求人情報の給与と昇給の欄からブラック企業を見分ける方法

これから転職活動をするのであれば、ブラック企業のように過酷な労働環境の会社には間違っても入社してしまってはいけません。

転職を希望する誰もが、そのような会社に転職したくはないはずです。

しかしブラック企業の側からすると、安価で都合よく使い倒せる人を入社させたいのです。

転職したい人は、新しい会社を探すときに、期待や夢を持って求人票を必ずチェックします。特に応募者が興味を持つのは給与額の欄だと思います。

そのような応募者の心理を利用して、悪質な手口で応募者を集めようとしているブラック企業があります。

今回は求人票のうち、特に給与額などの記載からブラック企業を見分ける方法について解説します。

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給与が異常に高い

求人票に書かれている給与額がやたら高い場合は注意しなければなりません。もちろん、その給与額に見合った能力や資格などの条件があれば、問題はありません。

しかし求める条件に対して相場よりも高い給与額の場合は、「高給」をうたって人を集め、短期間で使い捨てようと考えているブラック企業の可能性があります。

給与を高く設定している求人の注意点は、以下のようなものです。

求人欄の目立つ場所に「高給」PR

上記のように、給与額が高いことを売りにしている会社の求人情報を見ると、一番目立つ場面に「高給である」「生活が楽になった」「同年代の人より贅沢ができている」「頑張った分だけ収入につながる」などの言葉が大々的にPRされています。

笑顔の男女がガッツポーズをしながらお金を得ているような写真が載っていたり、派手なポップやキャッチコピーが全面に押し出されていたりします。

誰でも給与が高い会社には魅力を感じます。その気持ちを煽るように大々的に高給であることを誌面いっぱい使ってアピールしているところには、「とにかく給与さえよければ……」という人を集めて酷使しようとする会社も含まれていることに十分注意しましょう。

固定残業費が含まれている

給与が高い求人には、固定残業費を含ませて月給を水増しする手法がとられているものがあります。

例えば「月給 230,000円(表示金額は30時間分の残業手当を含む)」などと書かれている求人票です。

これは、「固定残業代制」といわれており、給与の中に残業手当を含ませているものです。このように表示すれば、月給が高く見えるのです。

実際は給与額の水増しですが、多くのブラック企業に使われている手法です。例えば、下記のような給与額が書かれていたと仮定します。

A社 B社
基本給 198,000円 月給 230,000円(残業手当30時間分を含む)
残業代 1時間1,540円支給(月平均残業時間30時間)

A社よりB社のほうが額面は高いため、これだけを見るとB社の方がよく見えます。しかし実際は、B社には30時間分の残業手当が含まれています。

A社は、額面は低いものの、残業代は1時間につき1,540円支払うことにしています。月平均残業時間はB社と同じなので、30時間残業をしたら、A社は月額244,200円得ることができます。そのため本当は、A社のほうが条件が良いのです。

しかしB社のように、固定残業代を月給に混ぜることによって、まるで基本給が高いかのように水増しで表示し、応募者の目にとまるようにしている企業があるのです。

求人サイトなどでは「月給で検索」「月給が高い方から表示」という機能があります。そのため、さまざまな手当を月給に組み込んだ方が、たくさんの応募者を集めることができるので会社側には有利です。

またB社のように固定残業費を含めていると、そもそも基本給はいくらで、残業代はいくらなのかがはっきりしません。

さらに、表示時間(B社の場合は30時間)を超えて残業をした場合は、追加で残業代がもらえるのかもわかりません。

そして残業時間が30時間に満たない場合は、表示額から減ることがあるのかもわかりません。

実際には、「月30時間の残業手当を含む」としている会社に入社したものの、月30時間どころか100時間近い残業があり、その差額の残業手当は一切支払われないという事例をよく聞きます。

こういった固定残業代制を設定している会社は、無制限の長時間労働を前提で、残業代をいかに支払わずに済むかを考えた上で求人票を作っているのです。そのため、このような表示の会社には注意しなければなりません。

「〇〇手当」で残業を無制限にさせる

また、社員に長時間労働をさせたい会社は、月給の中に残業手当以外にも「営業手当」「OJT手当」「現場手当」「資格手当」など、さまざまな手当を含めて高い月給にしています。

そして入社後に、「営業手当とは、営業としての残業手当である」「OJT手当とは時間外に行う研修の残業手当である」などといって、追加の残業手当を払わなくて済むようにしているのです。

