転職を考えている人にとって、働きやすくて環境の良い会社を探したいと思うのは当然のことでしょう。
外から会社を眺めているだけでは、なかなか働きやすい会社かどうかはわからないものです。
唯一、会社の実像を見極めることができる機会が、面接です。
面接か会社が応募者を吟味する場でもありますが、応募者の側も会社を見極める機会でもあるはずです。
せっかく転職するのなら、ブラック企業やうつ病発症率が高い会社に間違って入ってしまってはいけません。
後悔しないためにも、面接や企業訪問など色々な側面から会社を観察してほしいと思います。
今回は、転職すると後悔する会社を面接や企業訪問で見極める方法について解説します。
自分の目で確かめよう
今の仕事がブラック企業であり、苦しんでいる人や、うつ病に罹患していて次の職場はホワイトな会社をどうしても探したい人がいると思います。
基本的に求人情報には会社側の都合の良いことしか書いてありません。
求人情報は、応募者を集めるための広告です。一般の商品(化粧品やダイエット食品、マンションなど)のチラシと同じと思っておいて間違いありません。
そのため、求人情報に書かれていることを鵜呑みにせず、しっかりと自分の目で会社を観察し、判断しなければなりません。
ただし、会社側の実像というのは外からはなかなか見えづらいものです。
どれだけ慎重に観察しても、入社してからでないと本当のことはわからないのが現実です。
とはいえ、入社前にできるだけ多角的に判断できるように心がけるだけでも、ずいぶん違うものです。
入社前に把握できる場面は限られています。
一つは面接の機会です。もう一つは実際に勤務する予定の事務所の近くまで行って、実際に事務所の様子を見ることです。
探偵のようですが、ここから意外と多くのことがわかりますので、真剣に転職で後悔したくない人は一度やってみて欲しいと思います。
面接でチェックすべき項目
面接の機会は、その会社の雰囲気を確かめることができる最も重要な機会です。
緊張してそれどころではないかもしれませんが、転職で後悔したくない人は、面接日はどういった日であるかといった意識そのものを、根底から変えてのぞんで欲しいと思います。
つまり、会社があなたを選ぶのではなくて、あなたが会社を選ぶ意識を持つのです。
「そんな上から目線では採用されない」と、へりくだる必要など全くありません。
転職先は自分の納得のいくところを、自分で選ぶという意識を持たない限り、確実に後悔することになるからです。
まずは、心構えから整えてください。そして、面接では以下のことを、しっかり観察するようにしてください。
面接の回数が少ない、時間が短い、面接らしい質問がない
たとえ辣腕の面接官であっても、応募者の人柄をきちんと評価したり、見抜いたりするには、ある程度の時間が必要です。
面接では、会社側は、あなたの今のスキルや能力経験だけではなく、将来的にどの程度まで成長しそうなのかといったポテンシャルや成長性なども把握しないといけません。
そのために、いろいろな側面から質問をするものですし、時間もかけるものです。
また、人事部の面接担当者だけがあなたを面接するのではなくて、将来上司となる人や先輩になる人が面接に当たったり、役員や人事部長、さらには最終的には社長等の最終責任者が面接に登場することになります。
そのように様々な立場の人が選考に関わって、総合的に人材を判断するということが一般的です。
ところが、面接の回数が少なくて、1回で終わってしまって「来週から来てもらえます?」という形で即決採用の会社もあるようです。
また、「面接の時間が10分から15分位」「待遇や、やりたい仕事など全く聞かれなかった」「志望動機や自己アピールの時間もなかった」「体力の有無や病歴、家族構成などしか聞かれなかった」などのケースもあるようです。
このように、面接の回数が少なかったり時間が短かったり、面接では必要な質問はしてもらえないまま、すぐに入社が決まってしまうような会社は、入社してはいけない会社です。
誰でもいいから、欠員補充できればよいと言う判断基準で人材を採用しているからです。
自分の会社の説明をしない
自分の会社の説明をあまりしないとか、質問しても曖昧にしか答えてくれない場合は要注意です。
面接とは、コミニュケーションをしながら、「会社が応募者を判断する場所」である一方で、「応募した人が会社のことを、判断する場所」ともいえます。
一般的な会社は、それらを十分に理解しています。
そのため、応募者のことをいろいろ聞きながら、自分の会社のことも熱心に解説してくれます。
事業内容や仕事の内容、勤務の条件、待遇、売上高、社員数や離職率、平均勤続年数等もきちんと整理して話してくれます。
