転職での二次面接・最終面接では小手先のテクニックは通じない

面接対策

中途採用であっても、面接回数は1回~3回行っている会社が多いようです。

新卒とは違って、急いで採用したい会社は、1回だけというところもあります。その一方で、ある程度しっかりとした採用体制を敷いている会社は、一次面接(最初の面接)を経て、二次面接、そして最終面接にて採否の決定をします。

通常、一次面接をクリアした人だけが、二次面接以降へと進むはずです。

二次面接に呼ばれた段階で、採用に近づいているのは事実です。しかし二次面接には、人材の採用について重い責任を持った人が面接官として登場します。

特に社長などの経営者との最終面接では、小手先のテクニックが通じません。

面接テクニックなどの小手先に頼るよりも、二次面接に出てくる面接官の立場と、「どのような視点で応募者を見ているのか」を理解しておく方が、効果的な面接対策になります。

今回は、二次面接の面接官の特徴と、面接対策の仕方について解説します。

二次面接まで進めたことに自信を持つ

「採用通知」が手元に届くまでは、不安感が続いてしまうものです。しかし、「一次面接突破」の通知が届いたら、まずは自分に自信を持ちましょう。

あなたの評価が高かったから、数多い応募者の中で、一次面接を突破することができたのです。

確かに、「採用通知」が届くまでは、不安感が続いてしまうことでしょう。しかし、「一次面接を突破することができた自分」に対して自信を持つことが、二次面接に挑む上では大切になってきます。

二次面接まで設けられているということは、それだけ応募者が多いということです。

まれに、企業の採用マニュアルであったり、本社と支社が離れていたりで、応募者が少なくても二次面接まで設けることはあります。

しかし、基本的には応募者が多いから二次面接まで設けられているのです。

一次面接は、「ふるい落とし面接」のような側面を持っており、多くの人は一次面接で落とされてしまいます。

一次面接が一番通過しにくいとも考えられており、一説では「一次面接通過率=20%~30%」ともいわれています。

そのような厳しい一次面接を、あなたは見事にクリアし、二次面接に挑もうとしているのです。

面接において、自分に対して自信を持つということは、とても重要なことです。自信というのは面接官にも伝わるもので、「この応募者は自信があるな」と面接官に感じさせることが大切です。

「一次面接を突破した=一次面接で高評価を得た」というのは、当たり前のことではあります。ただ、自分が評価されていることを再認識することは、自分の自信につながります。

3種類いる二次面接の面接官

一次面接をクリアしたことには、自信を持ってほしいものです。

しかし、一次がうまくいったからといって、そのときと同じ感覚で二次を受けてはいけません。

まずは「二次の面接官はどのような役割の人が多いか」「応募者をどのような視点で見ているか」を、それぞれ知っておく必要があります。

1回目の面接である一次面接は、多くの場合人事部の担当者と配属予定の現場社員が面接官を担当します。二次面接の面接官はその上の立場の人たちが担当することになります。

会社によって多少の違いがありますが、二次面接の面接官には3種類の人がいます。人事労務部門の長、あなたが配属される部署の上司になる人、および社長や役員などです。

もしあなたが、一次面接を突破して二次面接にのぞむのであれば、3種類の二次面接の面接官の立場と視点を理解しておきましょう。

人事労務部門の長

二次面接では、ほとんどがその会社の人事労務部門の責任者が面接に立ち会うことになります。

この役割の人は、人材の採用活動全般に責任をもつ人です。

採用計画を立て、求人企画を作り、求人情報を出し、応募者を募り、面接日を設計して、会社のトップにその状況を報告し……といった、一連についてすべて監督する立場です。

採否の権限をすべて与えられている人もいますし、採用後の配属や育成、労務管理全般も、通常人事労務部門長の役割です。

人材を採用し、無事に配属し、きちんと育成し、日々の労務を管理し会社に貢献する社員に育てあげるといった重大な責任を負っているわけです。

さらに、正社員を一人採用するというのは、採用に関連する諸費用もさることながら、生涯賃金で考えると「1億円以上する人を買うか買わないか」といった判断をすることにあたります。そのような多額の人件費を動かす責任を負っています。

そのため、会社の採用活動を問題なく成功させることが、この役割の人にとっての最大の関心ごとです。

質の高い人材を集めて最終面接にまで持ち込み、「当社の人材採用活動は無事に成功した」と社長や役員に言ってもらえることを目的にしています。

この立場の人の身になると、応募者が「問題がありそうな人物」「内定を出しても断られそう」「採用しても短期で辞めそう」「採用しても他部署から苦情が来るような人」であると感じると、不採用にするでしょう。

