当サイトの管理人は、過去、セクハラ被害に遭いそうになり、10年も頑張った会社を泣く泣く離職した経験があります。
しかし転職エージェントの助けを得て、前職よりもずっと適性を活かせる会社に転職することができました。
あの時は本当に辛くて、セクハラの加害者に対しても、会社に対しても、さらに世の中に対しても怒りを感じていました。
でも今思えば、あの経験があったからこそ、今の充実したキャリアステージをつかむことができたのだと、むしろ感謝しているくらいです。
このような経験を、みなさんの転職の参考にしてもらいたいと考え、転職体験記(体験談)を記していきたいと思います。
定年まで勤めるつもりが辞める羽目に
私は、主に企業向けの人材育成、採用、人材の心のケア、メンタルヘルス対策事業を行う会社にて、コンサルタントとして10年勤務しました。
女性の仕事としては若干ハードで、責任も重いし、業務内容は難しいため猛勉強も必要でしたから大変でした。一方、非常にやりがいもありました。
入社時に2歳の子どもが12歳になるまで、子どもの学校行事などはほとんど参加できませんでしたが、そんな犠牲も気にならないほど仕事が好きでしたし、職場の人間関係も良く、このまま定年まで勤めるつもりで頑張っていました。
経営者から性的関係を迫られてしまう
私には、どうしても仕事にのめり込みすぎてしまい、自分のすべてを仕事に投入してしまう、という弱点があります。
そのおかげで仕事面では成果をあげられるようになり、重要な仕事も任されるようになったわけですが、一方、そんな私の弱点に付け込まれるようなことが起こりました。
この会社は、経営者が全実権を握っている、従業員数20名弱の小規模企業でした。
その経営者から、出張先にて性的関係を迫られるようになったのです。
私が会社での地位ややりがいを切望していることを利用して、それらと引き換えに、性的に搾取しようという魂胆が丸見えでした。
私にも隙があったのだと思いますが、経営者からそんなことをされて本当に困りました。
何とか1年くらいは、軽くあしらったり食事に付き合ったり程度で、とにかく、何とかうやむやにできないか努力しました。
しかし相手はだんだん強引になってきて、いよいよ本格的にはっきりさせなければならなくなってしまいました。
そして勇気を振り絞って「(子どももいるのだし)深い関係にはなれない」と、断りました。
身を預けるか、飼い殺しにされるか?
その時は相手も納得して引き下がったのですが、その数か月後から、重要な仕事からはどんどん外されるようになりました。
さらに5年も後に入社した後輩の男性が急に出世し、私は彼の部下の立場に転落してしまいました。
私が担当していた主幹業務はほとんど後輩の仕事となり、かつ今まで昇給額が1万円程度あったのに、その期の昇給額は1000円でした。
人事権はすべて経営者が握っていて、社内の昇格・昇進の規程などありません。そのため、言われるまま我慢するしかありませんでした。
このときになって、自分のキャリアはすべて経営者の胸三寸、相手の個人的な欲望を満たさなければ、これからこの会社でのやりがいは得られないのだとはっきり気づきました。
こんなにもあからさまなセクハラが、まさか自分の身に起こるとは思ってもいませんでしたし、直属の上司にも友人にも、誰にも相談できません。
たとえ経営者に「あのことを断ったから、こんな仕打ちをするのですか?」と聞いたところで「何のことかな?君の能力が足りないから仕事から外したんだよ」と言われるに決まっています。
この時の選択肢は、経営者に身を預けるか、このまま何のやりがいも与えられない「飼い殺し状態」に耐えるか、二つに一つでした。
そんな葛藤を繰り返すうちに、徐々に不眠がひどくなり、食欲もなくなり、軽いうつ状態になってしまいました。
転職を決意。選択肢は他にもある
しかし、これをきっかけに、自分の生き方や働き方を見直すようになりました。そのおかげで、逆に冷静に自分と向き合うことができるようになったのです。
私が切望するやりがい、職場での地位、安定した収入、専門家としてのキャリアは、肉体や自尊心を含めた「私のすべて」を差し出さなければ得られないものなのでしょうか。
