あなたが今、社会人1年目であったとしても、今いる会社に入社した後、「こんなはずじゃなかった」「今すぐ辞めたい」と思ったときはどのようにするべきでしょうか。
色んな人から、「今すぐ辞めろ」「いや、3年は頑張れ」などと言われると思います。そのようなとき、何を基準に、どう判断したらよいのかわからなくなってしまうものです。
ただ、それぞれの人が抱えている事情によって、判断する基準はあります。新卒で入社したばかりで、まだ社会人1年目であっても、今の会社を辞めて、他社に移った方が良い場合は、どのような時でしょうか。
今回は、社会人1年目でもすぐに違う場所に移った方が良い場合について解説します。
労働環境が異常に過酷
まず、今すぐに会社をやめた方が良い場合のチェック要素を確認してみましょう。
このチェックリストに当てはまる項目が多ければ多いほど、会社を離れた方が良いといえます。もし、3つ以上当てはまる場合は、今の会社を出て違う会社へ転職することを、検討しましょう。
今すぐ辞めた方が良い労働環境チェックリスト
・面接で説明された労働条件、仕事内容、賃金、待遇が実態と全く違っている
・研修内容が、精神的修行のようで、ビジネススキルや一般研修とは程遠い
・給料が払われるのが遅れる、または現物支給である
・経営者が、社員を私的な用途に使っている。あるいは会社の費用が、経営者の私的な用途に使われている
・社会保険に加入していない
・就業規則が存在しない(あるいは存在しているが、社員が見ることができない、作成時期が5年以上前)
・経営者の気分で、解雇や昇進、昇格が行われている
・経営者が出勤していない、遊んでいる
・自社の製品を、強制的に買わされる(ローンを組んで、サービスチケットを買ったり、事前に自社商品を買って、それを客先に販売したりするような、いわゆる自爆営業をさせられている)
・会社の仕事で、自腹を切らされることがある(接待、客先への贈答品の購入など)
・社内暴力や、いじめ、体罰がある
・経営者への崇拝を強要される
・社員が精神的に抑圧されている。言いたいことが言えない雰囲気である
・常に怒声が飛び交うようなマネジメントをされている
・辞めたがる社員を辞めさせない「退職妨害」がある
・使えないと判断された社員を退職へ追い込む
・セクハラやパワハラが日常茶飯事で起こっている
・経営手法が、違法行為である
・会社に、労働基準監督署や警察、国税局等調査が入ったことがある
・会社が違法行為を犯している
・会社の経営者などが違法行為で訴えられたり逮捕されたりする
このチェックポイントにあてはまる会社にいる人は、今の会社に残っても期待できるものは何もありません。
そこに居続けること自体が、あなたの損害になります。
石の上にも3年、などと我慢せずに、転職をした方が良いでしょう。あなたの将来の可能性が狭まってしまう可能性があるからです。
あなた自身が転職に適した要素を持っている
労働環境が、上で述べたチェックポイントに当てはまる場合は、すぐにでも辞めたほうが良い労働環境です。
そしてさらに、あなた自身が下記に述べる「転職に適した要素」を持っている人であれば、あなたは「今すぐ辞めるべき人」に当てはまります。
転職に適した要素を持つ人 チェックリスト
・現在20代である
・現在30歳から34歳で、今の組織において上位30%の評価をされている(営業成績が上位30%に入っている、ある程度の役職を任されているなど)
・この会社に居続けることで、自己成長できないと感じている(ルーティンワークでビジネススキルが向上しない、など)
・この会社では、社会貢献できないと感じている(顧客に不誠実なビジネスをしている、クレームが多いなど)
・この会社に居続けることが、肉体的に深刻な影響がある(1日あたりの実質労働時間が13時間以上、週休1日未満、暴力を受けているなど)
・この会社に居続けることで、精神的な悪影響を受けている(セクハラ、パワハラ、いじめなど)
・あなた自身が、この会社を退職しようと思っている
・転職先のメドがついている(既に活動を進めている、内定先がある)
・転職先でも活躍できるスキル、人脈がある
労働環境を変えること自体は「逃げ」ではない
よく、「会社への不満から、逃げるように転職してはいけない」といったアドバイスを受けることがあると思います。
転職の関連書籍や、キャリアについて書かれたような者には、「嫌だからと言って逃げてばかりでは、逃げ癖がついてしまうし、転職先でも同じような不満で辞めることになる」と書かれています。
確かに、こういった意見は正論です。しかし、今の日本の会社には、絶対に逃げた方が良いと思われる労働環境の会社があることも事実です。
このような「辞めた方が良い会社」労働の環境は、あなた自身の将来に明らかに悪い影響を及ぼすことになります。
