職場いじめ、モラハラが辛く退職するとき不利にならない辞め方

職場のいじめ・ハラスメント

職場でいじめられている人や、パワハラやモラハラ被害に遭っていて辛い人は、会社を辞めることも検討しているでしょう。

狭い空間でいつまでもいじめに耐えていたら、いつ心の病になってしまうかわかりません。

自分の身を守るためにも、辞めることも選択肢の一つにしましょう。

職場イジメが原因で辞める人は、退職後の失業保険の受給や、今後の転職活動で不利にならないように、計画的に退職しましょう。

今回は、職場イジメ、モラハラが辛くて退職する人が、一番有利になる辞め方について解説します。

職場いじめで退職するのは逃げではない

あなたがもし、以下のようなことを職場の誰かにされているのであれば、職場いじめの被害にあっているといえます。

あからさまに無視されている

「ブス」「デブ」など身体的なことをからかわれている

職場全体の行事(飲み会や食事会など)に自分だけ誘われない

仕事を与えられない、あるいは過度に仕事を割り振られている

聞こえるように悪口を言われている

仕事を教えてもらえない、話しかけても答えてくれない

失敗をしたことを何度も繰り返し責められる

意味なく身体に触れる(セクハラ)

暴力をふるう(身体を叩いたり、突飛ばしたり、胸倉をつかんだりする)