さらに、「月給250,000円」などとシンプルに表示するだけで、実際は「残業代も含まれている」と入社後に強弁する会社もあります。これでは事前に確認する術がなく、悪質であるといえます。

また、「基本給250,000円(営業手当含む)残業なし」と表示されているのに、いざ入社してみると給与明細には「基本給150,000、固定残業代100,000円」となっていたという事例もあります。

法的には違法である

法的には、「残業手当を含む」という固定残業代制で労働契約を結ぶのであれば、そもそも残業代はいくらなのか、何時間分の残業であるのかを明示しなければなりません。

さらに、「指定された労働時間を超えた場合には追加の残業代を支払う」という義務が会社に課されています。

また、「〇〇手当」などのよくわからない手当を後から「残業代である」とするのは違法であり、残業した分だけ請求することができます。

しかし、法的にはそうなっているといっても、いざ入社した後に、立場の弱い社員がこれらを請求することは非常に難しいです。

入社前に基本給と残業代の内訳を確認

厚生労働省も、固定残業性について対策をしています。

「若年雇用促進法」という法令の指針では、会社は求人を出す際に「固定残業代を設定するのであれば、固定残業代を除外した基本給の額と、固定残業時間を超えた時間と休日および深夜労働を行った分の割増賃金を追加で払うことを明示しなければならない」と義務付けています。

労働契約の際ではなく、求人を出す段階で明示しなければならないことになっているのです。

こういった法令・指針を守る会社であれば、ブラック企業ではありません。ブラック企業は、こういった義務を無視して、求人の段階でこれらの要件を明示していません。

固定残業代制らしき給与体系になっているのに、上記のように基本給と時間を超えた場合の残業代が表記されていない求人には、応募しないほうが無難です。法令・指針を無視するブラック企業である可能性が高いからです。

あるいは、できる限り採用される前に、面接などで「基本給はいくらか」「残業代の計算はどうなっているか」「〇〇手当とはどのようなときに支給されるのか」といった本当の労働条件を探るようにしなければなりません。

歩合給部分が高い

また、ブラック企業が求人票における給与の表示でよく使う手口に「歩合給部分を高くする」という手法もあります。

給与には「固定給」と「歩合給」という概念があります。

「固定給」とは、業績や成績、働きぶりの良し悪しにかかわらず必ず支給される給料のことです。それに対して「歩合給」は、業績や頑張りによって変動する給与のことです。

営業職や対人サービス、小売販売業、運送業でよく取られている給与形態です。

固定給と歩合給の割合は、会社によって自由に決められます。極端な話、「固定給は5万円で、それ以外はすべて歩合給」という設定にすることも可能です。

しかしその場合は、求人票に固定給と歩合給の内訳を表示しておかなければなりません

それにもかかわらず、本来表示しなければならない固定給と歩合給の比率を、わからないように伏せて表示されていることがあります。

例えば下記の1~3はよくある給与額の表示です。

 1 月給23万円~
2 月給25万円以上(各種手当+歩合給)

参考)入社3年目28歳 月給42万円

参考)入社5年目32歳 月給50万円

3 月給20万円以上+歩合給

上記の1は、「月給」としていますが、これがすべて固定給であるのか、歩合給の部分が含まれているのか不明です。

固定給だと思って入社したら、実はほとんどが歩合給で、成果を出さないかぎり到底生活が成り立たないほどの低賃金であった、ということがあります。

さらに2は、各種手当と歩合給を合わせて「月給」としています。そのため固定的にもらえる給与額と歩合給の割合がわかりません。

参考月給などの表示も、あくまで「会社が求めるレベルの成果を上げた場合に支給しても良いと思っている給与額」です。

入社から数年経てば、参考月給に誰もが到達するかのように書かれていますが、実際は違います。すべての社員がこの給与額をもらっているわけではありません

また、3のような書き方をしている会社にも注意が必要です。一見月給20万円すべてが「固定給」のような印象を受けますが、実は違うといったケースがあります。

月給イコール固定給ではないため、「歩合給を含むとだいたい月20万以上になる」のように、アバウトな表記で逃げていることがあります。

歩合給制の企業すべてがブラック企業ではないが、安定性は乏しい

歩合給制を導入している会社がブラック企業だというわけではありません。

歩合給は、成果を挙げることができる人にはメリットがある働き方です。会社の方も、頑張る人とそうでない人に差をつけることでモチベーション管理ができるため、決して悪い制度ではありません。

