職場の人間関係づくりはとても重要なことです。多くの人の「職場でのストレス」は、人間関係によるものだといわれます。
そのような中、特に最近悩んでいる人が多いのが、「職場で孤立している」というものです。
職場の人たちとうまく会話がかみ合わず、交流がしにくく、気が付くとなぜか一人になっている……。このように、職場で孤立してしまう人には、ある傾向が見られます。
もしあなたが「孤立しやすい態度」をしているのであれば、直すように心がけると、改善していくかもしれません。
今回は、職場で孤立している人の傾向と対策について解説します。
職場で孤立する人の傾向
職場で孤立している人には、大きく分けて2種類のタイプがいます。一人を好むタイプと、気が付くと孤立しているタイプです。
ここで問題になるのは、「気が付くと孤立しているタイプ」です。
なぜなら、「一人を好むタイプ」であれば、孤立していることを悩むことがありません。
これらの人は、必要な業務連絡などをしっかり行っていさえすれば良いからです。本人が孤立していることを、むしろ気楽に思っているケースもあります。
そのため、なぜか気が付くと孤立してしまうタイプの人は、「孤立していること」に悩んでいて、改善のためにどうしたらよいのかを探していかなければなりません。
それでは、何故か気が付くと職場で孤立している人はどのような傾向があるのでしょうか。
もしあなたが、職場で孤立しているのであれば、以下の傾向が自分に当てはまるか確認してみてください。
コミュニケーション能力に問題がある人
職場で孤立する傾向の大分類に「コミュニケーション能力に問題がある人」が挙げられます。
コミュニケーション能力に問題がある人のうち、代表的なのは、「人が怖く、緊張しやすい人」「他人の気持ちが良くわからない人」「話し方がきつい人」です。
実は人が怖く、緊張しやすい人
自分で意識していなくても、実は人付き合いがとても怖くて、緊張しやすい人がいます。
自分では誰とでも上手くやろうと思っていても、本心では「あの人には話しかけ辛い」「怒られると怖い」と思っています。
そうすると、あなたの表情や態度にそういった雰囲気が漂ってしまいます。そして、それが相手に伝わることがあります。
そのため、相手もあなたに対して、「自分のことを避けているのかな」「話しかけて欲しくなさそうだな」と思い、次第に声をかけられなくなっていきます。
他人の気持ちがよくわからない人
また、自分以外の人にも、感情があり色々な考え方があるということが、理解できない人がいます。
相手には相手の考え方があり、自分の考え方と違うかもしれないということが、なかなかわかりません。
そのため、相手の立場を理解して発言することができません。
また、「これを相手に言うと、どのように感じるか」ということに無頓着です。そして、言わなくてもいいことを不用心に言ってしまい、相手を傷つけてしまいます。
次第に「あの人は、人の気持ちがわからない」「自分のことしか見えていない」と思われて、だんだん職場では孤立していくのです。
話し方がきつい人
本当は怒っていないのに、話し方が怒っているような感じの人がいます。
そのように「話し方」や「態度」「表情」などは、話す内容以上に相手に強い印象を与えてしまいます。
もし、あなたが日頃誰かから「話し方がきついね」と言われることがあるのなら、もしかしたらそのような印象を与えているかもしれません。
実務能力に問題がある人
また、職場で孤立する傾向を持つ人の分類に、実務能力に問題がある人がいます。
実務能力に問題がある人とは、「仕事ができない、適性がない人」や「仕事を頼まれるのが嫌な人」です。
仕事ができない、適性がない人
今の仕事を時間内にこなすことができず、周りの人から「足手まとい」「要領が悪い」と思われている人も、職場では上手くやれないことが多いようです。
これは、本人の性格というよりも能力的なことかもしれません。
しかし、職場という「仕事をする場面」において、仕事をこなすスピードや要領の良さなどはとても重要な要素です。
あまりにも仕事ができず、適性がない人だと、次第に「この人とは一緒に仕事をしたくない」と思われてしまいます。
仕事を頼まれるのが嫌いな人