私物を隠されたり、仕事に必要な備品を捨てられたりした

信じられないことに、上記のような子どもじみた職場いじめが放置されている職場があります。

特定の加害者だけが行っているということもありますが、多くは職場環境自体がいじめやモラハラを生み、放置しやすい状態になっているのです。

経済的な事情があってその職場に居続けなければいけない人は、仕方ありませんから、我慢するか闘うかを考える必要があります。

しかし、このような職場にて加害行為をやめさせるよう努力するより、異動したり転職したりして新たな職場環境を手に入れた方が生産的です。

なぜなら、いじめの加害者は、人格障害を持つ人もいる上に、非常に性格が未熟で、改善することはあまり期待できないからです。

さらに、職場環境の改善を求めても、会社側は、職場いじめなど、労働者同士の個人的トラブルとみなして、本気で対応しようとは考えません。

そのため、どうしてもその会社にしがみつく必要がある人以外は、新たな場所に身を置くことを考えるのも一つの方法です。

職場いじめが原因で会社を辞めることは、決して逃げではありません。

また、「職場いじめなんて、どこでもあるよ」「職場いじめやモラハラなんて、当たり前にあるよ」という意見も聞かれます。

しかし、そんなことはありません。

職場いじめは、「いじめが起きやすい会社の風土」および「人をいじめやすい人格を持つ人」の両方がそろって、初めて発生するものです。

通常は、いじめが起きやすい会社の風土などが放置されることはありません。

会社の経営陣や人事部門の監督者が真面目に会社を運営しているのであれば、職場環境をある程度整えているものだからです。

自社を大事にし、まともな会社運営をしていれば、いじめが起きているのにそれを放置するような風土にはしません。

また、「人をいじめやすい人格を持つ人」も、それほど多くいるわけではありません。

そのため、どこへ行っても職場いじめはあると思いこんで、今の職場に耐え続ける必要はありません

いじめの加害者は変えられない

職場いじめの被害を受けている人のなかには、何とか相手(加害者)を変えようと努力をする人がいます。

とても勇敢だと思いますし、その人に自信とテクニックがあれば、いじめの加害者も変化していくでしょう。

しかし、現在職場いじめのターゲットになっている人にとって、いじめの加害者を悔い改めさせることは至難の業だと思います。

もともと職場いじめの加害者になりやすい人は、人格そのものが偏っていることがあります。

共感性や倫理観にも乏しく、他人からのアプローチで変化していくことは期待できません。

人間関係の基本的なルールに「相手は変えられない」というものがあります。

相手は、どのような考えの人であっても、変えることは難しいのです。

自分が変わることで相手が変わったように見えることはありますが、根本的に変化させることは難しいと考えてください。

うつ病などに罹るリスクが高い

また、職場という狭い環境の中で、毎日いじめを受けていたら、高い確率でうつ病などの精神疾患に罹ってしまいます。

職場でのうつ病発症に関するある調査では、働く人でうつ病になった人のうち、5割以上が「人間関係が原因となるもの」とあげました。

もちろんすべてに職場いじめがあったとはいえませんが、職場の人間関係の問題がこじれたまま放置したり我慢し続けたりすると、うつ病に罹るリスクは高くなるといえます。

うつ病や適応障害などの心の病気になると、治療に多大な時間と労力がかかります。

そうなってから退職して、さらに次の会社を見つけようとするのは大変なことです。

うつ病は、再燃(治っても、再度症状がぶりかえすこと)の危険性も高いので、いつまでたっても完治せず治療を続けているという人も多い病気です。

そのため、職場いじめに悩んでいたとしても、まだうつ病や適応障害に罹っていないうちに、しかるべき選択をした方が良いのです。

不利にならない辞め方

職場いじめが辛くて辞めるにしても、何もせずに黙って辞めるのは悔しいしあまりにも不利です。

退職したあとに、失業手当をしっかりもらい、転職活動の際に困らないように準備して、計画的に退職をしましょう。

会社都合退職にこだわらない

職場いじめをされて、やむなく退職をする人の多くは、「この退職を会社の責任にしたい」と考えると思います。

かといって、会社側に訴訟を起こすとか加害者に謝罪させるというほどまで行かない場合は、せめて退職理由を自己都合ではなく会社都合退職にしたいと思うかもしれません。

会社都合退職が認められれば、雇用保険の失業手当が優遇され、3か月間の給付制限期間なく受給できるからです。

しかし、会社都合退職で辞めるためには、以下のリスクがあります。

会社側に認めさせるのが難しい

会社側に、あなたの退職を会社都合退職であると認めさせるには大変な労力がかかります。

なぜなら、会社は社員が辞めるときに会社都合退職を素直に認めることはないからです。

会社のイメージも低下するし、他の社員へも示しがつきません。

また、色々な労働行政上のペナルティを受ける可能性もあります。

さらに、会社に職場いじめなどの問題があり、それを放置しているということを公的に認めることになってしまうため、会社はあなたの訴えを必死で否定してくるでしょう。

職場いじめの加害者と共謀して、「そんな事実はなかった」と強弁される可能性も十分にあります。

そのため、会社都合退職扱いにするためには、とても大変な争いになる可能性があるといえます。

履歴書に「会社都合退職」と書けば転職先に問われる

もし、退職が会社都合退職であると認めてもらったとしたら、転職活動の際応募企業に送る履歴書には、前職の退職を「会社都合退職」と書かなければならなくなります

退職には「自然退職」と「自己都合退職」と「会社都合退職」の三つがあります。

そのどれかで退職したと誠実に書く必要があります。

会社都合退職と書いて提出すれば、転職面接では「会社都合とは、倒産ですか?整理解雇ですか?事情を教えてください」と聞かれるはずです。

そのとき、「職場いじめにあっていたから辞めました。退職の時には、会社側に交渉して会社都合退職にしてもらいました」と答えることになると思います。

しかし、このように、職場いじめなどで前職を退職した人を、採用側の会社は敬遠するでしょう。

人間関係で問題があって、会社都合退職にまで発展させて辞める人は、会社側から見れば不安な人材だからです。

そのため、厳密にいえば会社の風土が悪くいじめが原因で辞めたので「会社都合退職」ではありますが、ここでは会社都合退職にこだわる必要はないと考えてください

会社都合退職にするメリットは、雇用保険の失業の給付が手厚いということだけではないでしょうか。

そう考えれば、たとえ会社都合退職ではない人であっても、職場いじめが辛くて辞めたことをハローワークに相談すれば「特定受給資格者」として会社都合退職の人と同じような補償を得られます。

雇用保険の特定受給資格者になれる

職場いじめが原因であっても、自己都合退職扱いで辞めてから、ハローワークで特定受給資格者に認めてもらえば、会社都合退職の人と同じ手厚い給付を受けられます。

特定受給資格者とは、倒産や解雇等により、離職を余儀なくされた人のことをいいます。

この、「離職を余儀なくされた人」という項目には、次のような人も含まれます。

上司、同僚等からの故意の排斥または著しい冷遇もしくは嫌がらせを受けたことによって離職した者(例:パワハラ被害に遭った、職場イジメに耐えきれず辞めた

このような人は、たとえ自己都合扱いで退職していたとしても、ハローワークで審査のうえ、会社都合で辞めた人と同じ扱いがされるということです。

特定受給資格者になるには、ハローワークで審査してもらう必要があります。

その際に、「上司、同僚等からの故意の排斥または著しい冷遇もしくは嫌がらせを受けたことによって離職した」ということが、はっきりと判別できる証拠があると、スムーズに審査が通ります

職場いじめの証拠物を集めておく

職場いじめが原因で退職したことがわかる証拠物とは、例えばボイスレコーダーで嫌がらせを受けている様子を録音しておくとか、嫌がらせメールのコピーなどです。

また、いつ、だれに、どのような悪口を言われたのか、メモをしておくだけでも証拠として扱ってもらえることもあります。

このようにしっかりとした証拠がない人も救済されているケースもあります。

職場いじめの証拠として、同僚の証言があれば良いというハローワークもあるようです。

裁判での訴訟と違って、ハローワークは完全に労働者の味方の役所だからです。

ただ、具体的にどう対応してくれるかは、各ハローワークの対応力によってさまざまで、各担当者の力量によっても差があるようですから一概に言えません。

ただ、最近のハローワークの職員は職場いじめやパワハラに詳しい人が多いですから、退職前に一度相談に行くと、どのような証拠物があると良いといったことを教えてもらえます

