり減らすより、新しい環境へ前進したほうがはるかに健全です。

いつまでも被害者の立場に甘んじてはいないという、覚悟を持つことが大事ではないでしょうか。

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