やる気があり会社の役に立つ人材よりも、むしろ問題を起こさず、大人しく組織適応できそうな人材の方が魅力的に映るのです。

「人事労務部門の長」の見分け方

二次面接で、どの人が人事労務部門の長かを見分ける方法はいくつかあります。

二次になると、面接官が自己紹介することが多いので、そのときに「人事部の〇〇です」「採用担当の〇〇です」というように人事労務部門名が出てきたら、間違いなくこの人が人事労務部門の責任者です。

あるいは、面接前後に事務的なやり取り(個人情報の取り扱いや応募書類の管理方法、採否の連絡)について、やや細かく話してくる人も、人事労務部門の人です。

この立場の人からは、面接の場面では「当社が第一志望ですか」「他に応募している会社はありますか」「ご家族は今回の応募に何とおっしゃっていますか」などを聞いてきます。

それは、実は他社が第一志望であるとか、家族が反対しているなどの事情があって、内定を出したあとに辞退されると困るからです。

さらに、「前職では人間関係は良好でしたか?」「円満退職をされましたか?」「〇〇な事情をお持ちのようですが、大丈夫ですか?」などを聞いてくる人も人事労務部門長である可能性が高いでしょう。

トラブルを抱えている人や、組織適応力に問題がある人を見分けたいからです。

その一方で、仕事への熱意や採用後にやりたいこと、前職でのスキルなどについては熱心には聞いてきません。「何ができるか」よりも「問題はないか」「不安材料を持つ人ではないか」といったことを確かめようとする質問をしてきます。

人事労務部門の責任者の場合、見た目などの印象は事務的で、やや官僚風であることが多いようです。

ただ、おおらかで気さくな雰囲気の人もいますので一概にはいえません。

しかし、質問内容が上記のように「不安の払しょくを目的とするもの系」であることから、人事労務部門長であるか否かを判断することができるはずです。

「人事労務部門の長」に気に入られるには

二次面接で人事労務部門長らしき人には、あなたは「問題を起こさない常識的な組織人」であることを主張しなければなりません。このとき、「前職では一定の期間、組織人としてきちんと適応してきたこと」を示しましょう。

人間関係も良好に築く能力があり、もし採用されても問題なく会社の一員になれる人材であると印象づけてください。

人事労務部門の長は、あなたに内定を出したのに辞退されてしまうとか、採用したのに短期間で退職されてしまうといったことを一番恐れています

そのため、採用されたら長期勤務したい旨や安定志向であることも付け加えておくと、彼らを安心させることができます。

前職を1年以内に退職してしまっている人は、この立場の面接官からはかなり厳しい目で観察されることを覚悟してください。

「前職は短期で辞めたが、次は絶対腰を据えて頑張る」と上手く伝えることができるように、繰り返し練習しておきましょう。

人事労務部門長の立場で見ると、「出る杭」よりも「常識人」が魅力的です。

この立場の人からは、「面白い奴だけど、使いにくい」というタイプの人材は敬遠されます。常識破りの発想力や、負けん気などをPRしたい人も、若干控えめにした方が無難です。

配属される部署の上司

二次面接で、人事労務部門の長と共に面接官を担当するケースが多いのが、採用後に配属される部署の長です。

もし採用されたら、あなたと毎日顔を合わせ、仕事を教え、日々の業務管理をし、指揮命令権を持つ人になります。

この立場の人は、あなたの経験やスキルがどの程度であるかということに興味を持っています。採用される人が、スキルが無かったり能力が乏しく仕事ができなかったりすると、とても困るからです。

さらに日々接することになるわけですから、あなたの人柄が「使いやすく可愛げがあるか」「自分と相性は合うか」「自分の部署内のスタッフと相性は合うか」といった視点で観察をしています。

自分が監督する部署内で上手くやれない人を採用してしまうと、それらのすべてが自分の責任になってしまいます。そのため、できる限り「組織内でうまくやれる」という人を選びたいのです。

「配属される部署の上司」の見分け方

二次面接で、どの人が配属される部署の上司なのかを見分けるのも簡単です。

面接では、あなたの前職での経験や、何ができて何ができないかといった能力的なことを主に聞いてくる人が、配属される部署の上司です。

現場で必要な技術、知識、考え方、意欲、失敗したときの気持ちの切り替え方など、実務系の質問をしてきます。

技術が必要な職種や専門職であればなおさら、具体的な用語を出してあなたの「能力の程度」を測ろうとしてきます。

「〇〇という職種で必要な心構えは何だと思いますか?」といった、その職種に必要な考え方やこだわりについて深く聞く人もいます。

見た目などでも、職種によっては「いかにもその現場で実務を行っている人」という印象を与える人もいて、すぐにわかる場合があります。

面接の初めに「〇〇部の〇〇です」と名乗ってくれるときもあります。

また、配属される部署の上司は、人事労務部門の人ではないため、面接官としての経験に乏しいです。

そのため何を質問していいかわからない様子であったり、緊張していたり、雑談風に自分の仕事の話ばかりしていたりといったように、面接に慣れていない感じが漂っていることもあります。