そんなことはないはずです。
「私が私らしい仕事をして、正当で公平な見返りを得る。そんな当然の権利のために、なぜ他人に尊厳を傷つけられなければならないのか?この会社にしがみつく理由がいったいどこにあるのか」
と考えるようになりました。
そして、心と身体が回復するにしたがって、「転職すればよい、選択肢は他にもあるはずだ」という正しい判断ができるようになりました。
ハローワークや情報誌からの応募は全滅
転職を決意してから勢いよく活動をしはじめたものの、当時35歳を過ぎていて、しかも小学生の子どもを育てていました。
コンサルティングのスキルがあるといっても、一般的なものではなく、あまりにも専門的であったため、自分に合う求人はまず出ていません。
そのためハローワークなどや一般の転職情報誌経由の応募は、ほとんど書類選考段階で落ちてしまいました。
必死で履歴書の書き方や職務経歴書のまとめ方、少しでも若く見えるような写真の撮り方などを学んで、何とか書類選考は通ることができるようになりました。
ただ、面接はなかなか通過しませんでした。
あるいは面接で通過したとしても、到底満足できないような低い待遇とか、どう考えてもブラックでは?というような労働環境の会社ばかりでした。
やはり、この年齢での再就職というのは、本当に厳しいのだと痛感しました。
半分諦めて、劣悪な労働環境であっても仕方がない、と思い始めていたころに、ネットで転職エージェントの存在を知りました。
転職エージェントの存在を知る
私は転職経験が少ないので、転職といったらハローワークで探すか、本屋で売っている情報誌や新聞を見て直接応募するという方法しか知りませんでした。
そのため、その方法をけなげに続けていたのですが、ある時、転職エージェント(転職サイト)の存在を知りました。
転職サイトに依頼すれば、自分に適した会社を探してくれたり、面接の指導をしてくれたり、さらにハローワークなどに公開していないような条件の求人もあるということを知り、勢いで5社くらいに登録しました。
いくら登録しても基本的に無料ですし、自分の不利な条件を考えると、たくさんの会社を活用したほうがいいと思ったからです。
活動が劇的に楽に。なぜもっと早く依頼しなかったか後悔
サイトに登録すると、担当者から連絡がありました。
たくさんのサイトに応募したので、たくさんのタイプ担当者から連絡があり、色々な情報をいただきました。
そのおかげで活動が断然楽になりました。自分でハローワークに出向いたり、自分で電話をかけて会社を探したりしなくても良くなりました。
担当者が向こうからいろいろな求人を持ってきてくれて、条件を言えばそれにあった形で探してくれるからです。
また、相手先企業に面接の日程を調整してくれたり、こちらの聞きたいことを代わりに聞いてくれたりしました。
相性もあるし、エージェントごとに紹介してくれる会社の違いはありましたが、担当者は基本的にみんな丁寧で、こちらの希望を親身に聞いてくれます。
ひとりで活動しているとどうしても応募する会社が偏ったり、相手企業のことを知らないまま無謀な応募を繰り返したりしてしまいがちです。
一方転職サイトを経由すれば、担当者さんが求人を出している企業の実情を教えてくれますし、転職希望者(私)に合う会社であるか否かを、その都度アドバイスしてくれます。
ハローワークなどの役人とは違って、非常に細かく実務的な相談ができるのです。
さんざん苦労した後だったので、本当にありがたい存在でしたし、「何でもっと早くお願いしておかなかったんだろう?」と思いました。
転職エージェントの担当者の対応レベルはまちまち
5社に登録した転職サイトとの担当者さんには、さまざまな人がいました。
なかには、全く私の希望を無視するかのような求人を紹介してくる人がいました。
また、「その年齢だとこの辺の会社で妥協するほうが……」と若干無理に面接を受けさせようとする強引な担当者もいました。
私以外の経験者にも聞いてみたところ、転職サイトの担当者は交渉力が高く面倒見が良い人もいる一方、新卒1年目で担当するような何のスキルもないような人もいるそうです。
