現在仕事をしている人は、転職活動していることがばれてしまうと、とても気まずい思いをします。
自分のためにも会社のためにも、転職活動は今の職場の人には内緒にして、ばれないように活動する必要があります。
ただ、応募先の企業から、今の職場へ自分のことを「照会」されるようなことはあるのか、業界が同じだと、担当者経由でばれることがあるのかなど、不安なこともあるのではないでしょうか。
今回は、在職中の転職活動がばれないようにするための方法について、考えてみましょう。
現在の職場には転職活動を内緒に
あなたがもし今の会社を辞めて、転職をしようと活動を始めたとします。そしてそのことが会社の上司や同僚にわかってしまったら、どうなるでしょうか。
会社は、仕事をこなすための組織上の人間関係で成り立っています。
そのため、あなたの個人的な転職活動が成功するようにと、心から応援してくれる人はいないと思った方が賢明です。
さらに、転職をしようとしていざ活動をしはじめても、すぐに上手く次の会社が見つかることはありません。通常は、数か月間にわたって活動を続けなければなりません。
そのため、仕事をしながら転職活動をしようとするならば、上司や同僚には内密に活動をした方が良いのです。
なぜなら、もし転職活動がうまくいかず、やっぱり今の会社で継続しようとしたときに、とても不利な立場にたたされてしまうからです。
上司にばれると今後信用されなくなる
特に、あなたの労務管理を担当する上司などに、転職活動をしていることがばれてしまわないように注意しなければなりません。
なぜなら、今の会社を辞めようとしていることで、あなたが「会社に役立とうという意識を持っていない」「不満がある」「勤務態度(意識)が良くない」という状態であるとみなされてしまうからです。
当然、上司としてはあなたを信用しなくなります。
また、上司本人も、あなたの労務管理が上手く行えていなかったという理由で、窮地に立たされることもあり得ます。
上司は、あなたを会社に貢献できる人材に育てるという重大な責任を負っている人です。
当然、その責務を果たせないと、上司自身も会社側から良くない評価を受けることになります。あなたが「会社を辞める」ということは、育成に失敗し、会社に貢献するはずの人材を失うということになるわけですから当然です。
このような立場の「上司」の身になれば、転職活動をしていることを知られてはまずいということがわかるはずです。
申し訳ないと思うのならばなおさら、あなたが「辞める」と告白するのは、次の会社が決まって、引き止められても「裏切者」といわれても、絶対に意思が揺らがない状態になってからにしないといけません。
同僚、親身な先輩にも相談しない
さらに、親しい同僚や、プライベートでも中の良い先輩などにも、転職を検討していることを話してはいけません。
いくらプライベートでも仲の良い人であっても、何かのきっかけであなたが転職をしようとしていることが話に出てしまって、ばれることがあるのです。
退職交渉は転職先が決まってから
今の会社に迷惑をかけたくなくて、「転職をするつもりで今から活動をします。そのため、退職日は〇月頃ということでご検討ください」と、あらかじめ退職交渉をしようとする人がいます。
しかし、こういった退職の交渉は、転職先から内定を得てからにしましょう。
前にも述べましたが、転職活動は長引くのが常です。
さらに、あなたの年齢やスキルによっても違いますが、もしかすると転職先が決まらないということもあり得ます。もし、転職先が決まらなければ、今の会社に居続けることになります。そのようなときのことも考えましょう。
一度であっても「辞めるつもり」という発言をした社員を、信用し、重要な役割を与え続ける会社はありません。そのため、行先が決まってから、退職交渉をしなければ、「どこにも行き場がない」ということになる可能性があります。注意しましょう。
転職先が決まっても社名は伏せる
また、転職先が決まり、いざ現職をやめる手続きを始めるとしても、内定した会社名は伏せておきましょう。
それは、例えば同業種であれば、業界の会合などであなたの情報が内定先に伝わるかもしれないからです。あなたに悪い情報などは無かったとしても、よからぬ噂などは簡単に作ることができます。
あなたの離職を良く思わない人が、「あの人は当社では仕事ができなかった」「〇〇という違反行為をしたことがある」などと悪意で伝えることによって、転職先で不利な立場に立たされることがあり得ます。
転職活動をばれずに行うには
それでは、転職活動をばれずに行うには、どのようなことに気を付けたら良いでしょうか。活動がばれる主な原因は、「配慮不足」と「うっかりミス」です。
「転職活動がばれたら大変だ」という意識が乏しいと、周囲への配慮をすることもできず、うっかりやってしまった些細な行為から、ばれてしまうことがあります。
そのため以下のようなことに注意しましょう。
内緒での活動と、はっきり伝える
まず、応募先の会社には、履歴書や面接の場面にて、「転職活動は、現職では内緒で行っています」とはっきり伝えましょう。そのほうが、ばれる心配はかなり減ると思われます。
在職中に転職活動をするのは普通のことです。
むしろ、前職を辞めてしまっている人よりも、応募先の会社は好意的な目で見てくれます。
そのため、現在の職場に内密に転職活動をしているということを、応募先の会社は決して悪く思いません。
「今の会社にはご恩もありますし、現職の社員としての責任を果たすつもりでいます。そのため、私が他社へ応募していることは内密に活動をしていますので、ご配慮をお願いいたします」
といったようなことを、履歴書やごあいさつ状などにひとこと添えておけば、配慮してもらうことができます。
会社のPCで転職活動をしない
昼休みや、退社前に、周囲の人がいないことを確認して、会社のパソコンで転職情報を閲覧する場合は多いのではないでしょうか。
しかし、こういった行為はかなり危険であると心得ておいてください。
業務用パソコンで、WEBサイトの閲覧情報を確認している会社はかなりあります。
