職場の人間関係がうまくいかず、仕事を辞めたくなっている人はどうしたら良いでしょうか。
職場では、必ず人間関係をうまく築かなければならないという風潮があります。
それが簡単にできる人はいいでしょう。
しかし、人間関係が嫌いな人や、どうしても人が怖くて対人関係が築けない人もいるのです。
また、発達障害の人や、パーソナリティ障害の人も、職場に限らず人間関係を作れなくて一つの場所に定着することができないことがあります。
しかし、「人間関係が合わないから辞めよう」では短絡的ですし、生活費に困ります。今の仕事を辞めるにしても、違う職場で同じ様な人間関係の難しさに悩む羽目になるのではないかと不安な人もいるでしょう。
職場の人間関係がなぜうまくいかないのでしょうか。原因が自分にあるのか、環境にあるのかによっても、今後どうするか選択肢が変わってきます。
今回は、職場の人間関係で辞めたい人が、今後どのように仕事をしていくか、考えてみましょう。
辞めていいか「逃げ」なのか判断がつかない
会社を辞める理由の第1位が「人間関係」です。そのため、多くの人、というよりほとんどの人が、職場の人間関係に深く悩んでいます。
かといって、「みんなが悩んでいるのだから、あなただって我慢しなさい」というのもおかしい話です。それぞれに悩みの程度も違いますし、原因も違います。
極論をいえば、「人間関係が悪く、居心地が悪いなら、辞めたらいい」ということです。しかし、それでいいのかどうか自分で判断できないため、葛藤するのではないでしょうか。
「人間関係が悪いから辞めたい」と誰かに相談すれば、「そのようなことで辞めるな、どこへ行っても人間関係はついてまわる」と言われるに決まっています。
しかし、人間関係が本当に悪いところで我慢し続けていると、うつ病や適応障害のような心の病気になってしまうことがあります。
今、職場でうつ病を発症する人が多くいますが、その原因の一つに人間関係の悪さというものがあります。
そのため、職場での人間関係を軽く考えてはいけません。
もしうつ病などに罹ったら、治るのに時間がかかりますし、ひどくなってしまうと「死にたい」と思うようになってしまいます。
これらはとても怖い病気ですから、そうなってしまう前に自分自身が今どの程度の「困難な状態」になっているのかを分析して、今後どうしていくべきかを考えましょう。
辞めずに様子を見た方がいい人
人間関係が悪い人の中には、それほど程度が重くない人や、何とか対処することができそうな人もいます。
そのような状態の人は、すぐに辞めるのを決意しないで、様子を見ることをお勧めします。
辞めずに様子を見た方がいいのは、以下の状態の人です。
付き合いが煩わしいだけ
「職場の人間関係」と聞くと、誰もが、「気をつかいあう必要があり、ビジネスマナーもうるさく、嫌なことを言われても反論できず、行きたくもない飲み会でも付き合わなければならない……」といった煩わしさをイメージするのではないでしょうか。
こういった煩わしさを極端に嫌う人がいて、そのタイプの人はいつも「職場の人間関係が辛い」と思っているはずです。
この煩わしさが嫌なだけであれば、勢いで辞めても、おそらく次の会社でも同じことになるでしょう。そのため、煩わしいことが異常に嫌だというあなた自身の心の課題をクリアしないといけません。
たとえば
・嫌われるのを覚悟で「煩わしいことはしません」「付き合いません」を貫く
・職場はお金を稼ぐ場と割り切って、仕事だけに没頭する
・完全にマイペースに取り組める職場に異動願いを出すか、転職する
などです。
ビジネスパーソンとしては失格ですが、これも一つの働き方です。
若干出世には不利ではありますが、世の中にはこのタイプの人で、専門職や技術職で活躍している人も多くいます。
特定の人との関係が悪い
職場のメンバーのうち、ある特定の人とトラブルになって、その人との関係が悪くなっている人がいます。この場合は、「職場の人間関係」ではなく、〇〇さんとの関係が良くないということです。
職場にいる人との関係が悪化してしまうと、「職場全体」としてとらえてしまいがちです。
しかしこの場合は、職場には関係がない個人的なものと捉えた方がいいかもしれません。
その人との関係の悪さがどの程度かにもよりますが、職を変えるという選択よりも、その人との関係をどうするかを真剣に考えた方が良いパターンです。