このような場合であれは、周りの意見を聞きすぎてはいけません。
さらに、「そんな会社を選んでしまった自分が悪い」とか、「一旦その会社に入ったのだから、最後まで勤め続けなければならない」などと義理立てしすぎる必要もありません。
「色々な意見」を聞きすぎてはいけない
世の中にはいろいろな意見があって、「会社にしがみついてでも辞めてはいけない」と言う意見もあります。
「1つの会社で1年も勤められない人間が、転職してもどこ行ってもダメだろう。そもそも、1年以内にやめた人間を雇ってくれる所などない。今の会社のまま、何とか頑張った方が良い」といった意見です。
一方で、「すぐやめた方が良い。無駄な時間を過ごすな」と言う意見もあります。
「いつ潰れるか分からないような会社に、自分の人生をかけてしまうのは、時間の無駄だ。さらに、その会社がブラック企業であったら、心身ともに潰れてしまう。そのようなことになる前に、さっさと次の会場を見つけよう」といった意見です。
色々な人が、いろいろなことを言うので、なかなか判断が難しいものです。
こういった意見には正解はないと思います。
しかし、会社を辞める辞めない等の判断は、あなたにしかできません。
誰かの意見を参考にするのも良いですが、あなたの労働環境とあなたの心の中は、あなたしかわからないからです。
確かに社会人1年目の人の転職活動は、確かに不利になる場面はあるでしょう。しかし、今いる会社に居続けるデメリットが大きいのであれば、思い切って決断したほうが良い場合もあるのです。
離職する前に転職の準備を
今いる会社に居続けるデメリットが大きいとあなた自身が判断した場合は、思い切って転職活動をしていきましょう。
まだ在職中であれば、転職サイトに登録したり、履歴書や職務経歴書の書き方を学んだりするなど、水面下での活動をしてください。
できるだけ、今の会社を辞めずに転職活動をした方が有利です。
なぜなら、就職して1年に満たないのに会社をすでに辞めてしまった人に対して、採用側の担当者はかなり厳しい目で見てくるからです。
そのときの景気の状態や求人倍率にもよりますが、新卒で入社した会社を1年未満で辞めてしまった人が新たな会社に転職しようと応募しても、書類選考の段階で7割は落とされるといわれています。
そのため、1年未満で会社を辞めてしまった人には、試練が待っていることを覚悟しなければいけません。
そのため、出来る限り心の中で「今の会社は辞めよう」と決意しても、勢いで退職してしまわず、次の会社へ移るための準備を進めましょう。
転職活動は客観的判断力も身に付く
水面下で転職活動をしていると、客観的な判断力が身に付いてきます。
新卒社会人1年目で会社を辞めようか悩んでいる人であれば、転職活動はまだしたことがなく、新卒のときの就活の意識でいるかもしれません。
その状態であれば、新卒の就活と転職活動の違いがはっきりわかっていないはずです。
そのため、まずは転職市場にはどういった会社が求人を出しているのか、どういった人材が強く求められているのかを体感することが大事です。
世に出ている求人情報を眺めているだけでも、様々な仕事があることや、求められているスキル・資格にはどういったものがあるのかがわかります。
また、今あなたの労働環境が世の中の水準と比べて高いのか低いのかといったことも理解できるでしょう。
他の会社での給与支給額や、福利厚生の充実度を調べていくうちに、「やはり今の会社はかなり労働環境は良くない」あるいは「平均的な労働環境であった」などがわかってくるようになります。
その段階で、本当に転職活動をするか、あるいは今の会社にとどまってもう少し頑張るかを考えても遅くありません。
また、会社を辞めていきなり活動を始めてしまうと、つい「月給が高い」「頑張ったら頑張っただけボーナスが出る」といった、給与条件面だけで次の転職先も選んでしまいがちです。
しかし、そのような待遇面を強く押し出して求人をかけている会社には、ブラック企業のように社員を大事にしない会社も含まれていることにも注意が必要です。
そのため、まずは空いた時間にサイトを閲覧したり、ハローワークの情報を得たりしましょう。
それだけでも、転職市場の動向や一般的な労働環境の程度などが、肌感覚として身に付いてきてきます
辞める理由を答える準備をしておく
さらに、社会人1年目の人が転職しようとする場合、応募先の会社からは必ず「勤続1年未満で辞める理由」を質問されます。
新卒で社会人になって1年未満に会社を辞めて転職しようとする人に対して、求人側の会社は、「当社に入っても、また短期間で辞めるのではないか」と不安に思います。
そのため、あなたが今の会社を1年未満で辞めようとしている動機を、細かく質問してくるはずです。その答えはしっかり準備しておきましょう。