メールの送受信記録など、調べれば、誰がどこにどのような内容の情報を送受信したかはばれてしまいます。
あなたが知らないところで、人事労務部門の人がシステム管理会社に依頼して、社員の業務パソコンの使用履歴を確認しているかもしれません。
人事労務担当者は社員の労務管理をしなければなりません。その一環として、堂々と社員のPC使用履歴を管理することができるものです。
会社のメールアドレスを使うということは、会社のメールサーバを使うことになりますから、当然避ける必要があります。また、yahooメールやgmailなどのWEBメールも、危険です。
会社の業務PCは、システムの管理や業務ソフトのバージョンアップのために、システムの担当者がPCの中身を確認する機会が多いのです。
そういった機会であれば、あなたの業務PC内のブラウザでどのような行為をしているのか、専門家が見ればすぐにわかってしまいます。
「半日有給」の理由を考えておく
また、平日の半日だけ面接を受けるために、「半日有給」を頻繁に取ることから転職活動がばれる人もいます。
こればかりは、致し方ないとも言えますが、半日有給を取る場合は、その理由をしっかり固めておきましょう。
さらに、半日有給を取った後に、必要もないのにスーツ姿で出社すると、転職面接のために休みを取ったことがばれやすいです。
半日有給を取った日は、普段と同じ服装に着替えて出社するようにしましょう。
ばれてしまったら
もし、転職活動をしていることが今の会社にばれてしまったら、どのようにするべきでしょうか。
こういった場合でも考え方は同じです。転職先がしっかり見つかり、新たな会社に無事入社するその日まで、今の会社にはすべてを伏せておくことです。
もし活動がばれても「そのようなことはしていない」「会社を辞めるつもりはない」と、徹底して否定したほうが良いでしょう。
そうしないと、転職先が見つからなかった場合や、「やはり今の仕事を続けよう」と心変わりしたときに困るからです。
もし、上司に呼ばれて「転職を考えているのか?」といったことを聞かれても、正直に答えてしまってはいけません。会社に不満があるとか、わがままを言っているととらえられてしまう可能性があります。
あくまで「今の会社に不満があるわけではない」「このまま続けて頑張る」と貫きましょう。「辞めるつもり」という意思を伝えるのは、転職先から内定をもらった後です。
外部からばれることは心配しなくて良い
活動がばれるのは、多くはあなた自身の配慮不足とうっかりミスによるものです。そのため、上記のような注意をして活動をすれば、大丈夫です。
そして、「外部から情報が入ってきてばれる」ということは、ほとんどありませんから心配しすぎなくて大丈夫です。
例えば以下のようなケースを心配する人もいますが、多くは杞憂です。
応募先の会社が現職に「照会」はほとんどない
応募した会社が、あなたの現在の職場に、「勤務態度はどうか」「信頼できる人であるか」といったことを「照会」してしまい、転職活動がばれるのではないか?と心配する人もいます。
しかし、現在は、個人情報保護法などによって、本人が同意していない内容を、他人に渡すことはできないようになっています。
もちろん、会社の担当者にはさまざまな倫理観の人がいます。
個人情報保護法など知らないといった人や、古い価値観で適当に個人のうわさをばらまくような人もいます。
しかし、ある程度の規模であり、まともな会社であれば、あなたの承諾がないまま、現在の会社にいきなり電話をかけて「御社の〇〇さんが当社に応募してきましたが、この人の情報を教えてください」などといったことはしません。
以前働いていた会社に照会するという会社はあるようですが、現在勤めているところに照会などをするのは、当然応募者を困らせることになることはわかっているので、応募先の会社は配慮してくれます。
また、面接まで行っておらず、書類選考段階であればなおさら、現職に問い合わせをするようなことはありません。
なお、前に述べたように、念のためひとこと「今の職場には内密に活動をしている」ということを履歴書に添えておけば、より安心できると思います。
同業転職でも、通常はばれない
履歴書や職務経歴書などに、今勤めている会社名を書くと、応募先の会社の担当者経由であなたが転職活動をしていることがばれるのでは?と心配になるかもしれません。
特に同じ業界であれば、他社であっても業界内の会合や取引で会うケースが多いため、自分の転職活動が噂になるのではないかといったことも考えられます。
しかし、たとえ同じ業界内であったとしても、通常は採用担当者が、「御社の社員さんがウチに転職活動されていましたよ」などといったことを話すのは、かなりのマナー違反行為といえます。
上に述べたとおり、一般的な倫理観を持つ人事採用担当者であれば、一般社員よりも、個人情報の扱いに関する教育を日々受けているはずです。
そのため、通常の倫理観のある担当者であれば、たとえ同業界であり知り合いの多い環境であっても、個人の転職活動を噂にしてばらすことはありませんから、心配しすぎないようにしましょう。
かなり稀なケースとして、完全なる同業への転職活動をしている人が、応募先の最終面接で登場した支店長と、今いる会社の上司が業界団体の役員同士であり、そこでばれたという話を聞いたことがあります。
しかし、これは非常に運の悪いレアなケースといえます。特に、全く関係のない業種であれば通常ばれることはありません。
配慮とうっかりミスさえしなければ大丈夫
会社を辞めずに転職活動する人は、今の会社へ配慮することとうっかりミスをしなければ、まずばれることはありません。
むしろ「外部から情報が入ってきてばれるかもしれない」と心配している人に限って、社内で堂々と転職サイトを見ていたり、業務メールを使って転職エージェントに相談していたりします。
こういった無配慮な行為の方が、高い確率でばれる原因になります。
今の会社には活動していることを絶対に秘密にすること。さらに、転職活動のためのツールはすべて「私用」のものを使うこと。
これらを肝に銘じて、転職活動を成功させてください。