・謝ったり、話し合いの機会を設けてもらったりして、関係を修復する
・歩み寄っても関係が改善されないなら、「あの人とは合わない」と割り切ってしまう
・むしろその人より仕事ができるようになり、見返してやる
ただし、特定の人との関係が悪い場合であっても、その程度によっては耐えられない人もいると思います。
たとえば
・パワハラやモラハラといっておかしくない程度に攻撃してくる上司で、毎日怒鳴られている
・執拗にいじめや悪口で攻撃してくる先輩がいる
・意図的に孤立させようとする同僚のせいで本当に孤立してしまっている
といったように、程度が重ければ「辞めた方がいい人」に当てはまるでしょう。
上司や先輩に指図されるのが嫌
上司や先輩には、敬語を使って、こちらがへりくだった態度で接しなければなりません。
これが社会のルールであり、特に若いうちはどこへ行っても求められる姿勢です。
しかし、中には「上司や先輩に気を遣うのが嫌」「上司や先輩から指図をされるのが嫌」という人がいます。
それは、上司個人が嫌なのではなくて、「上の人から指図されるという人間関係のしくみ」に違和感を持っているからです。
意外かもしれませんが、こういった原因で会社を辞め、転職を繰り返している人が一定数います。
本人は、はっきりと気づいていないようですが、人間関係の問題というよりも、「指図されたくない、好きなようにやりたい」といったプライドの問題ではないかと感じます。
もしあなたがこのタイプに当てはまるなら、今の職場を辞めても、労働者としてどこかに所属する限り、同じように人間関係に苦しむでしょう。これらの人ができることは以下のような心構えではないでしょうか。
たとえば
・今の会社で頑張り、出世し、「人を使う立場」になる
・人に使われない働き方を選ぶ(起業、フリーランス)
このタイプの人の、安易な部署異動願いや転職はお勧めしません。
一つのところに腰を据えて、長期間頑張り権限を得て、人を使えるくらいの人材になることが、一番の解決策です。
あるいは一方で、若い頃に「人から指図されるのが嫌」ということに気づき、自分に正直になってサラリーマンを辞め、起業家として大成功している人も多くいます。
安易に起業を勧めるわけではありませんが、組織内で労働者として働くことだけが最善ではありません。
「雰囲気がギスギス」
職場の人間関係がギスギスしていて、環境が良くないと悩んでいる人もいます。
メンバーの関係性が悪く、雰囲気が良くないというケースです。あるいは、悪口を言う人がいて嫌な感じが漂っているとか、活気のない役所のような職場も当てはまります。
この場合も程度によりますが、あなた自身が「苦手」「話しづらい」と感じる人の割合が5割に満たないのであれば、我慢したほうがいいかもしれません。
職場の人全員と上手くいくことはありえませんし、その必要もありません。
また、雰囲気が悪い、活気がないといったことは、本来あなたをそこまで困らせるものではありません。
あなた自身の感じ方に癖があるのかもしれません。
たとえば
・会社の人と楽しく活気ある関係を作りたいという希望を捨てる
・プライベートの人間関係を充実させる
・悪口などには加わらず、中立な立場を貫く
こういった対策をして、しばらく様子を見てみましょう。
辞める方がいい人
一方、人間関係の問題を感じている人のうち、辞める方がいい人は以下のような人です。
うつ病や適応障害などになりかかっている
いわずもがなですが、すでにうつ病になっている人や、適応障害といった診断を受けたような事情があり、その原因が職場の人間関係であれば、辞めた方がいいと思われます。
あなたの心が悲鳴をあげながら「その職場は合わない」と訴えているわけです。
たとえ自分自身にうつ病を発症させる内的要因(遺伝など)があったとしても、症状が出ているということは、職場の人間関係がきっかけとなっているはずです。
うつ病や適応障害は、ストレスの原因となるものから距離を置かない限り、良くなることはありません。
自分自身で「職場内の〇〇さんとの関係が原因かもしれない」と思うのなら、その人からは何とか距離を置くようにしましょう。
すぐに辞めることができなくても、休職したり、部署の異動を願い出たりして対策をしましょう。