あなたが1年未満であっても辞めたいという理由が、相手の企業に納得してもらう必要があるため「このような会社であれば、たとえ勤続1年未満でも辞めたいと思うのは当然だ」と思ってもらわなければなりません。
具体的には、前半で述べた「今すぐ辞めた方が良い労働環境チェックリスト」の項目のうち、当てはまる部分を具体的に話すことで、納得してもらえます。
事実だけを感情的にならずに伝える
ただし、そのときの注意点があります。
それは、できるだけ事実だけを数字を入れて話すことです。
そして、今の会社の悪口や、推察や主観(自分だけの考えや意見)を混ぜすぎてはいけません。会社や上司の悪口は避けてください。例えば以下のようにしましょう。
現在の職場では、労働時間が大変長く、このまま続けることが困難であると考えています。
具体的には、朝8時に朝礼が始まり、外回り営業を終えて事務所に帰るのが19時です。
そこから報告書や会議用資料の作成、および研修という名の上司からの指導を受けます。帰宅できる時間は早い日で22時、遅いと深夜を超えることがあります。
1日の労働時間が14時間を超えるため、さすがに心身共に疲労が重なり、転職を考えました。
現在の職場は、残業が月に70時間あります。それは特に問題に思っておりません。しかし、残業代は一切支給されないという給与体制であり、現在の私の月給は手取りで17万円です。
さらに、以前退職した社員からの申告により、労働基準監督署が未払い残業代の調査として臨検監督に入られたことが2回ほどあったようです。
こういった労働環境であるため、現職を退職しようと考えた次第です。
現在は営業販売職をしておりまして、お客様対応などにはとてもやりがいを感じております。また、人間関係にも問題はありません。
しかし、「自社の製品を、ローンを組んで強制的に買わされ、それを友人や顧客に販売する」というルールになっているのです。
通常、一度に50万円分の製品をローンで購入します。
そして、数年かかってでも売りさばかなければなりません。一応1回目の製品購入をして販売はしたのですが、今後この手法でずっと活動していくのかを思うと、とても負担に感じました。
このように、労働者としての当然受けられるはずの権利が受けられないとか、違法な手法で管理されているといった事情があれば、たとえ1年未満での退職であっても一定の理解が得られます。
実態がどれだけ劣悪であるかとうことを、感情を交えずに具体的数字で示します。
そうすることによって信ぴょう性が高まり、「辞めたいと思うのも無理はない」「この人自身に問題があるわけではなさそうだ」というように理解してもらえます。
また、その際、仕事上の人間関係には問題がなかったことを織り交ぜてください。さらに、体調やメンタル不調など、あなたがストレス耐性が弱い人かもしれないと推察されるようなエピソードを話してはいけません。
1年以内に辞める理由は、劣悪な労働環境だけにしておくことです。
面接官によっては、圧迫面接のようなスタイルで迫ってくる人もいます。しかし、しっかり準備して練習しておけば、当日になって動じることはありません。
スキルやキャリアについてPRしてはいけない
また、応募したい会社がある場合は、自己PRとして履歴書や職務経歴書を用意します。
面接でも自己アピールする必要がありますが、その際、社会人1年目の人は、「自分のスキル」や「実績」などを話す必要はありません。
1年目の人は、アピールできるほどのスキルは身に付いていないのが当たり前であるためです。
むしろ、1年目で退職を検討している人が、「自分にはこういったスキルがある」「〇〇なら任せてほしい」といったアピールをするほど、相手の面接官は「1年未満で辞めようとしているのに、もう〇〇ができると主張するのは、考え方が甘い」と感じます。
そのため、ないスキルを無理やりひねり出してPRしたり、学生時代のバイト経験を引っ張りだして「経験している」などとアピールしたりするのはやめておきましょう。
「次は辞めずに働きたい」「覚悟をして転職活動をしている」「やる気がある」といったことを中心に、主張するようにしましょう。
辞める日に備えて準備する
このように、社会人1年目であっても、労働環境などによっては「今すぐ辞めて、転職活動をした方がいい」という人がいます。
あなたがその条件に当てはまっているのであれば、次の会社へ移るための準備を初めてください。
とはいえ、「今すぐ辞めるべき人の条件」に当てはまっているからといって、何も用意せずに勢いで辞めてしまってはいけません。
きちんと水面下で転職活動をし、面接を受ける準備をしましょう。焦って辞めてしまっては、また労働環境が劣悪な会社に転職するはめになるかもしれません。
自分が一番適した会社はどこなのか、どういった方向性を持ってキャリアステージを築いていくのか、きちんと考えながら、辞める日に備えてほしいと思います。