天引きでの社会保険料の納付をサラリーマンが確認すべき理由

会社員であれば、給与から社会保険料として一定額が天引きされていると思います。給与額にもよりますが、かなりの額の社会保険料が引かれている人もいます。

ただ、きちんと支払っていると思い込んでいたのに、実は会社が保険料を正しく国に払っていなかったということが実際に起きています。

そのようなことにならないためにも、あなたの保険料が正しく支払われているのか、一度確認してみることをお勧めします。

今回は、「社会保険のうち厚生年金の支払いがきちんとされているのか」を確認する方法と、それを行うべき理由についてそれぞれ解説します。

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保険料納付の不正手口

社会保険の厚生年金保険とは、「月々保険料を納入することによって、働けなくなったときに年金支給を受けることができる制度」です。

年老いたときに受給できる「老齢厚生年金」が一番なじみのあるものです。

会社に入ると、あなたの給料の額に応じて一定の額を保険料として納めます。これらは、いずれあなたが受け取る予定の老齢厚生年金額に反映されます。

厚生年金保険の保険料は、給料の額を「標準報酬月額」として、その年の保険料率を掛けた額であり、本人と会社が折半し、国に納めることになっています。

つまり、あなたの給料から天引きされている額とほぼ同じ額を会社が出してくれて、合計して国に納めてくれているはずですなのです。

しかし、社員の給与から保険料を天引きしておきながら、正しく国に納付していない会社があります。

よくある手口としては、国(日本年金機構)に対し、社員の給料の額を少なく報告する方法です。

保険料算出の元になる給与額が少なければ、保険料も少なくて済むからです。

例えばあなたの給料額が30万円だとします。しかし国(日本年金機構)に「あなたに払った給料は20万円」ということにして報告すれば、保険料は20万円×保険料率で算出される額で済みます。

そのような小細工をして、保険料を安く済ませようとする会社があるのです。

また、給料から天引きするときだけは正式な保険料を使い、国に納入するときには安い給与額で計算した保険料を使うケースもあります。

これは天引きした額と納入した額の差額を会社が不正に懐に入れるわけですから、より悪質な方法といえます。

将来もらえる老齢厚生年金の金額は、納めた保険料に連動して上下します。

そのため、労働者の側が正しく年金保険料を払っているつもりであっても、会社が不正をしていて実際は低い保険料しか払っていないと、将来の年金額も低くなってしまいます

ねんきん定期便を確認

こういった不正は、以前からあらゆる企業で行われていました。

そのため、2007年頃に起こった「消えた年金問題」を契機に、年金の管理が厳しく行われるようになりました。

国の年金を管理する機関である日本年金機構(旧社会保険庁)から、「ねんきん定期便」という用紙が、個別に郵送されてくるようになりました。

「自分が在籍する会社が、厚生年金保険料の納入に不正をしていないかどうか」が心配な人は、必ずこの「ねんきん定期便」で確認をしてほしいと思います。

ねんきん定期便には、「最近の月別状況です」という表が入っているはずです。そこには、下記のような内容が書かれています。

年月 厚生年金保険
加入区分 標準報酬月額(千円) 標準賞与額(千円) 保険料納付額
〇年5月 厚年 320 27,958
〇年6月 厚年 320 27,958
〇年7月 厚年 320 27,958
〇年8月 厚年 320 710 89,991
〇年9月 厚年 320 28,525

この表の中に、保険料納付額という欄があります。この欄に書かれている額が、あなたの給与明細に書かれている厚生年金保険料控除額とほぼ同じくらいであれば、「会社は正しい保険料額を納めている」ということになります。

(ちなみにこの保険料納付額とは、被保険者であるあなたの負担額しか記載されていません。事業主が負担すべき額は入っていません)

もし、この額が給与明細に書かれている控除額よりも低い場合は、会社側があなたの「標準報酬月額」を少ないことにして、保険料を納めているのかもしれません。

標準報酬月額とは

標準報酬月額とは、給料額を一定の幅で区分したものです。

>> 標準報酬月額と保険料額表 (年毎に改定されるため該当年で確認する必要があります)

標準報酬月額は、1等級(9万円前後)から30~31等級(60万円前後)くらいまでに分かれています。

その区分に、あなたの4月から6月の給与額の平均を当てはめて「〇等級」とし、その年の保険料率を掛けることによって、9月以降の保険料額を決めます。

4月から6月の給与額の平均を国に報告する手続きを「算定基礎届」といいます。

仮に、ねんきん定期便に書かれている標準報酬月額が、あなたの給与額より大幅に少なかったとします。

この場合、保険料算出の元となる給与額を届け出る「算定基礎届」にて、社員の給与額を少なく報告しているということが考えられます

(あるいは事務担当者がミスをしていることも考えられます)