パワハラ・セクハラの被害に遭っている
パワハラやセクハラなどで、人権を侵害されているのなら、辞めることを検討してください。
もちろん、パワハラやセクハラの被害であっても、程度の差があるため、一度でも被害にあったらすぐ辞めるということは勧められません。
しかし以下のような程度であれば、職場を離れて新たにやり直した方があなたのためです。
パワハラの例
- 殴られたり蹴られたりする
- みんなの前で「無能だ」「役立たず」「辞めてしまえ」など尊厳を傷つけることを言われる
- 到底出来ないような仕事を押し付けられる
- 無視される
- 雑用や意味のない仕事しか与えられない
セクハラの例
- 性的関係を強要される
- 性関係を断ると不利益な取り扱いをされる
- しつこく身体に触れられる
こういった加害行為をする人がいる場合、会社側に相談して加害者を罰してもらうことも可能ではあります。
しかし、自力で対応しようとしても難しいのが現実です。
人は簡単には変わりませんし、会社側も社員の個人的なトラブルとして軽視する傾向があります。
経営者との関係が悪い
あるいは、経営者本人や、その事業場の長との関係が悪化している人は、その職場にいても望みが薄いでしょう。
まだ営業所の所長や、部長や課長といった役職の人であれば、異動などによって違う人に変わる可能性があります。
しかし経営者本人と顔を合わせなければならない職場などであれば、その人との関係イコール職場の人間関係になってしまうため、思い切って転職するなどを考えた方がいいケースに当たります。
心や性格の偏りがあるために、人間関係を作れない
上記のように、人間関係の程度や種類によって、辞めるか否かの判断をする必要があるのですが、中には特殊なケースもあります。
それは、心や性格の偏りがあるために、人間関係を作れない人です。
これらの偏りがある人は、自分の特性を理解して、それに合わせた治療や、人間関係づくりのトレーニングをしないと、どこへ行っても苦しみます。
心や性格の偏りがある人とは以下のような人です。
発達障害(自閉スペクトラム症)
発達障害のうち、自閉スペクトラム症という障害を持つ人は、人間関係を上手く築けないことがあります。
以前は子どもの病気だと思われていましたが、社会人にもかなりの数存在することがわかっています。
人の気持ちを推察したり、臨機応変に対人関係を作ることが苦手です。悪意はないのに、相手の気持ちを無視して真実を言ってしまうとか、社会の暗黙のルールなどがわからず失礼なことをすることもあります。
そのため、職場などの社会生活では「変わった奴」「嫌な人」と思われやすいのです。
自閉スペクトラム症の特徴
自閉スペクトラム症は以下のような特徴があります。
- 相手の嘘や、作り話、冗談がわからず、騙されることがある
- 本当のことを言っただけなのに、怒られることがたびたびある(太っている人に太っていると言って怒られた、など)
- 相手の本心がどこにあるのかわからない
- 言いたいことを、うまく言葉でまとめられず「何が言いたいかわからない」とよく言われる
- 「空気が読めない」とよく言われる
- 同じことを何度も繰り返し言う
- 相手の言ったことを言葉どおりに受け取る。たとえば、「〇〇ある?(貸して欲しい)」と聞かれて、「はい、あります」と答える)
- 「ちゃんとやって」「なるべく早めにして」というあいまいな言葉が理解できない
発達障害の一つである自閉スペクトラム症であると、上記のような特徴のために、職場での人間関係がうまくいきません。
これは性格や態度の問題ではなく、脳機能の偏りのために起こることです。
そのため、もしあなたが自閉スペクトラムの可能性があるのであれば、今の会社を辞めて他の会社に移っても、すぐに良い人間関係が築けるとは限りません。
特性を自分で理解し、それに合わせたトレーニングをしないと改善していかないのです。
ソーシャルスキルトレーニング
自閉スペクトラム症の人が職場などで上手くやっていくためのトレーニングに「ソーシャルスキルトレーニング」というものがあります。
ソーシャルスキルトレーニング(SST)は、他者と関わるためコミュニケーション能力を身につける訓練のことです。
