転職の面接で、「前の会社での人間関係はどうでしたか?」あるいは「苦手な人合わない人とはどう接しますか」といった質問を受けることがあります。
こういったときは、正直にあなたの本音を話してしまってはいけません。今回は、転職面接で人間関係について聞かれたときの答え方について解説します。
「人間関係構築力」を探られている
会社を辞める人の多くは、職場の人間関係が原因で辞めています。採用側の面接担当者も、そのことを重々知っています。
しかし、あえて人間関係について聞くと言う事は、あなたの人間関係の構築の力を探ろうとしているからです。
そのため、「前の会社での人間関係はどうでしたか?」と聞かれて、そのまま本当のことを話してしまってはいけません。
主に、「上司とうまくいかなかった」といったストーリーは避けましょう。
たまに、「上司と喧嘩して辞表を叩きつけてやりましたよ!」などと、武勇伝のように話す人もいます。
しかし、これは大変不利になってしまいますからやめておきましょう。
「この人は、入社したら自社の上司ともなくやれるわけがない、辞表をたたきつけて辞めてしまうかもしれない」と考えられてしまうからです。
前職での苦労や、辞めざるを得なかった理由を話したくなる気持ちもわかります。
しかし、前職を「人間関係の問題で辞めた」ということだけは禁句だと思って、ぐっとこらえるようにしてください。
「まったく問題ない人」も求めていない
ただし、「私は人間関係でまったく困ることはない」という姿勢も良くありません。
職場では人間関係についての苦労は絶えないものです。
誰もが合わない人がいますし苦手な人がいます。
立場も考え方も違う環境のなかで、誰とでも上手くいき、まったく問題がない人などもいないのです。
そのため、こういった人間関係についての質問に対して「まったく問題はありません」と答えるのも不自然なものです。
苦手な人がいることや、人間関係で困ったことがあるということが、ダイレクトに悪印象となるわけではありません。
苦手な人に対しても逃げないという姿勢
人間関係についての質問をする面接官は、その質問の回答から、あなたの職場での人間関係でどのように向き合ってきたかを知りたいわけです。
苦手な人であってもきちんと向き合って、逃げず、良い関係を築いていくといった腹のくくり方や、覚悟を聞かせてもらいたいと思っています。
人事担当者のなかには、「今の若い人は、内向的でコミュニケーションが苦手」との印象を持っている人も多くいます。
精神的にタフで、人間関係でうまくやれる人として上手くアピールできれば、とても好感度が上がります。
面接での答え方
それでは以上のことを踏まえて、面接の場面で「前職での人間関係はどうだったか」「苦手な人がいた場合はどのように対応するか」といった質問に答える方法を考えてみましょう。
幼稚な回答は避ける
回答の準備しておらず突然「人間関係で困ったこと」を聞かれてしまうと、とっさの思い付きで、過去の嫌だった経験を話してしまう人がいます。
大抵こういったエピソードは幼稚で稚拙な愚痴のようになりますので注意しましょう。例えば以下のような回答をしがちですが、やめておきましょう。
・前職では先輩が仕事を全然教えてくれない人で、困りました
・上司が怖い人で、「言い訳するな」とかいって話を聞いてくれなかったので、困りました
このような回答は、ただの悪口と変わりません。
さらに、人間関係で困ったエピソードを延々と話す人や、「苦手なタイプの人はどんな人?」といった世間話のようなノリで体験談風に話す人もいますが、それもいけません。
苦手な人にあなたがどのように向き合って、改善のために何をしたのかを織り交ぜて話さないと、面接官の質問の意図とずれた回答になってしまいます。
「関わらないようにする」はNG
また、若い人に多い回答ですが、「苦手な人とはあまり関わらないため、問題になることはありません」と答える人がいます。
人間である以上嫌な人がいます。
いけすかない人とあまり関わらないというのは、人間関係上の正しい方法でしょう。
しかし、プライベートなら、苦手な人を切り捨てても構いませんが、仕事となると「避ける」「関わらない」という姿勢ではいけないのです。