私も5社の担当者に面倒を見てもらったのですが、そのうち、一人はまさに頼りない人でした。
面接前にお願いしておいたことを相手企業に伝え忘れていたり、年収交渉など難しい交渉はできなかったりして、担当者の対応レベルはまちまちなんだと実感しました。
そんな中、私は運よく、ある転職サイトにて素晴らしい担当者と巡り合うことができました。
転職への「本質的な希望」を聞いてくれる担当者との出会い
ある転職エージェントの担当者であるYさんは、とても聞き上手な人でした。
とにかく転職希望者(私)のことを、性格から適性、過去の職歴、プライベートの過ごし方、転職に求める「本質的なもの」などを、綿密に調査するタイプの担当者さんです。
落ち着いた人だったので、テンション高く強引な人が苦手である私にとっては、とても楽に相談できるので相性が良いと感じました。
実はそれまでは、どの担当者にも「転職の本質的な希望」を、はっきり言えないでいました。
年齢が高いことや子持ちであることも引け目に感じていたし、セクハラから逃げるようにキャリアを投げ捨てたという過去が情けなくて、正直「もう、ワガママは言っていられない。どんな会社でも我慢するから、何とか決まればいい」と、半分諦めモードになっていたからだと思います。
「妥協せず、あなたが一番望む働き方を探しましょう」
ところがYさんだけには、気がつくと前職での出来事を話していました。そして
「本当は、自分のキャリアを活かしたい、やりがいのある仕事を取り戻したいです。
せっかくあんなに猛勉強したし仕事が大好きだったのに、誰かからのハラスメントですべてを失うことになるなんて嫌。不公平のない会社で、私自身を活かしたい」
という本当の思いを、半分涙ながらに訴えていました。
Yさんはいつもどおり静かに聞いていてくれました。そしてその後、力強くこう言ってくれたのです。
「わかりました。あなたが一番望む働き方を、一緒に探しましょう。卑屈になる必要も、妥協する必要もありません。大丈夫です、必ず見つかります」
本気の転職活動開始
それからは、Yさんと二人三脚での真剣な活動が始まりました。
まずは、転職で本質的に望むことを、妥協せずリストアップすることからスタートしました。
前職での悔しい経験があったことから、
*ワンマン経営になりやすい超小規模会社は嫌。目安として従業員数100名以上を希望
*自分の今までの知識や経験を使いたい
*できれば土日休み希望
などを優先事項として、探してもらいました。
一方、残業や出張などを含め、ある程度過酷な労働環境には慣れていたので、そのあたりは柔軟に対応するつもりでいました。
さらに、今までの経験やスキルをすべてリストアップしました。
自分が「大したことない」と思っていた経験が、意外にも高度なスキルであることも、そこで指摘されて気づきました。
コンサルタントとして企業向けの研修会講師をしてきたことや、産業カウンセリングの経験があること、うつ病や適応障害の社員が出たときの社内対応について指導ができることなどです。
担当者のYさんは「非公開求人ですが、その経験を求めている会社を、数社知っています。早速ご紹介します」といわれ、半信半疑でしたが紹介を待ちました。
地元中小企業の最適ポストを発掘してくれた
紹介されたのは、地元中小企業の総務・人事職で、欠員補充での求人でした。
50代の総務・人事担当者が病気療養退職をしたために、後任を探しているとのことでした。
この会社は400名ほどの従業員を抱えているものの、うつ病や適応障害などのメンタル疾患に罹る人が多いことに困っていました。
また、会社側は、今後社員がメンタル疾患にならないように、厳重に対策しなければならないと厚生労働省側から圧力がかかっています。
そのため、メンタル研修や労働環境の整備をしなければなりません。
しかし、一般の会社にはそのような専門知識は乏しいため難しいのです。
この会社では、それらを担当していた総務職の社員が病気にて退職してしまい、かつ引継ぎもできない状態であるため、入社後に即戦力となる人を求めていました。