数は多くはありませんが、発達障がい支援センターや就労支援施設、援助団体が運営するカウンセリングルームなどで行われています。
社会人になって気づく人も多い
職場の人間関係がうまくいかないというきっかけで、自分が自閉スペクトラム症であったと気づく社会人も多くいます。
自閉スペクトラムは薬を飲んで治るといった病気ではなく、脳機能の偏りであり、完治させるとか、性格を変えるといったアプローチはあまり効果がありません。
そうではなく、自分の特性に気づいて、他者と関わるときにはどのような言葉を使ったらよいのか、何を気を付けるのかを練習して、社会に適応するという考え方が主流です。
むしろ自分の特性に気づかずにいるために、「いつも嫌われる、自分は性格が悪いのだ」「自分は空気が読めないバカだ」と思い込んでいる人もいます。
しかし、決して性格が悪いわけでも能力が低いわけでもないので、特性をコントロールできるようなレッスンで、次第に社会適応できるようになっていきます。
職場の人間関係で上手くいかないのがこの障害に原因があるのなら、一度専門的な診断と訓練をすることをお勧めします。
会社を辞める辞めないの判断は後にする
もし、自閉スペクトラム症の傾向がある人が、今の会社の人間関係が良くないことを理由に辞めようか迷っているとしたら、その判断は後にするようにしましょう。
まずは、自身の特徴を把握してトレーニングをし始めてから、じっくり考えましょう。あなた自身が変わることで、職場の人たちと少しずつ良い関係が築けてくるかもしれません。
あるいは、勇気のある人は、「自分は自閉スペクトラム症の特徴がある」と、職場の人に告知することも方法の一つでしょう。
自分の特徴を職場の人に伝えて、「何が苦手か」「どのようなコミュニケーションを望んでいるのか」を、誠実に話し合います。
そうすることで、徐々に周りの人も特性を理解してくれて、その人に適したコミュニケーション方法を取ってくれることがあります。
境界性パーソナリティ障害
性格が極端に偏っている人を「パーソナリティ障害」ということがあります。
そのなかでも、感情の起伏が激しく、自分のことも他人のことも否定的にとらえてしまう人を境界性パーソナリティ障害といいます。
非常に感情の波が激しく、不安定で、善悪を極端に解釈したり、イライラが抑えられません。そのため、特に対人関係で不安定になりやすいのです。
職場でも最初はむしろ「いい人」「魅力的な人」で通していたのに、人間関係が深くなると、突然豹変して攻撃的になったり、憎しみをあらわにしたりします。
しかし、また時間が経つとコロッと態度が変わり、優しくなったり、相手に媚びたりします。
境界性パーソナリティ障害の特徴
境界性パーソナリティ障害は以下のような特徴があります。
- 対人関係に変動が多い(一つのところで安定した関係を築けない)
- 感情が目まぐるしく変わり、自分でコントロールできない
- ちょっとしたことで激怒したり、傷ついたりする
- 誰かから、「すべてを捧げて愛されること」を夢見ている
- 自殺の素振りや自傷行為を行う
- アルコ―ル、性、過食、買い物などに依存する傾向がある
- 本当は自分が大嫌い
- 誰かに見捨てられることを極度に恐れている
境界性パーソナリティ障害の人は、上記のような特徴のため、職場で安定した人間関係を築くことができません。
職場の人間関係において、気分がコロコロ変わるうえに、起伏が激しいため、入社したころは「最高にいい人ばかりがいる会社」と感じるのですが、だんだん関係が深まってくると「職場の人間関係は最悪」「ひどい人ばかり」「否定してくる人ばかり」というように感じるようになります。
そのように、捉え方が「善」か「悪」か極端であるため、「普通の関係」を続けることができないのです。
また、職場の人間関係にも依存的になる傾向があります。例えば上司との関係を深めすぎて不倫関係に陥ってしまい、その人とのトラブルで大騒ぎをする、などです。
境界性パーソナリティの治療
標準的な治療は、薬でまず感情の起伏をコントロールし、あとは精神療法(カウンセリングなど)で自分の気持ちに向き合い、対人関係を整えていくというアプローチをします。
しかし、本人が「自分は病気である」という意識をなかなか持ちづらいです。また、他罰傾向(相手や社会、環境が悪いと思うこと)があるため、スムーズに治療が進まないことも多い、難しい障害です。