「配属される部署の上司」に気に入られるには

二次面接で配属される部署の上司らしき人には、あなたは「実務スキルがあり現場で役立つ人」であることを主張しなければなりません。

前職で培った能力・経験・スキルをわかりやすく伝えましょう。

どれだけ現場で役立つか、具体的な数値を出してアピールすると良いでしょう。さらに現場ではチームで働くことが多いので、人間関係を良好に築けることも付け加えます。

ある程度の年齢(目安として28歳)に達しているのであれば、後輩指導の経験があるなどの「リーダーシップ」をPRするのも評価が高くなります。

面倒見の良さや指導力はどの部門にも求められる要素だからです。

配属される部署の上司から見ると、実務スキルもさることながら、熱意があり、部下として使いやすい可愛げのある人材に魅力を感じますから、仕事への情熱や意欲が伝わるように語りましょう。

基本的に一次面接で語った内容と同じようなやり取りになると思われます。一次で答えた内容と矛盾しないようにしつつ、より実務能力を証明できるように語ります。

社長や役員(最終面接者)

中途採用の場合は採用を急いでいることもあり、二次の段階で社長や役員が面接官として出てくることもあります。

これらの人が出てきたら、選考は最終段階になったということです。

採否の最終判断者であるため、社長や役員が「イエス」と言えば採用になり、「ノー」と言えば不採用です。

人事部門長や現場の長と違い、労働者ではなく、経営全般の総責任を負う「経営者」ですから、あなたのことを経営に役立つ人材かそうでないかをシビアに判断します。

経営者にとって人材とは会社の財産であり、柱です。

中には社員を自分自身の分身であると考えている経営者もいます。そのため、現在のスキルや数年内の組織適応といった小さいレベルではなく、「わが社と同化できるか」「会社の軸となるか」といった大きな視点であなたを観察します

社長や役員(最終面接者)の見分け方

最終面接者の多くは、自分で役職を名乗りますのですぐわかります。あるいは二次面接が終わったあと「最終面接として社長の〇〇とお会いいただきます」などと案内されることも多いです。

妙にフレンドリーであったり、あるいは横柄で感じが悪かったりと、良くも悪くも「労働者らしさ」がないことから、それとわかる場合もあります。

社長や役員(最終面接者)に気に入られるには

社長や役員などの最終面接者は、人材を見極める感覚が鋭く、判断は早いです。

相性が合うか合わないかといったカンで人物把握する人もいますので、快活で明るい印象を与えることと、ダラダラと長話をしないことを心がけましょう。

「前職での経験」や「私のスキル」などをこまごまと語るよりも、会社に好意を持っていること、今回の転職には人生を賭ける覚悟があること、10年後は会社の軸となりたいといったビジョンがあることなどを語った方が、経営陣の心に届きます

これらのことを伝えるためには、あなた自身がその会社に入りたいと本気で思っていなければいけません。

そして、5年先、10年先にその会社でどうなっていたいのかについても、イメージできるまでにしておきましょう。

さらにその会社はどのようなポリシーで事業運営しているのか、社長や役員は日々どのように考えているかなども、事前に把握しておきましょう。

社長や役員面接では、小手先のテクニックは通じません

労働者の立場である人事労務部門の長や配属先の上司には通じても、経営者には「本気で入社したい」という情熱がないと、あっさり見抜かれてしまいます。

面接官の立場を考えて対応する

以上、3種類の二次面接官の視点を述べてきました。まとめると下記のようになります。

魅力的な人材像 落とす理由 面接であなたがPRすべき要素
人事労務部門の長 問題を起こさない常識的な組織人 不安材料がある(安定性・常識) 長期勤務する/安定志向である/常識的な組織人である
配属される部署の上司 実務スキルがあり現場で役立つ人 仕事ができない/スキルが足りない スキル・経験がある/頼まれ上手/熱意がある
社長・役員 会社の軸になる人間性を持つ人 人間性に不安/相性が悪い 会社が好き/人生を賭ける覚悟/ビジョンがある