仕事に余裕がない人に併存する特徴ですが、誰かに仕事を頼まれることが負担になっている人がいます。
大抵の職場は、チームで動きます。
そのため、お互いに仕事を頼み、頼まれ、協力しあうことは当然のことです。職場の人間関係は、当然「仕事の協力関係」から発生するものです。
しかし、自分の仕事で手一杯であったり、そもそも他人に協力したくないという考え方の人は、こういった大前提の考え方を持っていません。
こういう状態だと、周りの人は、「あの人は協力してくれない」「頼んでも断られてしまう」と感じます。
そのため、仕事の分担に協力しない人は、声をかけられず、次第に孤立していくことになります。
情緒的な問題がある人
また、職場で孤立する傾向を持つ人の分類に、情緒状態に問題がある人がいます。
実務能力に問題がある人とは、「感情をコントロールできない人」や「悪口が多く、ネガティブな人」です。
感情をコントロールできない人
また、感情をコントロールできない人は、職場に限らずとても迷惑な存在です。
体調が悪いとか嫌なことがあったことなどをきっかけに、急に怒り出したり暗く落ち込んだりなど、感情の起伏が激しい人とは、一緒に仕事をすることが難しいのです。
特に、「なぜ怒っているのかわからない人」「何をきっかけにイライラし始めるのかわからない人」など、感情が乱れる理由がわからない人は周りの人から見るととても付き合いにくい存在です。
悪口が多く、ネガティブな人
話しの内容が、誰かの陰口が多く、考え方が暗いな人も嫌われやすいです。
仕事で上手くいかなかったことや多少の悪口くらいは、誰でも口にします。しかし、その程度が重いと次第に疎まれるようになってきます。
いつも誰かの悪口を言っている人は、必ず自分のことも悪く言っているに決まっているため、近寄りたくなくなります。
さらに、暗い話を聞かされ続けると自分も暗くてネガティブな気持ちになります。
話す内容に暗さはなくても、表情が陰気であるとか元気がないと、雰囲気そのものが重い印象を与えます。
特に害がある人ではないけれど、何となく「声をかけるのをやめよう」「誘うのをやめよう」と思われやすいのです。
自分の弱点を改善する
職場で孤立しやすい人の傾向を見てきました。あなたがこれらの傾向を持っていて、実際に孤立している状態であれば、周りの人のせいだけではなくあなた自身にも原因があって孤立しているのかもしれません。
まずは、あなた自身が自分の弱点を見つけて、改善するための努力をしましょう。
次第にあなたの努力は周りの人に好意的に伝わります。
成果が出る出ないに限らず、あなたが職場に溶け込みたいと思い、実際に改善の努力をしていれば、その気持ちが周りの人に理解してもらえて、だんだん孤立状態ではなくなってきます。
もちろん、すぐに職場の人全員と仲良くなれるわけではないかもしれません。
しかし、一人ずつ、理解してくれる人が出てくるとか、声をかけてくれる人が現れるといった形で、徐々に改善されていきます。
上記に述べたように、職場で孤立する傾向がある人は3つに分類しました。
- コミュニケーション能力に問題を持つ人(実は人が怖く、緊張しやすい人/他人の気持ちがよくわからない人/話し方がきつい人)
- 実務能力に問題を持つ人(仕事ができない、適性がない人/仕事を頼まれるのが嫌いな人)
- 情緒的な問題を持つ人(感情をコントロールできない人/悪口が多く、考え方が暗い人)
それぞれについて、できる限りのトレーニングをして、改善の努力をしましょう。
コミュニケーション能力に問題を持つ人の改善努力
緊張しやすい、他人の気持ちが把握しづらい、話し方などの態度が良くないといった人は、人がらや性格に問題があるわけではなく、コミュニケーションの能力が乏しいだけと考えられます。
コミュニケーション能力は、技能であり、トレーニングによって少しずつ上手になっていきます。
あなたには悪気はないというのに、技能が足りないことによって職場で孤立してしまうのは悲しいものです。
コミュニケーションのトレーニングにはさまざまな方法があり、極めようと思うと大変な労力がかかります。
しかし、職場で孤立しない程度のコミュニケーション能力であれば、いくつかのことを実践するだけで向上します。例えば以下のようなことです。
自分から相手に歩み寄る姿勢を見せる