会社を辞めることが解決ではない
もしあなたが上記の特徴を持つのであれば、まず自分の感情と向き合い、カウンセリングなどを受けて心の偏りを治療することが最善です。
会社を辞めて他の職場へ移っても、最初は素晴らしいと思った人たちであっても、時間を経るごとに「最悪」に移り変わっていきます。また同じことが繰り返されるのです。
そのため、今の職場の人間関係が最悪であると感じていても、まず「なぜそう感じるのか」と、自分の心にフォーカスする必要があります。
アダルトチルドレン
アダルトチルドレンとは、自分の気持ちを表現することが許されないような家庭で育ったために、大人になってからも心の傷を引きずっている人をいいます。
愛情不足や、過干渉の家庭で成長しているため、「健全な自己」が育っていないのです。そのため、常に自信がなく、不安です。
いつも何かに追われている感じがしたり、誰にも必要とされておらず空虚な気持ちでいたりします。
自信がないため、対人関係を怖れます。また、気分がすぐれず無気力になりやすい傾向もあり、うつ病と間違えられることもあります。
アダルトチルドレンの特徴
アダルトチルドレンには以下のような特徴があります。
- 自分には何かが足りないと思う
- 人からの依頼を断ることができない
- 自由に意見を言えない
- いつも、「誰か」か「何か」に追われている気がする
- 完璧主義である
- 人より劣っていると思う
- どのように人と関わればいいのかわからない
- リラックスしたり楽しんだりすることに罪悪感がある
- 自分はちっぽけでくだらない人間だと思う
アダルトチルドレンは、日本人に多くみられます。
そのため、上記のような特徴を持つ人はかなり多くいるので、当てはまるからといって即アダルトチルドレンということはできません。程度によるということです。
特に、「自分はちっぽけである」という自己否定感が強いため、職場では常に劣等感を持っています。どれだけ頑張っても、成果があがっていないとか、認められていないと感じてしまいます。
そして、誰からも必要とされていないとか、職場の人たちからは嫌われているとか、自分などができることは無いと思い込んでいます。
表面的にはアダルトチルドレンの人は真面目で雰囲気も良く、一見対人関係も良好に築いているように見えます。
周りの人からの評価も悪くない場合も多いのです。
しかし、当の本人が「自分は受け入れられていない」「職場の人たちから嫌われている」と思い込んでしまっているため、周りの人が「そんなことはない」と説得しても効果がありません。
本人の自己否定感が強いため、対人関係を深めることができず、職場での人間関係がある時期を境に悪くなっていくことがあります。
アダルトチルドレンの治療
厳密にいうとアダルトチルドレンは病名ではありません。
精神科などでの「治療」というより、カウンセリングやセラピーなどの心理療法に効果があるといわれています。
アダルトチルドレンであると最初から気づく人は少なく、抑うつ感や不安、不眠などの症状から「うつ病」を疑って受診することが多いようです。
その治療の過程でカウンセリングを受けると、実は幼少期の愛情不足があったとか、過干渉があったといった事情が分かることがあります。
今の会社で関係を作る努力を
もし、アダルトチルドレンの人が今の会社を辞めたいと思っているのなら、おそらく人間関係に違和感があることに加え、仕事面でも自信がなくて、「ここに居たらだめだ、迷惑をかける」とか「ここ以外に自分の居場所があるはず」と思っているのではないでしょうか。
しかし、心の空虚感や自己否定感を取り除かないと、まさに「どこへ行っても同じことが繰り返される」ということになります。
そのため、このタイプの人はぜひ今の会社に残り、じっくりとその場での人間関係を修復していく努力をしてください。
また、対人関係だけではなく、仕事の仕方でも考えを変えていき、「自分はこれでいい」「ちっぽけな自分であってもできることがある」という実感を得られるようにしてください。
社交(社会)不安障害
社交不安障害(SAD、社会不安障害、社会恐怖)は、異常に人が怖いため、人付き合いが極度に苦痛になる障害のことです。以前は対人恐怖症とよばれていました。
