20代、30代の転職理由を「家族の介護」にすると高確率で落とされる

面接対策

中途採用の面接の場合、面接官は必ず「なぜ前職を辞めましたか」という質問をします。このとき、「前職を辞めた理由は、家族の介護のためです」と答える人がいます。

しかし、この回答は面接官受けしないことが多いことを、知っておいてください。

家族の介護はやむを得ないことのため、面接の場面で、家族の介護という退職理由ついて突っ込んでくる面接官はいません。

さらに家族の健康問題となるとプライバシーに関係してくるので、面接官はあまり深く聞くことができません。

応募者側にしても家族を介護する優しい人間性をアピールしながら、「前職の退職は仕方がなかった」と主張できるので、一見悪くない退職理由に思えるかもしれません。

しかし、面接官は、家族の介護を理由に前職を退職したと主張する人を、素直に信じません。20代、30代の若い人が介護を理由に退職するのは、とても不自然だからです。

介護を理由に前職を辞めたと主張する人がとても多い

以前、私は中途採用の面接を担当していたことがあります。

その日に会う中途採用の応募者は4人いました。このときは当然、それぞれに、前職の退職理由を聞いていきます。

すると、以下のような回答が返ってきました。

「実は、祖父が体調を壊して一時期寝たきりになりました。介護が必要になったので、私が会社を辞め介護することになりました」

「弟が事故で骨折しまして、弟を看病するために会社を辞めました」

そのとき、4人のうち3人が家族の介護・看病のために前の会社を辞めたと主張したのです。その人たちの年齢層は20代後半から30代前半でした。

面接現場では家族の不幸について深く聞けませんし、疑うわけにもいきません。そのため私は「そうでしたか、それは大変でしたね」と納得したふりをしました。

しかしこの日に限らず、若い人が退職理由を介護だと言うことがとても多かったのです。

正直なところ「実は家族が……」というワードが出てくると、私は「またか!」と苦笑したくなりました。

若い人が介護で会社を辞めるのは不自然

20代や30代などの比較的若い人が、介護が必要な家族を抱える率は、そんなに多くはないはずです

私以外にも、面接官をしたことがある人に聞くと、同じように若い人の介護離職(介護を理由に前職を辞めること)が多すぎることを不思議に思っている人がいました。

「介護のために離職した」というのは、応募者にとってはオリジナルでもっともらしい理由かもしれません。

しかし採用側の面接官としては、あまりにも似通ったことを言う人たちは、「もしかしたら嘘なのかな?」と疑ってしまいます。

なぜ「介護が必要で会社を辞めた」が怪しまれるのか

それでは、なぜ求人側(採用担当者側)にとって介護離職が怪しまれるのでしょうか。

介護が必要な人の割合は実際のところ少ない

公益財団法人日本生命保険センターの調査を見ると、介護が必要な人の割合は69歳以下で3.4%です。

80代を超えてようやく、30%を超える程度です。実際のところ、現在の日本で介護が必要なほど身体状態が悪くなっている人は少ないのです。

そのため、面接現場で4人中3人が家族の介護の必要がある世帯であるというのは、どう考えてもおかしいのです。

主に介護を担っている層は、60代以降の女性

20代、30代の介護離職が怪しまれるのには他にも理由があります。それは、主に家族の介護を担っているのは、60代以降の女性だからです。

家族に介護が必要な人がいるとしても、80代以降が大半です。さらに実際に介護する人は、60代以降の女性が多いのです。

年老いた人が、その親世代を介護するという「老々介護」が問題になっているように、介護を担う人たちはすでに現役世代を退いた高齢者が大半です。

20代、30代の「孫世代」の人が、主に介護を担わなければいけないケースは、珍しいケースだといえます。

介護をするのは、配偶者か子ども

同じく公益財団法人日本生命保険センターの調査では、介護者は同居の配偶者が約26%、同居の子が約20%、子の配偶者(嫁)が約15%となっています。

そのため、たとえ同居であっても「孫」あるいは「兄」などが、会社を辞めなければいけないほどの介護をしなければならないケースも、稀だといえるでしょう。

介護が理由で辞めた場合でも、介護だけを理由にしてはいけない

ただ、中には実際に介護が理由で前の会社を辞める人もいると思います。その場合は、どのように面接官に伝えると良いでしょうか。

若い人が介護だけを理由に会社を辞めるのは、上記の通り世間の実態とかけ離れているため、とても不自然にとらえられてしまいます。しかし「仕事を続けられなくなった理由の一つ」であれば納得できます。

