職場いじめの被害者には発達障害(アスペルガー)の人が多い

ミスが多いとか、職場の暗黙のルールがわからないなど、周りの人から見て「ヘンな人」と言われ、職場いじめの被害に遭っている人がいます。

これらの人の中には、自分では気づいていないものの、実は発達障害、その中でもアスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)であった、ということもあります。

今回は職場いじめの被害者と、発達障害について解説します。

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職場の「アスペルガー」

発達障害の一種に、アスペルガー症候群があります。

(2013年に改定されたアメリカ精神医学会の基準により、現在はアスペルガー症候群というのは正式名ではなく、「自閉スペクトラム症」と呼ばれることになりました)

アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)は、コミュニケーションの仕方に問題があったり、対人関係を共感的に築くことができなかったり、独自のこだわりに取りつかれているような特徴があります。

一方、知的には問題がなく、人によっては特定の分野で特に優れた実績を残している人がいます。

ただし、これらの能力が高い人であっても、対人関係では上手くいかないことが多いのです。

アスペルガーの人はいじめられやすい

アスペルガーの人は、職場の人から「ヘンな人」「好きなことしかしない」「空気が読めない」「ワガママ」といわれてしまうような、妙な行動をとることがあります。

これは社会性に問題があるという障害の特徴であり、仕方がないのですが、そのせいで知らず知らずのうちに職場いじめの被害者になってしまうことがあります。

以下はアスペルガー(自閉スペクトラム症)の人の職場での姿です。

空気が読めず次第に孤立していじめられ始めたAさん)

Aさんは有名大学を卒業後、大手企業に採用されました。

新人研修では職場では良好な人間関係を築く必要があること、「相手の話をしっかり聞くこと」「細かく情報収集すること」など、コミュニケーションの基本を学びました。

やる気にあふれるAさんは、職場の人と積極的に関わろうと頑張りました。

いろんな人に声をかけ話を聞こうと努力しました。

学生時代からいじめられることが多く、大学ではついに一人も友だちができなかったという経験から、職場ではゼッタイに同僚と上手くやろうとAさんなりに決意していたのです。

しかし、ある日職場の上司から呼び出されて、かなり厳しく怒られました。

その理由はこうでした。

「君は、相手の気持ちを考えて話すことができないのかな。

このまえ、最近奥さんを事故で亡くした〇〇さんに、『奥さんはどうやって死んだのか?葬式代はいくらかかったのか?保険金はいくらもらえたのか?』などという失礼なことを、根掘り葉掘り聞いたということだけど、本当か?

それに、昼休憩のときに君の大好きな鉄道模型の話を一方的に聞かされるから、疲れてしまって困ると、女子社員の一部から苦情も来てるし……。

もう君は社会人だから、職場の雰囲気とか空気を読んで、きちんとやってもらわないとだめだよ」

しかし、Aさんは、自分の質問の何がいけなかったのか、はっきりわからないのです。

Aさんは、研修で教わったとおり、「相手の話をしっかり聞くこと」「細かく情報収集すること」を徹底しただけなのに、なぜそんな苦情が入ったのか、いまいち理解ができません。

次第に職場の中で「ヘンな人」「話しがかみ合わない」などと、陰口を言われるようになりました。

露骨に「うぜぇ奴」とにらんでくる先輩社員もいて、Aさんは出社するのも怖くなりました。

Aさんはなぜ誰からも受け入れられないのかわかりません。

上司から言われた「職場の雰囲気とか空気を読んで、きちんとやれ」という指示も、どうすればきちんとやれるのかが、さっぱりわからないのです。

次第に気持ちは沈みがちになり、最近会社へ行こうとすると身体が重く動けません。

わけのわからないところで自分を悪く言い、問い詰めてくる上司や同僚の顔を思い出すと、動悸やめまいに襲われます。

Aさんは思い切って心療内科に受診したところ、「適応障害」と診断されました。

社会人になって気づく人が多い

アスペルガー(自閉スペクトラム症)であることを、ずっと気付かないまま過ごしてきたのに、社会に出てはじめて自分が発達障害であることに気づく人は大変多くいます

知的能力に問題はないので、学校はむしろ優秀な成績を取れることもあり、周りの人からも気づかれません。

ちょっと変わった子と思われていたり、友だちが少なかったりなど、対人コミュニケーションの分野で少し特徴はあっても、学生の間は深刻な問題にならないので本人も気づかないのです。