どの会社に応募するにしても、上記のような立場の人が面接官としてあなたに会うことになります。

会社によっては肩書が違っていたり、「人事労務部門の面接官が2名」といったように同じ属性の人だけであったりすることもあります。

しかしたいていは上記のような役割と責任を持った人が、担当することが多いということを理解しておきましょう。

「回答がズレていること」を防ぐには

また、これらの人からは、それぞれに「当社では、どんな場面で活躍したいですか?」などと、同じような質問をされます。

しかし同じような内容の質問であっても、面接官の立場によって答えてほしい回答が違うのです。

二次面接で落とされる理由の多くに「質問の意図を理解していない回答をする」「会話が成り立たない」ということが挙げられます。

聞きたいことを答えない人に、好感を持つことができないのは当然です。

応募者が面接官の立場を考えずに、一方的に話すため、このように受け取られてしまうのです。

細かい面接テクニックを学ぶことも大事ですが、彼らの立場や責任の範囲、思考回路を知っていれば、面接日当日に思わぬ質問をされても、柔軟に対応できるのではないでしょうか。

そのため、目の前にいる面接官が3種類のうちどの立場の人かを考えて答えましょう。

例えば「当社では、どんな場面で活躍したいですか?」といった質問をされた場合、相手によって答えるべき要点は以下のようになります。

「当社では、どんな場面で活躍したいですか?」

人事労務部門の長 会社に貢献できる人材になりたい/人の役に立ちたい(常識的な組織人である)
配属される部署の上司 経験とスキルを活かしたい/お客様に頼られたい/商品の良さを伝えたい/チームリーダーとして活躍したい/専門技術を身につけたい(スキル・経験がある/頼まれ上手/熱意がある)
社長・役員 会社の軸となる人材になりたい/10年後には牽引力になっていたい/事業発展の最前線にいたい(会社が好き/人生を賭ける覚悟/ビジョンがある)

このように、それぞれの立場の人が、聞きたいと思っていることを理解して答えることができれば、相手の心に届きます。少なくとも「回答がズレている」と判断されることはありません。

なお、二次面接では3種類の面接官のうち数人ずつ組み合わさることがあります。

「人事労務部門の長と社長」とか、「配属される部署の上司と役員」などです。

その組み合わせの中に社長や役員が含まれているときは、彼らに焦点を合わせて回答します。社長・役員が含まれていないのであれば、主に質問を発した人の立場を考えて回答するようにしましょう。

あなたに質問をするのは、面接官自身が「この応募者に不安材料はないだろうか」「この応募者は私自身に害を与えないだろうか」「この応募者は私(会社)に益を与えるだろうか」という疑問に答えて欲しいからです。

質問者の立場や気持ちに配慮した回答を心がける方が、小手先テクニックに頼るよりずっと効果があります。

二次面接官全員の合意が必要

これまで述べてきたように、二次面接官には3種類の人たちがいます。

この3種類の面接官のうち、すべてが登場するかもしれませんし、採用活動に時間をかけていられない会社の場合、二次面接でいきなり最終面接官である社長や役員が出てくる場合もあります。

あるいは社長や役員が、人事労務部門長などに採否権限を与えている場合は、面接には出てきません。

そのときは人事労務部門長などが最終面接の面接官ということになります。

いずれにせよ、二次面接に登場する面接官すべての合意がなければ、採用はされません。あなたを面接した人の誰かが「この人はダメです」と言えば、落とされるのです。

なぜならば、あなたがもし入社後に何か問題を起こしたら、あなたの採用に合意した人事労務部門長や、現場の上司が責任を負います。

「あの人を採用したのは私ではない、だから責任を負わない」とは言わせないために、入社させるか否かといった判断に立ち会わせているのです。

そのため二次面接では、このような重大な役割と責任を持つ人全員から「この応募者なら、私に害を与えないだろう」「私に益を与えてくれるだろう」と思ってもらう必要があるのです。

二次面接まで到達すれば、採用が近づいているのは間違いありません。二次面接にまでたどり着いたことに自信を持ち、堂々と面接を受けましょう。

しかし、二次面接は顔合わせのようなものだとか、最終面接まで行けばたいてい受かるといったような安易な気持ちでは、採用を勝ち取ることはできないでしょう。

正社員を一人雇うというのは、会社側にとって大変な決断ですし、判断責任を持つ人にはとても負担のかかるものです。

あなたがもし二次面接を突破したいのであれば、これらの重圧を持つ人に配慮した受け答えをすることです。

そうすることで、小手先の面接テクニックで乗り越えようとするよりも、好印象を与えることができ、転職を成功させることができます。

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