やはり具体的な証拠がある方が審査がスムーズですから、退職を決意しているのであれば、なるべくいじめの事実を証拠として残すように努力してください。

職場いじめの事実は会社に報告書を提出する

退職を考え始めたら、会社側に職場いじめの事実を報告しましょう。

辞めるつもりがないところで職場いじめを告発すると、いじめがエスカレートしてますます会社に居辛くなるケースが大変多いです。

しかし、もう辞めると決意したのなら、何も言わずに泣き寝入りのように退職するのも腹が立ちます。

また、もしかしたら退職後に会社を訴えてやりたいと思い立つかもしれません。

そのときのためにも、退職前に職場いじめがあったという事実だけは、会社側に報告書という形で提出しましょう。

例えば以下のような形です。

〇〇株式会社

代表取締役社長 〇〇様

職場でのいやがらせについての報告

〇年〇月〇日 氏名

私は、平成〇年〇月~〇月〇日に至るまで、〇〇部〇〇課の〇〇さん(加害者)より、下記のような行為を執拗に受け続けてまいりました。

この行為によって、職場で安全に働く権利を害され、この度退職を決意するに至りました。

今後このような職場でのいじめやいやがらせが起こることなく、安全配慮義務を履行されることを強く希望いたします。

1、他の社員と共に、私だけを無視するよう指示し、孤立させられた

2、業務に関係のない身体的特徴を頻繁にからかわれた(「でぶ」「臭い人」など)

3、業務に必要な情報を、私にだけ伝わらないように仕向けた

4、メールの文末に「期日内に完了しなければ、懲戒ですね」など、権限もないのに懲戒権ちらつかせ脅された

以上

今後、加害者や会社側を相手に訴訟を起こしたいと考えている人は、こういった文書に証拠物(メール文など)を添付して、内容証明郵便にて郵送しましょう。

それほどでもない場合は、退職願などと共に会社側に提出するだけでも良いです。

安全配慮義務違反とは

会社には、社員が心身共に安全に働けるように配慮しなければならないという法的義務があります。

これを安全配慮義務といい、労働契約法という法律に定められています。

労働契約法第5条)

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

職場でのいじめやモラハラは、被害者にとっての安全な職場をおかすものです。

極端なものであれば、労働者の生命や身体の安全を脅かすことも十分にありえます。

そのため、本来なら会社は、職場いじめなどがあるのなら放置せずに、安全に働くための配慮をしなければなりません

もしあなたに勇気があるなら、退職する前に会社側にこのような申告をして、職場環境を変えてもらえるように交渉することもできます。

社員から、職場でいじめを受けていると申告を受けた会社は、それを放置すると法的にとがめられる可能性があるため、いじめをなくすために動いてくれるかもしれません。

ただ、法的にはそうなっていても、会社側は職場いじめを、労働者同士の子どもじみたケンカとしか捉えないのが実情です。

人事部門の責任者に、労務管理の知恵がありそうな人がいたら、事前に相談するのも良いかもしれません。

ただし、残念ながら現状ではあまり期待できないことが多いと思います。

退職願は「一身上の都合」

職場いじめが原因で退職を決意しても、退職願を書くときは「一身上の都合」にとどめておきましょう。

退職願にはいじめの事実を書く必要はありません

また、前述のように会社都合退職に持ち込もうと躍起になるメリットはありません。

転職面接での退職理由に職場いじめはNG

退職したあとは、新たな気持ちでぜひ転職活動をして、きちんとした会社を探してください。

転職面接では、必ず前職を辞めた理由について聞かれます。

その際には、職場いじめやモラハラの被害に遭っていたから辞めたということは絶対に話してはいけません。

まだ日本の会社は職場いじめやモラハラは、労働者同士の人間関係トラブルとひとくくりに判断する傾向があるからです。

そのため、どれほど辛い目にあっていたか、どんなひどい行為を耐え忍んできたかといったことを話したい気持ちはわかりますが、ぐっとこらえて、退職理由は別のことを述べてください

ここでは正直に話せないので、若干不自然な退職理由になってしまうかもしれませんが、仕方ありません。

人間トラブルで辞めた人と思われるよりは良いですから、「キャリアアップを目指しています」「やりたいことを極めたいと考えたため」などの一般的な退職理由を考えておきましょう。

闘い(仕返し)よりも明るい未来を探す

職場いじめは社会問題にもなっていますし、うつ病などの原因ともいわれています。

被害を受けた人は、加害者に謝らせたいとか会社側に責任を取って欲しいと思うと思います。

その気持ちが強いのであれば、労力はかかりますが、闘いの道を選んでもいいかもしれません。

しかし、そこまでではない場合は、仕返しにパワーを使うよりも、明るい未来に歩みだせるように準備したほうが良いのではないでしょうか。

新しい会社を探すようにしたり、資格を取る勉強を始めたりして、少しでも前へ進むようにしてください。

いじめやモラハラの加害者は、誰かをいじめていないと自分の居場所がなくなるように感じている、小心者です。

そのような人と同じレベルで争っていても意味がありません。

意味のない闘いはやめて、自分らしい道を歩み始める方へフォーカスしてほしいと思います。

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