ここで述べているのは、あくまで「固定給」と「歩合給」の割合をきちんと把握して納得のうえで入社しないと、後悔することがあるため注意が必要だということです。

歩合制を導入している会社には、「若くてパワーがある人を、短期間だけ酷使したい」という考えのところがあります。

実際、高額商品を売る営業職や運送・配送業などの体力が必要な業種には、歩合制を導入している企業がよく見られます。

そういった会社は、固定給を安く抑えて歩合制を高水準で設計します。若くやる気があり、体力や気力がある人に、一定期間だけ働いてもらいたいのです。その分、成果に見合う給料は払うつもりでいます

そのため、トップクラスの成果を上げられる人であれば、歩合給の率が高い会社の方が稼ぐことができるでしょう。

しかし、普通の人の場合、長期間成果を挙げ続けることができるのでしょうか。

一定の期間中であれば、頑張れるかもしれません。しかし誰でも好不調がありますし、年齢と共に体力気力は衰えていきます。

成果が出なくなったときは、固定給が低く抑えられているために、非常に低い給与額になってしまう可能性があります。

固定給をはっきりさせずに求人を出す会社や、固定給を低く抑えている会社は、成果を出せない社員を安定して雇用しつづける保証はしない会社だということです。

昇給についての記載がなければさらに注意

また、「固定給」と「歩合給」の比率をしっかり確認しなければならないことに加え、「昇給」についての記載があるかどうかも見極めなければなりません。

多くの会社は「昇給」について年1回あるいは年2回など書かれています。「前年平均昇給額4,000円」など、前年の実績を記載する会社もあります。

しかし、ブラック企業のような会社は、昇給についての記載がないか、「昇給昇格は随時」などとはっきりさせていないことがあります。

昇給についての記載がない会社も、人を長く雇用し続けるつもりは無い会社かもしれません。体力のある人を一定期間だけ雇用し、成果に合わせた報酬は払うが、年齢が高くなり体力気力が衰えたら、辞めてもらうように仕向けてくるかもしれないのです。

給与が異常に安い

逆に、給与額が異常に安い求人を出している会社も要注意です。

安い給与を堂々と表示しているブラック企業は多くはありませんが、明らかに安い給与で募集している会社は、そもそも労働力に対して相応の給与を支払うという意識を持たない会社である場合があります。

そういった会社は、地方の中小企業や、小規模の飲食店などに見られます。

また、求人広告や求人サイトよりも、ハローワークで求人を出している会社に多いのも特徴です。

求人広告などは掲載するのにお金がかかりますが、ハローワークは無料で掲載できます。

求人・採用に費用がかけられない、かけたくないという会社は、ハローワークに何度も求人を出しています。

ワンマン経営者の運営会社や創業から長年経っている会社にも、給与が異常に安い企業が多く見られます。

給与相場が昔のままで、現代人の給与水準に合わせる意識がないのです。

さらにそういった会社は、労働者の権利意識を嫌う傾向があります。「昔から新人はこの給料でやってきた」「仕事に慣れるまでは給料を払いたくない」などといった感覚です。

また悪質なケースでは、安い給与額の中に固定残業費を含めているところもあります。

そのため、給与額が異常に安い場合も、「給与額が安いのだから、労働環境もそれ相応に良いのだろう」と楽観しないようにしてください

求人情報の「給与」「昇給」の欄は、必ず見る部分だと思います。応募する側の人は、「まさかこういった資料に嘘はないだろう」と安心して見ています。

しかし求人広告は、会社が応募者を集めるために、会社側にとって都合の良いことが中心に書かれているということを知っておいてください。

法的な規制も一応ありますが、ブラック企業はそういった規則を無視する傾向があります。

そのため、あなたがもしこれから転職活動で求人票を見るのであれば、ぜひ給与欄を冷静に分析するようにしましょう。

あなたが応募を考えている会社は、いたずらに高額提示をしていませんか。「未経験でも楽な仕事で、高額の給料をもらえる」」とうたっていませんか。

多くの画像や、派手なキャッチコピーで「あなたも頑張り次第で年収2,000万円です!」などとアピールしていませんか。

とても魅力的ですが、鵜呑みにしてはいけません。応募の際には必要なことを冷静に確認する意識を持ってほしいと思います。


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