例えばあなたが緊張しやすく人と接するのが怖いタイプだとします。
あなたが内心「この上司は苦手」「あの人は怖い」「人間関係はわずらわしい」と感じていたとしても、その心の中が表情や態度に出ていなければ、かなり敏感な人でないかぎり相手は気づきません。
あなたの表面上の態度が「歩み寄ってくる」様子であれば、職場の人たちは表面上付き合ってくれるものです。
あるいは、他人の気持ちがよくわからなく、「空気が読めない」と思われている人でも同じです。
あなたが本当の意味で相手の気持ちがわからなくて、相手に気遣いができないとか、怒らせてしまうことを言ってしまうことがあるとします。
しかし、孤立状態にまでなるのはそういった「空気が読めない」という弱点そのものではなく、「他の人の気持ちはわからないから、理解できない。だから、他の人はどうでも良い」といった協調性のなさに原因があります。
そのため、あなたが多少「空気が読めない人」であっても、相手に歩み寄り、協調して取り組みたいという姿勢を見せることで、「仲間になろうと努力している」ということが伝わります。
誰からも好かれるほどにはなれないかもしれませんが、一人、二人、と努力を認めてくれる人が現れるようになります。
見た目の印象を良くするよう意識する
また、人は見た目や口調、態度によって、本当の人がら以上に強い印象を与えるものです。あなたの内面が優しく穏やかな人であったとしても、目つきが悪く口角が下がっていれば、いつも「怒っている」「不満がある」と思われてしまうのです。
もし、「話し方がきつい」などと言われたことがあり、かつ職場で孤立しているような状態にいるのであれば、まずは機械的でもいいので、口角をあげ、笑顔を心がけ、声のトーンを穏やかにするようにしてみましょう。
こういった「表情筋を上げ下げするだけ」の動作に、いちいち心をこめる必要はありません。単なる動作ですから、一度実験的にでもやってみてください。
聞き上手になる(うなづき、あいづち)
さらに、コミュニケーション能力を即席でアップさせる方法に、「聞き上手になる」という方法があげられます。
どんな人でも、自分の話をしたいと思っていますし、熱心に聞いてくれる人に好感を持ちます。
どれほど「私は話下手です」とか「自分のことを話すのが苦手です」と言っている人であっても、例外なく、話をしたいし聞いて欲しいと思っています。
そのため、「相手の話を熱心に聞く態度」を身につけるだけで、好感を持ってもらえます。
相手の話をしっかり理解したり共感したりする必要はありません。相手の目を見て、うなずいたり、笑ったりすれば十分です。
相手は、自分の話を聞いていてくれる「そぶり」があれば、聞いていると思い込みます。(もちろん、きちんと理解し、共感できればそれに越したことはありません)
「緊張しやすく人が苦手」「他人の気持ちがわからない」と悩んでいる人は、とにかく相手に声をかけて相手に話をさせ、それを熱心に「聞くそぶり」をしてみてください。下手なコメントはしなくて大丈夫です。
人気者になれるというわけではありませんが、徐々に周りの人が声をかけてくれることが増えるようになります。
実務能力に問題を持つ人
実務能力に問題を持つ人は、とにかく「仕事ができるようになる」「ミスを減らす」「周りの人と協力するよう心掛ける」ということに注力しなければなりません。
しかし、「仕事ができるようになる」ということは、改善しようと努力するだけでは成果が上がらないことが多いものです。
そのため、「仕事ができるようになる」という目標はひとまず置いておいて、「ミスを減らす努力をしていること」および「周りの人と協力するよう心掛ける」といったことからスタートしましょう。
仕事ができない、ミスが多いといった理由だけで、職場での人間関係が上手くいかないのではありません。
むしろ、「仕事に関係する協力関係」の作り方に問題があるだけのケースも多いです。
そのため、実務能力に問題がありそうな人は以下のことに取り組んでみましょう。
プライドを捨て仕事の仕方やミスの減らし方を聞く
実務能力に問題があり、周りから孤立している人の多くが、「仕事でのミスが多い」などの状態を恥じているにもかかわらず、プライドが邪魔して、誰にも相談せず一人で何とかしようと空回りしています。