判断に必要な書類を提出してくれる会社もあります。
しかし、ブラック企業や、社員を大事に扱わずうつ病などを発症させやすい会社は、そういったことを面接では解説しません。
面接で応募者が質問をしても、きちんと回答をしない場合もあります。
それは、面接官に社内の情報が流れていないか、情報共有が徹底されていないとか、面接官自体も知らされていないということも多々あります。
あるいは、外部に出したくない情報である、といった理由があるのかもしれません。
本当のことを説明してしまうと、応募者が次々と辞退してしまうため、言えないという事情があるのかもしれません。
いずれにしても、社内の情報共有ができていないとか、応募者側にきちんと説明をできない、したくないといった怪しい事情を持つ会社である可能性があります。
選考の手順が無秩序
面接に訪問した後の選考手順や基準が怪しい場合も、注意が必要です。
たとえば、面接官が事前に履歴書や職務経歴書をほどんと読んでおらず、志望動機も自己PRも熱心には聞いていないのに、「二次面接に明日起こしください」と言われる場合などです。
さらに、面接の後、結果が出るのがやたら早い場合や、やたらと遅い場合も、選考の手順が決まっておらず、行き当たりばったりの採用活動をしていると推察されます。
こういった会社は、欠員が出てしまったために「やっつけ」で人を採用しようとする会社です。
入社後の引継ぎがなかったり、教育研修制度がなかったりすることが大変多いのです。
また、一次面接の後に二次面接として「今日、今から社長面接になります~お待ちください」のように、応募者の事情を考えずに勝手な日程で進める会社も、注意が必要でしょう。
無秩序、かつ、会社の都合で全てが決まっていて、相手の都合を考えていない会社です。
応募者のことを、自社に都合の良い労働力としてしか考えていない会社は、このように選考の段階でも自分勝手な行為が見られます。
応募者といえども、尊重すべき人であり、適度な節度を持って扱うのが当然のことです。
それにもかかわらず、細かい気遣いが見られなかったり、自社都合で応募者を振り回すような会社は、そういった意識がそもそも欠落しているのです。
あるいは、正しい対応を徹底させるマネジメント意識がないという証拠です。
こういった会社に就職してしまうと、あなたもその会社の一員として、会社の都合で振り回されたり、マネジメントされていない混沌として環境で、無秩序で働かされることになるかもしれません。
選考に進むことを強要
また選考に進むことを強要される場合も注意が必要です。
それは採用がうまくいっていない可能性があるからです。
面接の後に、次に二次試験ですがすぐに担当者が参りますから待ってくださいなどと、不自然にその日に決めようとする場合もおかしいです。
有無を言わさず面接や試験が行われたり、書類の提出やその日に契約書へのサインを強要する場合も注意が必要です。
それは、常に人手不足であり、一次面接に来た人には、二次、三次と強制的に選考を進めないと、人材を確保できない会社かもしれません。
一次面接のつもりで訪問したのに、「あなたは当社が求めていた人材だ」などと言って懐柔させ、労働契約書にサインさせたりするのも注意です。
その会社は、あなたに「きちんと調べてから入社するかどうかを考えよう」という時間与えず、判断材料を奪った状態でその会社のペースに巻き込もうとしているのです。
なぜか選考に進むように強く流されているように感じたら、注意してください。
面接官の遵法意識が低い
また、対応する面接官が、明らかに遵法意識(法律を知っていて、守ろうとする意識)がない会社も、入社すると確実に後悔します。
たとえば、「入社して3か月間の試用期間中は社会保険に加入できませんよ」とか、「当社は、有給休暇がありませんが、大丈夫ですよね?」などと、平気で言う会社には注意してください。
そもそも試用期間中であっても社会保険には加入しなければいけませんし、有給休暇を与えなくて良い会社などありません。
このように労働基準法やその他労働上の法令を無視したようなことを、平気で面接官が言っているようでは、会社全体に遵法意識がないのかもしれません。
これらの会社では、必要な法的教育がされておらず、労務管理上だけではなく、通常の企業運営面にも脱法行為があるかもしれません。
面接官が疲れている
人事担当者や面接官と言うのは、好意を持ってもらって、自社回応募促したり採用を決めさせたりするものです。
それなのに、応募者の前に現れる面接官が疲れていたり、非常に印象の良くない人であったりする場合は、注意が必要です。