たとえば、以下のようになります。

前職は数年ごとに転勤のある会社でした。転勤を苦にしておりませんでしたが、このたび地元の人との結婚をすることになりました。

当初は結婚後も家族と共に転勤生活をする予定でおりましたが、実家の祖母が数年前に倒れ、自宅で介護が必要な状態になりました。

現在は私の母が主に介護をしているのですが、母も心労で調子が悪くなり、心配しています。

そのため、思い切って地元に帰り、こちらで家庭を築き、実家の援助もしていきたいと考え前職を退職いたしました。

これであれば、介護が理由であることのほかに「転勤のない地元での就職を希望している」ことが理由になっています。

家族の不調がきっかけで、今後の働き方全体を見直すことは若い人であっても起こりうることです。

さらに結婚など大きなライフイベントが重なれば、より良い働き方を模索するのは当然のことですから、転職理由として納得できます。

ステップアップ決意のきっかけとしての介護

他にも、以下のように介護離職のほかに「ステップアップ」といった理由を組み合わせることもできます。

前職は、経理事務を担当しておりました。主な業務は事務所内の小口現金処理だけで、私が本当にやりたかった経理業務はなかなか担当させてもらえませんでした。

それでも経理のスペシャリストを目指して仕事帰りに簿記のスクールに通い、勉強していました。

ただ簿記2級を取得し、1級を目指している最中に祖母が倒れ自宅での介護が必要になりました。

母と共に介護をしていましたが、本当に自宅介護は大変です。

そこで、一旦退職して家族のケアをしながら、資格取得を目指すことにしました。

このたび資格も取れ介護も一段落しましたので、自分の知識と資格を活かせる仕事へチャレンジをしたいと思い応募いたしました。

これだと、「以前からもっとステップアップしたいと考え、専門性を身に着けたいと思っていたがなかなか前職ではかなわずにいた。

そんなときに家族の介護というきっかけがあったことで、思い切って退職を決断した」という理由になります。

介護がメインの退職理由ではなく、あくまできっかけに過ぎないので、若い人の離職理由としてそれほど違和感はありません。

単に家族の介護だけが退職理由の場合

一方で、単に家族の介護だけが退職理由であればどうでしょうか。それだと以下のようになります。

実家の祖母が数年前に倒れ、自宅で介護が必要な状態になりました。私が介護をしなければならず、残念でしたが前職を退職することになりました。

孫世代の若い人が、「介護だけを理由にせっかくのキャリアを投げ捨てた」というのは、前述の通り退職理由として弱く、短絡的な判断に思えます。

安易に介護を前職の離職理由にしない

親など家族の介護を退職理由にする人が多いのは、離職理由としてもっともらしいものであり、言いやすいからだと思います。

「人間関係でトラブルになった」「収入に不満があった」などの理由よりも周囲の理解を得やすく、人柄を疑われることも少なそうだ、と考えてしまいがちです。

しかし、採用側の面接官はそのようには思いません。同じ退職理由を何度も聞いており、さらには以下のように考えてしまいます。

・本当に「介護」による退職なのだろうか?

・統計上、介護が必要な人は多くないので、介護離職をする人もそれほど多いとは思えない

・介護を行っている人たちは主に60代以降の女性なので、若い男女の介護離職はおかしい

このような現実をふまえて、安易に介護を前職の離職理由にしてはいけません。本当に介護が必要なために離職をした場合であっても、介護だけが理由ではなくて、「結婚や家族との付き合い方を見直している」「ステップアップを考えていた」など、他の理由を混ぜて説明しましょう。

そうすることによって、「家族の介護のために潔く会社を辞めた」ことをアピールされるよりは、違和感なく退職理由を納得することができます。

または、そもそも介護を理由とした転職理由を考えるのをやめましょう。本当に介護を理由としての退職であれば問題ありませんが、そうでない場合は他の適切な退職理由を面接時に述べる方が無難です。

このように、面接官が考えていることや世の中の実情と照らし合わせると、どのようにして希望する求人での採用を勝ち取ることができ、不採用を回避できるのかを理解できるようになります。

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