そういった状態であれば、周りの人も「放っておこう」となります。
仕事ができない、ミスが多いというのが孤立の原因ではなく、「助けを求めない」「プライドを守ろうと壁を作っている」ということが原因といえます。
そのため、もしこの状態があなたに当てはまるのなら、一度プライドを捨てて、周りの人に仕事の仕方を教えてもらい、ミスの減らし方を聞きましょう。
職場の人のうち、誰かは親切に教えてくれるはずです。「人の面倒を見るのが好き」「教えてあげるのが好き」というタイプの人はとても多いからです。
勤続年数が長い人は、このように「プライドを捨てて誰かに聞く、頼る」ということが大変難しく感じるかもしれません。
「人に迷惑をかける」「自分のことを人に頼るのは良くない」と感じるかもしれません。しかし職場ではチームで働くのが当然です。
プライドを捨てて、ミスの減らし方を聞き、仕事を手伝ってもらえないかと頼んでみてください。
意外にも、快く応じてくれる人が現れます。
人は基本的に誰かの役に立ちたいと思っているからです。そういった人を満足させるため、と思って一度周りの人を頼ってみましょう。
自分ができそうな誰かの仕事を手伝う
一方、あなたが他の人の仕事を手伝うことができないか、考えてみてください。相手の役に立ちたいという気持ちが伝わりさえすれば、何でもいいです。
「ミスが多い奴に仕事を任せられない」などと意地悪なことを言う人もいるかもしれません。しかし、あなたのその協力したいという態度を見ている人が必ずいます。
まずは改善の努力をしよう
このように、職場で孤立している人の傾向と対策を見てきました。
もちろん、職場での孤立の原因が、あなたにだけあるわけではありません。
本当に職場環境がギスギスしているとか、パワハラをする上司がいて健全な人間関係を作ることなどできないというケースもあります。
その場合は、潔く別の環境を探した方が良いでしょう。
しかし、「自分にも原因があるかもしれない」と感じている人は、一度傾向分析をして、弱点の改善にチャレンジしてください。
何の努力もせず、「この職場は私に合わない」と決めるのはもったいないことです。そのような状態で次の職場を探したとしても、原因があなたにあるのであれば、どこへ行っても孤立してしまうからです。
あなたに適した職場を探す
しかし、改善の努力をしたにもかかわらず孤立したままであれば、その職場はあなたに適した場所ではないかもしれません。
誰にでも人間関係上の相性があります。
さらに、実務的なミスマッチがあれば、どれだけ努力をしてもうまくいかないことがあるのです。
また、本当に意地悪で、誰彼かを探して攻撃してくる人というのも、一定の割合で存在します。
そういった人がいる職場であれば、自分の身を守るためにも、適した職場を探すべきです。
その際は、今の職場で孤立しているという原因を把握して、なるべく次は孤立しないように選ばなければなりません。
その際に頼りになるのが、転職サイト(エージェント)です。
職場で孤立している人の相談にのってくれ、改善すべきポイントがあれば指摘してくれます。また、これからあなたが希望する職場の要件を聞いて、適した会社を探して提案してくれます。
まずは、
- なぜあなたは職場で孤立してしまったか
- 孤立していることについてどう思っているか
- 次の職場では孤立せずにチームで仲良く働きたいのか、あるいはマイペースに働きたいのか
こういったことについて、専門家である転職サイトのエージェントに伝えられるように、自分なりにまとめておいてください。
もしかすると、あなたの本心は「人間関係の煩わしさがなく、マイペースに勤務できる職場」を求めているかもしれません。
あるいは、「チームで連携して働きたいとは思っているが、あまりにも高い能力が求められてスピーディに動かなければならない仕事は嫌だ」というのが本音かもしれません。
または、「女性が多い職場は苦手」「人数が少ない事務所は関係が濃くなるから困る」というのが本音かもしれません。
今孤立している原因に向き合って、自分自身の本音を把握してください。このときに誰かに遠慮する必要はありません。
そしてそれを基に、専門家にあなたに最適な職場を提案してもらいましょう。