そのような印象を抱かせてしまうこと自体が問題といえます。
もしかすると、社内に様々な問題を抱えていて、そのような人しか面接官をさせることができないということも考えられます。
あるいは、面接官自身が疲れているという事は、ハードワークであったり、人手不足とう原因が潜んでいたりする可能性もあります。
オフィスが汚い
また、意外に会社の本質を表しているのが、受付や面接会場です。
オフィスが汚く、外部の人が出入りする場所ですら乱雑なままということは、そこにいる社員が乱雑なままでも平気な人が多いということです。
来社する人がどんな印象を抱くかなどの「相手の視点」から物事を考えられない会社です。
外部の人に対してですらそのように配慮しないという事は、当然社内の人への思いやりや労務管理はどのようになっているか、という事は、簡単に想像できます。
社長(経営者)に違和感がある
あなたが実際に面接に赴き、選考が進んでいくと、社長や役員など、会社のトップと面談することになるでしょう。
そのときの感覚は、とても大事な判断基準です。
ありがちですが、社長の価値観が極端で柔軟性がない場合、その人の下で働くことは本当にハードになりやすいため、注意が必要です。
会社に入るということは、社長(経営者)を支えるために、人生の多くの時間を割くということです。
もし社長の価値観があなたに合わなければ、相手から見てもあなたは価値観の違う人材と映っていることでしょう。
もしそこに入社しても、社長と考えが合わなければ、報われない可能性が高くなります。
また、とくに創業社長の場合は、その仕事が自分が好きで始めたビジネスであるため、仕事や会社に対する思い入れが非常に強く、社員に対する態度が極端であることもしばしばです。
自分の思い入れが強すぎて、「働く事は最高の快楽」「こんなに楽しい仕事なのに、タラタラ働くな。休日出勤くらい気にするな」「ビジネスで社会に奉仕させていただいているのに、給料等のことをごちゃごちゃ言うな」など、極端な考えを持っている人もいます。
まさかと思うかもしれませんが、今でも中小企業には結構な割合でこのような経営者がいます。
そのため、社長本人と相容れない考えを持った社員は評価されません。
あるいは、人材として受け入れず、使えなければクビにしようとすることも頻繁にあります。
こういった極端な価値観を持つ社長は、自分自身と同じ目線、同じ価値観で考えられる人間しか評価しません。
要領よくそのように社長にとりいる人は出世するでしょう。
しかしそうでなければ、短期間で辞めさせられるか、うつ病や適応障害になるので、いじめられるのがオチです。
このような人がトップにいる限りいくら仕事がんばっても評価をされません。
また、社長の人格が良くないと、会社全体が暗く停滞し、抑圧された雰囲気になっていることがあります。
すべては社長の好き嫌いや偏った価値観で判断されるため、社員同士も助け合う風潮がなくパワハラの温床となっていることも多いのです。
面接で経営者と面談することになったら、必ずこれらのことを想定して、「この人のために人生を捧げることができるか」と自問してください。
直感的に「合わない、嫌だ」と感じるなら、辞退も視野にいれて検討したほうが良いでしょう。
極端に思うかもしれませんが、経営者との相性というのは本当に大きな影響があります。
時間外の事務所の様子を見に行く
面接だけではなく、休日や夜などの時間外に、その会社のオフィスを見に行ってみましょう。
休日の夜であるのに、オフィスに電気がついていて、何人かの人が働いているとしたら、休日出勤が当たり前の社風なのかもしれません。
また、定時とされている時間以降に、事務所の近くで観察してみましょう。
定時となっている時間に、社員らしき人が帰宅している様子が見られるでしょうか。
帰宅のために事務所から出てくる社員が少なく、逆に定時とされている時間に、営業などから戻ってきているようでは、残業が当たり前になっている会社である可能性も高くなります。
会社に選ばれるのではなく自分が会社を選ぶこと
後悔したくないなら、会社に選ばれるのではなく自分が会社を選ぶことです。
そのマインドがなく、「採用してくれる会社に入社する」という意識のままなら、後悔することになります。
ブラックな会社やうつ病を発症させやすい会社は、たとえ高給をもらっても、長く勤務し続けることはできません。
再度転職せざるを得なくなるとか、うつ病や適応障害になってしまえば、途中でキャリアが分断されてしまいます。
そうならないためにも、「働きやすい会社を何としてでも見つける」というブレない意識を持ってば、面接日は自分を失うことなく、冷静に会社を観察してほしいと思います。