一方、社会に出ると、コミュニケーションの問題が一気に表面化します。

社会には、暗黙のルールや大人のルールがいっぱいあります。

言葉どおりに受け止めて良い言葉と、裏にふくみがある言葉も飛び交います。

また、臨機応変に対応することや、新しいものをゼロから創造していくことも求められます。

さらに、理不尽な指示を出す上司や感情的な先輩、身勝手な要求をする取引先などと、その都度その人に合わせて付き合っていく必要があります。

こういった、高度な社会性が必要なビジネスの世界には、アスペルガー(自閉スペクトラム症)を持つ人は、その障害のために上手く適応することができないのです。

二次障害(うつ病や適応障害)になることがある

発達障害、とりわけアスペルガーの人は、周りの人から「ヘンな人」「怠け者」と誤解されやすく、いじめにあったり、嫌われて孤立しがちです。

それでも、多くの人は真面目に努力して改善しようとしています。

ところが本人の努力はあまり効果がなく、何度も失敗してしまいます。

これは、努力や能力が足りないのではなくて、機能障害があるためであり、努力して改善するものではありません。

そのため本人は、無力感、劣等感、自己嫌悪感を抱き始めます。

このように、障害そのものが原因ではなく、周りから受ける誤解や偏見によって心に不調が出てしまうことを、二次障害といいます。

発達障害という一次障害とは別に、二次的に起きる症状のことです。

二次障害にはさまざまなものがありますが、職場のストレスを原因として発症するものは、うつ病や適応障害が多いです。

「自分はみんなの迷惑になっているようだ」「自分などいないほうが良い」と、最悪の場合自殺を至るケースもあるため、注意が必要です。

職場いじめ、孤立で障害に気付いたら

職場いじめや孤立で、自分が発達障害を持つことに気づいた人も多くいます。

このような人であれば、その気付きを大事にして、これから自分に一番適した仕事を探したり、職場での対応法を学んだりすることができます。

特に、うつ病や適応障害を患っている人は、原因がわからないままやみくもに治そうとしても治りません。

また、本質的な改善をしないと、いつまでも、どこへ行っても社会でうまくいかないままです。

そのため、障害そのものを治すことは難しいものの、少しずつ社会に適応しやすくなるように、治療やトレーニングを行うと良いです。

治療を開始し、障害と向き合う

まずは、うつ病や適応障害などの二次障害に罹っているのであれば、治療を開始しましょう。二次障害は適切な治療で治ります。

発達障害を間違いなく診断してもらい、かつ適した治療をしてもらうためには、各大学の医学部附属病院の精神科あるいは心療内科を受診するのが確実です。

医学部の附属病院には、各専門分野の医師がいます。

また、検査機器や心理テストなども充実しているので、多面的に診断してもらえます。

診断後も、具体的な生活指導や服薬指導、仕事をするうえでの相談にのってくれるスタッフも充実しています。

現在の日本の医療制度では、医師が具体的に、細かく生活指導やカウンセリングをすることは難しいです。

一方、これらの大きい病院には、通常医師以外にも精神保健福祉士や、臨床心理士が常駐しているため、対応してもらえる可能性が高いです。

ただ、医学部附属病院で診察を受けるには、他の医療機関からの紹介状が必要です。

さらに、予約から受診するまでにかなり待たされることがあります。

とはいえ、こういった手順を踏んでも、より正確な診断・治療をしてもらえます。

一方、そこまでしっかりとした診断・治療が必要ない人や、早く解決したい人、休職などを考えていて相談したい人は、まずは近くの心療内科を受診してください。

そこで、職場でのできごとや、今の不安などの症状、困っていることなどをしっかり話してください。

アスペルガー(自閉スペクトラム症)かもしれないといった相談をしてみると、医師の目から見てどうか、判断されるはずです。

どうすれば働きやすいかを考える

自身の特徴に気づいたら、次は「どうすれば働きやすい職場を手に入れられるか」を考えていきます。

もし本当にアスペルガーなどの発達障害があるのなら、その障害に適した働き方があります。

それを、今の職場で探していくか、あるいは今の会社を辞めて別の会社で探すかを検討しましょう。

今の会社を続ける場合

今の会社を続けたい場合は、自分自身の性格的特徴を、職場の人にきちんと伝えた方が良いです。

もし、産業医がいる会社であれば、産業医に自分の症状や、できることとできないことを伝え、産業医経由で会社の人事部などに伝えてもらう方法もあります。

あるいはそれができなければ、直属の上司に相談するのも良いでしょう。

特性を理解してもらって、こちらから配慮をお願いすれば、納得してくれるかもしれません。そうすることで、いじめや無視などがおさまるかもしれません

例えば以下のように、伝えてみましょう。

私は空気を読むとか、臨機応変にやるといったことがとても苦手で、迷惑をかけてしまってすみません。

私には社会性に関する障害があるようで、努力で改善することができません。