職場や取引先に苦手な人がいたとしても、合わないからとか嫌いだからといって、避けていては仕事になりません。
このような「本音の姿勢」をシンプルに伝えてしまっては不利になります。
また、「苦手な人や難しい人がいるのは仕方がないので、職場では何とか耐えて付き合うことができます」というのも、同じようなニュアンスを与えます。
こういう答えをしてしまうと、人間関係に大きなトラブルを生む人ではないけれど、積極的な人ではないと印象づけてしまいます。
会社は、積極的に人間関係を作り、取引先を拡大したり、社内での人望を得られたりといった「人間力」のある人材を欲しているからです。
また、人間関係の問題というのは、「避ける」「逃げる」という対処法が一番解決しません。
何かあったときやトラブルになったときに、積極的に向き合い克服するという姿勢がないと、問題自体が拡大してしまうからです。
好ましい回答例
人間関係で困ったことや、苦手な人との付き合い方を聞かれたときの、好ましい回答例は以下のようなものです。
自分にあてはまるような内容があれば、事前に自分のケースにあてはめて答えることができるように、準備しておきましょう。
相手と向き合って克服)
私は前職では上司の一人がとても苦手でした。一方的な話し方をする人で、感情的だったからです。
しかし、自分が相手に向き合わず避けていると、相手からも避けられたり、むしろ辛く当たられたりするということに気づきました。
そのため、勇気が要りましたが、この上司には自分から心を開いて積極的に飛び込むようにしました。
挨拶を自分から元気にすること、こまめに相談すること、指示を仰ぐこと。どれも基本ですが、それまでの私にはできていないこともあったと、そのとき反省しました。
このように、上司と向き合って誠実に接することで、あるときを境に上司からも信頼いただけるようになりました。
前職で私が退職すると決めたときに一番悲しんで引き止めてくれたのが、この上司です。
こういった経験から、自分の努力で良い人間関係は作ることができるということを学びました。
プライベートでしたら好き嫌いで判断して良いのかもしれませんが、仕事をしているので、好き方だからとか嫌いだからといって左右されていてはいけません。
私はプロとして、今後も人間関係をきちっと作り、その上で正しい仕事をしていきたいと思っています。
笑顔を絶やさない努力)
前職での人間関係は悪くありませんでしたが、自分なりの努力をしてきたからだと思っています。
私は以前、「何か怒ってる?」とか「表情が怖い」と言われたことがありました。
相手に与える印象が良くなければ、人間関係づくりの第一歩でつまづいてしまうため、とても損だと思いました。
そのため、自分で努力して何とか笑顔を絶やさない努力をして参りました。
次第に、「怒ってる?」などと言われることがなくなり、ほっとしています。
譲り合う気持ちが大事)
前職での人間関係はとても良好でした。
私も努力をしましたが、周りの人もとても気を遣ってくれました。狭い通路を通る時はお互い譲り合ったり、仕事が忙しい人がいたら、お互いに助け合ったりすることが、自然にできる職場でした。
そういった職場にいるいたので、自然に譲り合いをする意識を持っています。
人間関係とはお互いの譲り合いの気持ちで良くなると言うことを学んできました。
人付き合いは得意ではないが積極的に話しかけた)
私は、元来それほど社交的ではありません。
上手に雑談することはできませんし、人見知りもするタイプです。
自然にはできない分、同僚にも上司にも意識して、自分からこまめに話しかけるようにしてきました。特に、挨拶は大きな声ではっきりと、を心がけてきました。
自分から積極的に入っていかないと、どうしても取り残されそうなので無理をしてでも明るくしてきたのですが、結果的に周りの人からは「いつも明るいよね」「相談しやすい人」と言われるようになりました。
今では、元来の性格ではありませんが、仕事の上では社交的にふるまい、周りの人と和やかな関係を気づく自信があります。
このように、回答例には「人間関係の構築には自分から心を開く」「積極的に関わる努力をした」といった、覚悟や心構えが混じっています。
こういった姿勢を混ぜて回答することによって、人間関係作りに問題は無い人材として受け止めてもらえます。