当初この会社は、他社から経験者を引き抜こうと考えていたため、求人を公開していませんでした。
ところがそれを知っているYさんが「メンタルヘルス系コンサルティングを経験している人がいます。即戦力になれるかもしれません」と、私を紹介することになったわけです。
書類選考や面接日なども、お任せしているうちに決まり、スムーズに先方企業とお会いできる運びとなりました。
そして、うつ病の社員対応や、当時労働安全衛生法改正によって義務化された「ストレスチェック制度の導入」対応が緊迫していたためか、すぐに採用されることになりました。
しかも、一般総務事務の待遇ではなく、総合職に近い条件を保証してもらえたのです。
やりがいのある仕事を再度つかむことができた
私は現在、転職エージェントに紹介してもらった上記の中小企業にて、総務兼人事・労務マネジメント職として働いています。
主に人事採用実務、社員教育、メンタルヘルスマネジメントを行っています。
地元の地味な企業であり、前職に比べて華やかさは全くありませんし、配属された部署そのものは小さいため、雑用で一日を終えることもよくあります。
しかし一方、前職の知識のおかげで、自分にしかできない高度な仕事を一手に任されています。
直属の上司は、難しいことはほぼ私に任せて(丸投げして)くれる人なので(笑)変に干渉されず、今までの経験を存分に発揮できています。
とてもやりがいがあり、会社の人にも感謝され頼りにされて、本当に今まで培ってきたものが活かされていると感じています。
給与や待遇面もほぼ満足いく結果となりましたし、何よりも、きちんとした会社組織であって、社内規定もある程度整っており、公平な人事管理がされているところが気に入っています。
さらに社内規程の一部を自分で作ることができる立場にいるわけですから、経営者の一存で「一巻の終わり」のようなことにはならないということに、安心しています。
入社後も3か月ごとにYさんからフォローの電話
そして入社後もお世話になった転職転職エージェントの担当者Yさんからは3ケ月おきくらいに電話があります。
私がとても満足して働いていることを伝えると、「よかった、本当によかった」と嬉しそうに返答してくれます。
「〇〇さん(私)は、いつも自力で何とかしようと思い詰めてしまいますよね?うまくいかないときこそ、独りで抱え込んではいけませんよ。もし、今のところで困ったことがあったら、必ず相談してください。あなたの身になってサポートしますからね」
このように定期的に連絡をくれるので、今の私には仕事についての不安はほぼありません。
それに、困ったらまた相談すれば良いという心強さから、今の会社に対しても社会に対しても、決して卑屈にならず、毅然とした態度で自分のキャリアを築くことができると感じています。
独りでの転職活動には限界がある
Yさんの指摘どおり、私は困った時こそ自力で何とかしなければ、と思い詰めてしまいます。
でも、そんな傾向の人は、私だけではないと思います。
とくに、会社の中でパワハラやセクハラを受けているとか、孤立しているとかいじめられているなど、恥ずかしくて誰にも相談できないような状態にいる人ほど、一人で抱え込んで不利な選択をしがちです。
それに、私たち労働者の立場は、納得いかない労働環境を会社側に是正してもらう力なんてありません。
「ハラスメント、長時間労働などで会社側を訴えてやる」と闘っている人もいるようですが、そのような努力よりも、早くまともな職場環境へ移った方が良いと思うのです。
私はとても遠回りをしたので、辞める決意から転職活動、そして新たな職業人生を歩むまでに2年くらい時間がかかってしまいました。
本当に、もっと視野を広く持って、転職サイト(エージェント)の存在に気づき、早めに相談していたらよかったと、少し後悔しています。
そのため、私は「あなたらしく、笑顔で前向きにキャリアを築いてほしい」と思い、このサイトを立ち上げることにしました。
私が体験してきたことや、勉強してきたことが、あなたの職業人生のなかで少しでも参考になればいいなと思っています。