そのため、もし失礼なことを言ってしまっても、私には悪気がないことをどうかご理解ください。

私はキチンとやれとか、ちゃんとしろといった曖昧な指示の意味がよくわからないことがあります。

あるいは、早くやれといわれても、どのくらいが早いのかがわかりません。

そのため、「〇〇を、何時までにやれ」というように、具体的に細かく指示を頂けると、助かります。

このように、自分の特性を理解してもらい、何が苦手でどうしたらできるのかを、職場の人に伝えて理解してもらいましょう。

転職する場合は自分に合う仕事を見つけよう

今の職場でこれ以上続けられる状態でなければ、思い切ってリセットして、違う会社での再出発をしても良いでしょう。

自分の特性にせっかく気付いたのですから、これからは自分にとって一番向いている仕事は何かを考えて応募するようにしてください。

アスペルガー(自閉スペクトラム症)といっても特徴は人それぞれちがうので一概にいえませんが、比較的これらの人でも能力発揮しやすい仕事は以下のようなものです。

専門職

  • グラフィックアーティスト、ウェブデザイナー
  • 宝石・工芸品のデザイナー
  • コンピューターのトラブル窓口係
  • 放射線技など医療系専門資格職
  • 機械整備士、電気技師、設備技師

専門的な勉強をし、その知識を活かした仕事に就いているアスペルガーの人は多いです。

ソフトウェア検証業務やシステム運用サポートの仕事に就いている人は、アスペルガーの人が大変活躍していると知られています。

自分の興味がある分野に関しては、誰にも負けない探求力がある特性を活かすことができる職種です。

事務職

  • 翻訳家
  • 編集、校正業務
  • 経理事務

言語能力が高い人や、文字や数字などを扱うのが好きな人、細かい作業が好きな人は、事務職のスペシャリストが向いています。

一般事務職よりも対人的なやりとりが少なく、一つの作業に没頭できる専門事務職は、アスペルガーの人に向きます。

コールセンター・ユーザーサポート

接客業の一つであるコールセンターやユーザーサポートでも、アスペルガーの人が活躍しています。

一般的に問い合わせ業務はアスペルガーの人には向かないといわれていまが、問い合わせといってもいろいろな種類があります。

苦情受付窓口である「お客様相談室」などは難しいかもしれませんが、マニュアルがしっかりあったり、問い合わせのパターンがほとんど決まっていたりする問い合わせ業務は、むしろ向いていることがあります。

  • 通販会社の注文受付スタッフ
  • 商品、サービスの電話勧誘スタッフ
  • パソコンやシステムの問い合わせスタッフ
  • 初心者向けネットやスマホの操作指導スタッフ

これらの問い合わせ業務は、対話のパターンがある程度決まっていて、マニュアル通りに行うことが求められます。

知識を増やし、パターンに慣れてしまえば、むしろやりがいを持って楽しく行うことができる仕事になります。

大量・定型的業務

日々大量に仕事が発生し、黙々と一定時間内にこなさないといけない仕事は、アスペルガーの人に向いています。

  • 郵便物などの仕分け、配送、社内メール便などの引き取りや受け渡し
  • 文書の印刷、スキャン、コピー、製本
  • パソコンでのデータ更新作業
  • 文書のデータベース管理(文書を整理整頓して、インデックスし、保管する)
  • 物流管理、ピッキング作業(伝票にしたがって指定されたものを倉庫から出してくる仕事)
  • 商品の梱包、配送準備
  • 飲食店などでの皿洗い、清掃、調理補助
  • スーパーなどの商品のパック包装、値段付け

すべてができないわけではない

上に見てきたように、障害を持っている人には向かないと思われがちな仕事であっても、すべてができないわけではありません。

仕事そのものが向かないわけではないのですから、自分はどの部分が苦手なのかを考えて選べば良いです。

できない部分は、他の人に協力してもらうとか、工夫することでカバーできます。

「あれもできない、これも無理」と、可能性を狭くしてしまうより、得意だからやってみよう、でもできなければ他の人に相談しよう、という方法をとってください。

人間関係を良くしようと頑張りすぎない

アスペルガー(自閉スペクトラム症)は、社会生活が苦手になりやすい障害です。

この特性そのものを否定して、無理をして人間関係を良くしようと頑張りすぎないようにしましょう

職場での人間関係は大事ではありますが、まず自分の適性に合った仕事をやりがい持ってやれることが一番大事です。

それができていれば、自信もつくし、職場の人と仲良くなろうとか、認められるようにしようと無理せずに済みます。

障害というと何か劣ったところがあるような表現ですが、それは違います。単なる「強い個性」「強い偏り」であるだけです。

偏りがあるからこそ、得意なことは誰よりも上手にできるはずです。

苦手なことを努力するよりも、得意なことを見つけて自分らしく働く方法を、ぜひ探して欲しいと思います。


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