さらに、算定基礎届に記載する給与額とは、基本給のほか残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の給与すべてを含みます

基本給を低く抑え、基本給だけを算定基礎届に記載報告している会社もありますが、それも不正行為といえます。

こういった不正を行う会社があるため、あなたがねんきん定期便を受け取ったら、上記のように細部までチェックすることをお勧めします。

経営に行き詰って社員の社会保険料の支払いができない経営者が、資金繰りの一つとして上記のような不正を行うことがあります。

あるいは、総務・経理担当者のミスで、実際の給与額とは違う額で保険料を計算していて、結果的に社員の将来もらえる年金額が減ってしまったというケースもあります。

いずれにせよ、給与明細で見ると控除されていても、「その額がきちんと納入されているか否かは、国(日本年金機構)の資料と照会しないとわからない」ということです。

普通は「厚生年金保険料控除額として給与明細から引かれているから、これは必ず国へ納められているはずだ」と思うものです。

しかし、控除額はあくまで会社が天引きしているだけで、国が直接「将来の年金原資」として徴収しているというわけではありません。

現在は、ねんきん定期便という書類を発行してくれるので、不正に気づきやすい環境にあると思えます。

保険料を払っているからといって安心せず、「払っている額は正しいか」といったことまで確認してほしいと思います。

不正(あるいはミス)を見つけたら

不正を見つけた場合は、どのように対応するか悩むところです。

まずは労働時間や労働日、給与額の明細(基本給、残業手当、賞与)および社会保険料の控除額がわかる資料を保管しておきましょう。

単純なミスであれば、会社の担当者に相談することによって正しい保険料に修正してもらえるはずです。

問題は、故意に不正をしているときです。

会社の経理担当者が、経営者より個別に「社員の給与額を低めに報告せよ」と指示されていることがあります。

そのようなときにあなたが担当者を問い詰めても、会社ぐるみの不正を簡単に改善させることは、難しいのではないかと思います。

その場合は、「仕方がない」とあきらめるか、年金事務所などに相談し、国から会社に対して是正の指導をしてもらうかの、いずれかになります。

年金事務所の調査

日本年金機構の傘下として、各地に年金事務所があります。年金についてさまざまなことを直接相談できる機関です。

ここで、ねんきん定期便および給与明細などを持って会社側の対応を相談することができます。

会社の保険料納付に悪質な不正がある場合は、会社に対し調査をしてもらうことができます。

>> 各地の年金事務所

年金事務所の調査では、専門の調査員が社員の社会保険加入状態や、標準報酬月額の元となる給与などが正しく計算されているか、保険料の控除(源泉徴収)が適切に行われているかを調べます。

不正やミスが見つかった場合は、最大2年前までの保険料を正しく納入させられることになります。

年金事務所へ通告し、調査に入ってもらうときには、気を付けたいことが2点あります。

本人負担分の保険料も2年分払う必要がある

もし年金事務所の調査が入り、会社の不正やミスがみつかったら、会社は過去2年分までの保険料支払い義務を負います。保険料納付の時効が2年であるためです。

ここで会社側が負う保険料は、会社が折半して払う分に限られます。そのため、労働者の自己負担分の保険料は、2年間分払う必要が出てきます。

年金事務所への通告によって会社から追い込まれる可能性

また、厚生年金保険に関する不正を意図的に行っていた会社であれば、あなたの通告を良く思いません。

すでに退職しているのであれば実害はないと思います。しかし、在職中であれば会社側から追い込まれることがあります。

経営が苦しい状態で、かつ雇っている社員が多い会社の不正が明るみに出ると、多いところで何千万円もの保険料をさかのぼって払わなければならなくなります

年金事務所の調査をきっかけに一気に経営が傾くこともあり、「通告者が社員から疎まれたり経営者から退職を勧奨されたりした」といった実例を聞きます。

単なる事務的なミスであれば、年金事務所の調査によって是正するだけです。しかし、会社が傾くほどに負担になりそうな場合は、慎重に相談したほうがいいでしょう。

ここまで述べてきたように、社会保険料、特に厚生年金保険の保険料は、将来もらえる老齢厚生年金の額に影響があります。そのため、正しく納付されているかを定期的にチェックすることをお勧めします。

また、保険料納付の権利は2年の時効で消滅してしまいます。不正が放置されたまま知らずに長年経ってしまうと、年金保険料を取り戻すことができません。

「天引きされているから、年金保険料は払っているはず」と思い込まずに、ねんきん定期便の確認を怠らないようにしましょう。


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