誰でも人がいれば緊張しますし、気をつかって疲れるものですが、その程度が尋常ではないほど強いため、社会生活や対人生活に支障が出てしまいます。
特に会社など、フォーマルな社交上の人間関係に対して、強くストレスを感じます。普通の人は「そんなことでどうして?」と思うようなことでも、本人は辛く苦しいのです。
最近では「コミュ障」という言葉が聞かれるようになりました。若者に多い「コミュニケーションの苦手な人」という意味ですが、こう呼ばれる人にも社交不安障害の人が多く含まれているようです。
社交不安障害の特徴
社交不安障害には以下のような特徴があります。
- 人から悪く思われることに異常な恐怖心がある
- 目上の人が特に怖い
- スピーチや会議での発言ができない
- 手が震えることがある
- あがり症、赤面症である
- 人の集まりに加わるのが苦痛
- 人と一対一で話すことができない
これらの特徴も、多少であれば誰もが経験するものです。社交不安障害であるかどうかは程度の問題です。
また、単に人付き合いが嫌いな人とは明確な違いがあります。
単に人付き合いが嫌いな人は、人を避けたり堂々とマイペースを貫いたりすることができます。
しかし社交不安障害の人は、人付き合いに異常な恐怖を持っている自分に対して苦しんでいることです。
本人は人と上手く付き合いたいと思っているのに、どうしても出来ないことを苦しむ障害が社交不安障害です。
そのため、この障害に苦しんでいる人は、「職場の人間関係が嫌であれば、無視して付き合わないようにすればいい」という考え方はできません。それができないからこそ、悩んでいるのです。
社交不安障害の治療
社交不安障害の治療には、薬物療法と精神療法を平行して行います。
不安や緊張が強い人は薬で症状を落ち着かせ、余裕があるときの精神療法で治療をします。
社交不安障害で使われる精神療法は、認知行動療法や森田療法、暴露療法などです。対人的なできごとの捉え方や感じ方を修正し、不安が恐怖があってもそれを乗り越えたり共存したりする技術を学びます。
今の仕事が辛いなら職を変える必要
社交不安障害は、社会人になってから気づくこともある障害です。学生時代は何ともなかったのに、社会に出て職場の人間関係に葛藤するようになってから、発症する人もいます。
それらの人が、今の仕事が辛すぎるのであれば、職を変えることを考えましょう。
社交不安障害は治療を開始してもすぐに改善するものでもなく、日常生活のなかでじっくり治療していくものです。
そのため、もし、社交不安障害の人がそれと知らず前に今の会社に入社している人は、できるだけ人との接点が少ない部署へ異動させてもらうか、あるいは転職して自分に合った職場を探す必要があるでしょう。
例えば
- 不眠を併発している、満員電車が怖い人は、フレックスタイムの仕事、昼から勤務できる職場
- 対人折衝が多い職場は不安な人は、規模の小さめの事務所、小規模の工場、事務、単純作業など
このように、主な症状に合わせて、なるべくストレスの少ない職場を探すのも一つの方法です。
探せば、自分に合った人間関係は見つかる
人間関係がうまくいかない原因とその程度、そして対策を述べてきました。
あなたがどの状態にいるのか、そしてどの程度苦しんでいるのかによって、辞めた方がいい人なのか、あるいは辞めずに頑張った方がいい人なのか違いが出てきます。
自分で判断できる人は、ぜひ一度自分と向き合って考えてみましょう。
しかし、もしそのような判断ができない人は、転職サイト(エージェント)などに相談して、一番自分に合った職場はどのようなところかを探ってみてください。
今すぐ職を変える必要は全くありません。
それよりも、自分に合った仕事の仕方や人間関係の作り方は、自分自身でつかんでいこうという気持ちが大事です。
「今入った会社は、運悪くみんな嫌な人」という受け身の意識ではいけません。嫌なら何が嫌で、どのような関係性を望むのかをはっきりさせて、主体的になるのです。
今いる会社だけがすべてではなく、世の中には色々なスタイルの働き方があり、人間関係の在り方も会社によって大きく違います。
「ここでの人間関係が上手くいかないなら、どこへ行っても同じだ」と無責任に責めてくる人は放っておいて、あなたに適した職場を模索してください。